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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
オリエンテーション 07*
しおりを挟む「さ、笹垣先生! お風呂で神沼が! あの、とにかく大変で! 嘔吐してて! 来て下さい!」
仔細を説明するのが難しかったのだろう、端的に述べられていく言葉の中に明紫亜の名があり、眉がピクリと動いた。
明紫亜が嘔吐しているという事実と、小畑に問われた台詞が重なる。
慣れない人間に触られると、彼は嘔吐してしまうのだろう。
誰かに触られて嘔吐しているのだ。
「瀬名先生、神沼が風呂場で嘔吐しているそうです。一緒に来てくれますか?」
司破が部屋の奥へと声を掛けると、慌てたように瀬名が出て来た。
恐らく委員長は保健医を呼びに来たのだろう。
状況は解らないが、専門家がいた方がいいだろうとも判断し、瀬名を連れて委員長と共に風呂場へと向かった。
* * * * * *
やだ、と言って逃げても、明紫亜は男の腕に捕まってしまう。
何度も嘔吐して、その度に笑う彼と、その友人だろう少年が2人加わり、体を弄(まさぐ)られていた。
時折、シャワーが掛けられて、吐瀉物が流れていく。
「神沼、キノコじゃないと可愛いな」
意味の解らない言葉を吐かれて、後ろから抱え込まれた。
首筋に息が掛かり、気持ち悪さにまた嘔吐する。
それでももう内容物も出し尽くしたのか、口からは、だらりと胃液が垂れるだけだった。
「ずっと気持ち悪いのか? 気持ち良くならねぇの?」
好奇心の目が、明紫亜の体に注がれる。
彼等の瞳に情欲が混じった。
後ろから回る腕が、明紫亜の胸元を触り始める。
嫌だ、と強く嫌悪して、気持ち悪くて、吐きたくて嘔吐しようとしても、口からは何も出てこない。
唾液が口元をダラダラと溢れるだけだった。
「はなっ、はなせ! や、だ! 気持ち、わる、い」
「もう吐くものもないみたいだな。ここ触ってもよくなんねぇの?」
するり、と股間に手が伸びて、縮こまる陰茎を掴まれる。
いやいやいや、と首を左右に振り、手足をバタつかせた。
「き、もち、わる、い、はな、して」
握られたものを上下に扱かれ、嫌悪感に体を震わせる。
うう、うえ、うぐぅ、と体は嘔吐しようとしても、口から出てくるのは涎だけで、気持ち悪さは消えてはいかない。
性的に触られることが、こんなにも気持ち悪い。
司破さん、と何度も心の中で呟いた。
目尻には涙が溜まる。
「ココは? 気持ちイイらしいぜ?」
男の指が唐突に尻を掴む。
ひっ、と無意識に悲鳴が飛び出す。
指が肛門を撫でた。
気持ち悪くて堪らない。
目蓋をキツく閉ざすと、ボタボタと涙が溢れ落ちた。
「きもち、わる、い」
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