ツンデレΩは噛まれたい

齊藤るる

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出会い編

美しい顔の青年

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「見つけた、おれの花嫁…!」


それは、美しい顔をした青年だった。

パーツの良さや配置はハルが知るどんな芸能人やモデルよりも優れていた。

男の髪は、陽光でキラキラと輝き、太陽神に祝福されているかのような美貌を一層美しく際立たせていた。


(なんて綺麗な顔なんだろう)


頭の上にピンと立った三角の耳……ワーウルフだ、とハルは思った。

その美しさに見惚れていると、ハルはハッと気付く。


この男、全裸だ。


ほどよく筋肉の付いた肩、綺麗なラインの鎖骨がしっとりと濡れ、水滴が艶やかに光っている。


「ねえ、おれのお嫁さんになって」

「は…?」


ぽたり、とハルの上に水滴が降る。

ワーウルフは、イヌやオオカミによく似た獣の姿とヒトの姿を自在に変化する。ヒト型を取っていても、何故か耳と尻尾だけはそのまま残っているのが通説でーー
青年もまた、ヒトの姿、イヌの耳、オオカミの尻尾を生やしている。

ついさっきまで獣の姿で水浴びをしていたのだ、一糸纏わぬ姿なのはそのせいなのだろう…が…?


(なんだって?こいつは今なんて言った?)

(およめさん?)


「きみ、名前なんていうの?俺はユキだよ」


地べたに寝そべっていたハルを抱き起こし、青年はハルの顔をそっと手のひらで愛おしげに撫でた。

優しい、甘く低い、テノールの声。

きもちいい。

ずっと聴いていたい…

ハルは恍惚として、まるで魔法に掛かったかのように動けない。


その時、ふわりと風が吹く。

かぐわしい花のような甘い香りだ。

それを嗅いだ瞬間、身体がゾクリとうずいた。


(…なに…!?)


その香りは、ワーウルフの青年から香ってくるのだった。


「ねえ、どうしたの?」

「ぁ……」


青年からふわり、ふわりとたち登ってくる甘い匂い。

それはハルの身体の奥深くに眠る情緒を直接揺さぶり、まるでアルコールに酔うかのように、思考を麻痺させていく。


(こいつまさか、アルファ…か……!?)


どくん、どくん、どくん。
血が巡る。
においが、甘いにおいが…

くらり、くらり。


(……からだが、熱い…!!)


じわ、と股の奥が濡れた。


(濡れ…!?)


オメガであるハルは、その感覚に覚えがある。


(どうして!?発情期はまだまだ先のはず…)


あまりのことに気が動転して、とにかく差し出された手にすがりついた。

すがりついた先は、ワーウルフの青年の手だった。

そして、しっかりと握りしめられる。


「…っはぁ…!ねえ、君、すごい、いいにおいするね…」


ハルの身体を抱き起こす青年の指が、カーラーの内側に触れ…

同時に、近付いてくる、青年の美しい顔。


(キスされる!?)

(…っやだ…!!!)
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