あべらちお

Neu(ノイ)

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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

秘密の関係 48

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それこそ淡々と何の感情も感じられぬ口調で話す司破だが、明紫亜は嬉しそうに破顔した。

「嫉妬ですか? 大丈夫です。司破さんのオムライスも大好きで、すごく幸せになれるから。また司破さんのご飯、食べたいなあ。今度は一緒に作りたいです」

むふふふん、と意味もなくドヤ顔で宣い、明紫亜は司破の上からベッドの下にと飛び降りる。
司破を見下ろして幸せそうに目を細めながらも何かに耐えるかのように唇を噛み締めた。

「お前、料理作れるのか?」

そんな矛盾する明紫亜の表情に眉をピクリと動かすが、其処には触れずに司破は、確認するように問いを掛ける。

「うむむ、切ったり焼いたり煮たりは、まあ、出来ますよ? レシピがあれば何とか食べられる物は作れます」

顎を擦る明紫亜の目が上を向き思案した後、眉を真ん中に寄せた難しい表情で頷いてみせた。
ベッドの端に放ったままになっているパーカーを手繰り寄せ羽織れば、上体を起こしている司破に視線を投げ遣る。

「司破さんは、お料理上手ですよねー。羨ましいなあ」

くふり、と笑う明紫亜の羨望混じりの眼差しに司破は苦笑を溢していた。
ぎしり、と音を立てベッドから降り明紫亜の隣に並んだ司破の手が彼の髪を撫でる。

「母親が何も出来ないからな。反面教師と言うやつか? もともと家を出るつもりで、その為に必要だと思ったんだ。幸い、通いの家政婦がいたから、彼女に色々と教えて貰った。メシアも今からで遅くないから、色々と出来るようにしておけよ。小畑さんは何でも出来るようだし、習ったらどうだ?」

触れた箇所が手の重みで形を変える。
柔らかな髪が司破の節くれた指に絡むのが何故だか心地良い。
擽ったそうに両目を細め下から視線を上げて司破を見る明紫亜の唇がゆっくりと動いた。

「そっか。司破さんは金持ちのボンボンでもちゃんと自立することを視野に入れて生きてきたんですね」

ふはあ、と大袈裟な仕草で息を吐き出し自身の両耳に手を添え首を左右に揺する明紫亜に驚いて咄嗟に手を放すと、明紫亜の口から、うぐぐぐう、と怪獣のような呻き声が飛び出す。

「叔父さんは何にも出来ないんです。確かに僕もああはなりたくないなあ。おばちゃんにも教わるけど、司破さんも色々なこと、教えて下さいね?」

上目遣いで意味深な響きを持たせ微笑むと明紫亜の手が耳から離れ、司破の腕に触れた。
ぎゅう、と服を掴み、くたり、と明紫亜の首が傾く。
司破の手が伸び、明紫亜の両頬を包み込んだ。
上向いた唇に啄むだけの口付けを施し、「メシア」と離れるのが名残惜しいと囁く。
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