あべらちお

Neu(ノイ)

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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

オリエンテーション 01

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2.好きと大事
【オリエンテーション】


 入学式から3日目。
一年生はお泊りでのオリエンテーションで、温泉街の宿に一泊することになっている。
慣れない他人と触れ合うことに難がある少年、神沼 明紫亜(カミヌマ メシア)にとってすれば、いい迷惑でしかない。
自分のペースで打ち解けさせてくれと思いながら、体育座りで立てた足を両腕で抱えた。
膝に額を着ければ、マッシュルームのような髪も、ふさり、と落ちて顔を隠す。


 どうにか行き帰りのバスは、下宿先オーナーの小畑 智如(オバタ トモユキ)の好意で回避出来た。
車酔いが激しく迷惑を掛けてはいけないからと送迎して貰うという体になっている。
そして、交流目的のクラス対抗ゲームも、車酔いで体調が優れないと見学していた。


 この体質を普通だとは思わないが、普通になりたいとも思ったことはない。
そもそも、自分を基準に考えれば、誰でも自分が普通であり、他人は異質だということになる。
普通を求め、同じ集団になりたがる日本人の心理は、明紫亜には理解出来ないものだった。
自分は自分、他人は他人。
それの何処が悪いのだろうか。
違う人間なのだ、解り合える、そんなことがある訳がないのだ。


 ふと、1―Aの副担任である笹垣 司破(ササガキ シバ)が視界に入り、ふわう、と無意識に声を漏らす。
司破とは、何度かエッチで異常な戯れをしている。
彼は特別な人間だった。
明紫亜と同じ、周りから異質と見做される嗜好を持っている。
それ故に二人は、熱く求め合って、互いの存在を確かめてしまう。


 知らず知らず、唇を指で撫でていた。
二日前、初めてキスをした。
それまでは異常な戯れを、其々の性癖を高め合うようにするだけだった。
けれどその日は、優しく甘く蕩けさせるように、彼は触れてきた。
とてもとても嬉しくて、堪らない。
それでも時間が経つと、明紫亜は冷静になるのだ。
好きと言われた訳ではない。
愛しているとも言われていない。
それならば、この関係は、あの行為は、一体何であるのか。
司破にとって、明紫亜はどこに位置するのだろうかと、気になってしまった。
ふむう、と唸り、膝の間に顔を隠したまま、首を横に振る。

「神沼?」

不意に声を掛けられ、顔を上げれば担任が目の前で立っていた。

「あ、はい」
「大丈夫か? 気分悪いようだったら、無理しないで部屋に戻っても大丈夫だからな?」

部屋の中央では生徒達のはしゃぐ声が響いている。
この人の笑顔は嘘臭い。
明紫亜がいると、クラスメイトも気になってしまうのだろう。
チラチラと視線を感じた。
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