YELL~未来からのメッセージ~

ブックリーマン

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第1章・第3節:導かれた先に

ちょっとした違和感

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入社以来、佐藤は順風満帆に過ごしてきた。
YELLの”アドバイス”に従って行動することで、物事はトントン拍子で上手く行った。

しかし、順調に進む日々は、ある日を境に大きく変わり始めていった。
違和感を覚え始めたのは研修が終わり配属が決まった頃からだった。

どうも、最近YELLに書かれていた事象やアドバイスが、現実に起こるタイミングが早かったり、多少状況が異なったりする。嘘が書かれているわけではないが、状況が変われば対応も微妙に変わってくる。
最初は気にしていなかったが、思い返せばあれもこれも徐々にその違和感を大きくしていった。


新人研修を終えて配属が発表になる日を迎えた。”境”となったその日だ。

「では、次に第一ソリューション部配属を発表します」
「椿さん、遠野さん、そして佐藤さん」

「えーやったぁ、めぐみ一緒だね、あと佐藤君も」
「なんとなくそんな気がしてたよ、よろしくね」
「よろしく!」
「どうかしたの?」
「いや、この三人が同じ部署って意外だなって思って」
「そう?」
佐藤は、狐につままれたような顔をしていた。


というのも、配属先では池田と阿部と一緒になるとYELLには語られていた。
この先一緒に過ごす中で、佐藤がプロジェクトで大きなつまずきをした際に、2人が一緒に乗り越えてくれたというエピソードがあった。その際の失敗の原因は、一人で抱えすぎてしまい、周囲を頼らなかったことが反省として書かれていたが、配属メンバーが変わったことでその状況が大きく変わってくる。

その時は、その先までは考えられていなかったが、てっきり寮の二人が一緒に配属されるものとばかり思っていたので、期待外れであった。全く知らないメンバーと一緒になるよりは良かったが、少し残念でもあった。


そんな”多少のズレ”はこの後も続いていった。
「藤井さん、短い間でしたが大変お世話になりました」
綾が代表してみんなからの花束を渡した。
「ありがとう、頑張ってね」
「藤井さん、、、頑張れよぉ、、、」
「大塚君もね。何よーもぉ。先に泣かないでよ。佐藤君や他の新人に抜かれないようにね」
「あぁ、、、」
「何よー、しんみりしないでー」
「さみしくなるなぁ」
「桃田さん、お世話になりました。大塚を宜しくお願いします。」
配属後3ヶ月経った時だった。藤井が退職した。
地元で縁談がまとまったそうだ。
YELLによれば、先輩社員の退職時に引き継ぎを受けた業務で、ちょっとしたトラブルがある予定だったが、辞めるのは藤井ではなく他の社員だった。これも藤井と佐藤の対応で解決する予定だったのだが、ここでも現実とYELLに描かれた未来とのズレが生まれていた。

佐藤は、取り巻く環境が少しずつ変化しながら、社会人として最初の一歩を歩んでいた。
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