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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
秘密の関係 108
しおりを挟む腕を掴んで明紫亜の身体を起こさせ、湯船に付いている蛇口を捻り栓をした。
どばばばば、とお湯が勢い良く湯船を満たしていく。
「え、僕も洗いますよ?」
司破の頭と身体を洗うつもりでいたのだろう、きょとんと双眸を瞬かせ小首を傾げ、シャワーに手を伸ばしてくる。
「メシア。好きな相手に肉体を弄(まさぐ)られて男が大人しくしていられると思うか? エロいのはもう終わりなんだろ? それとも、俺に泣かされたいのか? 快感でトロトロになりたいか?」
その手を掴み、人差し指を根元から指先に向け、ねっとりと舐め上げ、熱を秘めた目で少年を見詰めた。
途端に、ぶわあ、と顔中が真っ赤になり、明紫亜は唇を震わせ「ぎぎぎぎぎ、ぐう、ぬ」と機械が故障したように呻く。
「そ、それ。ダメ。エロスが全開過ぎますよお! 僕には刺激が強いから禁止です! 勃っちゃいそう……」
ぶんぶんぶんぶん、と首がもげそうな程に振り回し、股間を両手で押さえながら涙目で湯船にと入っていく明紫亜にドヤ顔を向けた。
「お前の真似だ。これに懲りたら少しは自分のイヤらしさを反省するんだな。いつもいつも煽るだけ煽っておあずけ喰らわされるのキツいんだよ」
ふん、と鼻で嗤い、頭を洗うべくシャワーを頭上に翳した。
手早く頭髪と身体を洗った司破と湯船で温まる。
体を密着させ背中から抱かれるのを明紫亜は心地良く受け入れていた。
隠れ筋肉質な司破の体躯は、細身の少年に憧憬を抱かせるのに十分過ぎる程だ。
5月の上旬――ちょうどGW明け――に行われる勉強合宿について司破と話をした。
山中にある青少年の家に一泊し、勉学に励むことになっている。
山登りもスケジュールに組み込まれているらしいと聞き、濡れていつもよりも長くなっている髪先を指にクルクルと巻き付けた。
唇を尖らせ「勉強なのに登山とかいらなくないですかー?」と文句を垂れる。
そんな明紫亜を腕に抱いて司破が笑う。
出逢った頃に比べ、柔らかい表情を魅せるようになった司破に、いつだって明紫亜はドキドキと胸を高鳴らせてしまう。
後ろ向きで実際に見えた訳ではないのに、気配で笑ったと知れただけで、明紫亜の心臓は大暴れだ。
「いいじゃねぇか。セックスするのに体力があって困ることはないだろ? 大体お前、細過ぎんだよ。ちゃんと食べてんのか?」
耳朶を擽る低音は腰にくる。
ゾクゾクと這い上がるのは愉悦の感覚だ。
「ぁ、っ、っ、あんまり、触んないでよ。擽ったいから、っ!」
腹部を大きな掌に撫でられ、身を捩り背中を司破の腹筋に押し付けていた。
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