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第2章・第3節:
半分正解
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孝一は耐え切れず、数日後の昼休みに直接桃田へ事の真相を尋ねることにした。
桃田の答えは意外なものだった。
「あーそれね。うーん半分正解で半分ガセだな」
そもそも、噂の彼女とは社会人になる前から知り合いで、 バイトで塾の講師をしていた頃に生徒として通っていたのが彼女ということらしい。当時はお互いに先生と生徒であったが、再会してから何回か食事をする様な仲になって、半年前に桃田の方から交際を申し込んだそうだ。
専務である父親のことも、特別に贔屓にしてもらっているわけではなく、彼女の父は桃田の母校の大先輩で、OB会であいさつしたことがあったのだとか。そんな縁もあり、お客様先で会ったときはお互いびっくり。というのが真相らしい。
うわさ話なんて、いつもそんなもんである。
「じゃあ転職って話もガセなんですか」
「⋯⋯⋯いや、そっちが正解の方だな」
「えっ」
「俺は今の会社嫌いではないんだけど。
専務は悪い人ではないんだが、ちょっと古風なところがあってね。
最近のカタカナ職業をあまり良く思っていないんだ」
「今の会社では勿体ない、婿に入るなら職業もわが家にふさわしい会社に入ってくれって言われているんだ。
始めは、他人の仕事をそういうふうに言うのは人間としてどうなんだと思ったけど、一人娘可愛さあってのことなのかなって考えるようになって。彼女を幸せにしたいのは俺も一緒だし」
専務の伝手で大手金融機関の青葉銀行に新しくシステム企画部署が立ち上がるからそこのチームリーダーとしてどうかと誘われているのだとか。
「青葉銀行って、超大手のメガバンクじゃないですか」
中堅のシステムベンダーでは相手にならないくらい、はるかに年収や福利厚生も違うことは孝一も理解した。
「転職時期は決まっているんですか?」
「色々調整中でね、部長と相談中なんだけど、こちらも難航しててね」
「早ければ今年の夏が終わる頃かな」
「もうちょっと、話がまとまった段階で佐藤には先に伝えるつもりだったんだけど、うわさ話が先に流れてしまったみたいで、すまなかったな」
「いえ、そんな⋯」
桃田が退職するとは思っていなかった。
あと数か月。
様々な事情があるとはいえ、孝一を支えてくれていた支柱がまた一本外れかけようとしていた。
桃田の答えは意外なものだった。
「あーそれね。うーん半分正解で半分ガセだな」
そもそも、噂の彼女とは社会人になる前から知り合いで、 バイトで塾の講師をしていた頃に生徒として通っていたのが彼女ということらしい。当時はお互いに先生と生徒であったが、再会してから何回か食事をする様な仲になって、半年前に桃田の方から交際を申し込んだそうだ。
専務である父親のことも、特別に贔屓にしてもらっているわけではなく、彼女の父は桃田の母校の大先輩で、OB会であいさつしたことがあったのだとか。そんな縁もあり、お客様先で会ったときはお互いびっくり。というのが真相らしい。
うわさ話なんて、いつもそんなもんである。
「じゃあ転職って話もガセなんですか」
「⋯⋯⋯いや、そっちが正解の方だな」
「えっ」
「俺は今の会社嫌いではないんだけど。
専務は悪い人ではないんだが、ちょっと古風なところがあってね。
最近のカタカナ職業をあまり良く思っていないんだ」
「今の会社では勿体ない、婿に入るなら職業もわが家にふさわしい会社に入ってくれって言われているんだ。
始めは、他人の仕事をそういうふうに言うのは人間としてどうなんだと思ったけど、一人娘可愛さあってのことなのかなって考えるようになって。彼女を幸せにしたいのは俺も一緒だし」
専務の伝手で大手金融機関の青葉銀行に新しくシステム企画部署が立ち上がるからそこのチームリーダーとしてどうかと誘われているのだとか。
「青葉銀行って、超大手のメガバンクじゃないですか」
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「転職時期は決まっているんですか?」
「色々調整中でね、部長と相談中なんだけど、こちらも難航しててね」
「早ければ今年の夏が終わる頃かな」
「もうちょっと、話がまとまった段階で佐藤には先に伝えるつもりだったんだけど、うわさ話が先に流れてしまったみたいで、すまなかったな」
「いえ、そんな⋯」
桃田が退職するとは思っていなかった。
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