あべらちお

Neu(ノイ)

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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

秘密の関係 12

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「そう思って貰えてるなら、嬉しいよ。でも、すごい照れるし! ギーチったら意外と情熱的だよねー」

箸を手に取り、いただきまーす、と声を上げる明紫亜につられ、義一郎も慌てて弁当箱の蓋を開け、箸を持った。

「情熱、的、なのかな? そんなこと、はじめて言われた」
「あら。それなら僕に対してだけ情熱的なのかな? えっへへ、僕得ー」

やったね、と笑顔で唐揚げを箸で掴む明紫亜に、義一郎も自然と微笑んでいた。

「ところでさ。あの、答えたくなければ良いんだけど。個人的に気になっちゃって。聞いても良いかな?」

赤いタコさんウインナーを箸で持ち上げた義一郎の前置きに、頬張った唐揚げをもぐもぐと咀嚼しながらコクコクと頷く。
彼はタコさんウインナーを口に含み、もごもごと噛み砕くと飲み込んだ。
そして、大きく息を吸い込む。

「その、笹垣先生と、喧嘩でも、したの? オリエンテーションで、なんか知り合いみたいだったのに、今朝は険悪だったし。でもさっきの時間はそうでもなかったよな。どういう関係なんだろうって、ちょっと気になって。ごめん、踏み入ったこと聞いて」

息を吐き出すように言葉をずらずらと並べ立てるも、最後はしゅんと肩を落とす義一郎に笑いが止まらなくなる。

「別に聞かれて困るようなことないし、全然気にしないでよ。ギーチは気にしいだなあ! うんと、まあ喧嘩はしたようなしていないような? なんて言うかさ、軽ーく知り合いみたいな感じで、知り合い全然いない土地で生活始めたばっかだったし、つい嬉しくなって僕も馴れ馴れしくしちゃったんだけど、やっぱり教師と生徒だからさ。特別扱いされてるとか思われるの僕も嫌だし、笹垣先生だって特定の生徒を贔屓にしてるとか言われたら困るじゃん? はっきり迷惑だって言われてさー。そういうの考慮しようかと思ったんだけど、今朝はちょっと張り切ってやり過ぎちゃったや。てへへ。心配させてごめんな?」

一頻り笑い、浮かんだ涙を指で拭い、何と答えるべきか頭の中で高速に言葉が蠢く。
事実を選別し、都合良く継ぎ接ぎ合わせて、それらしいことを述べた。
こつん、と額を叩いて舌を覗かせる。


 どれもが嘘ではなく事実である。
核をなす出来事を少しずらしただけで、明紫亜の心にある想いに変わりはない。
それだけで偽物の理由は本当にと近付いていく。
真実にはなれない事実が、真実として具現化するのは、いつまで経っても慣れなかった。
日常茶飯事に自分にも他人にも、そうやってもっともらしい嘘を吐く。
自ずからそうしている癖に、明紫亜はいつも傷付くのだ。
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