SとKのEscape

Neu(ノイ)

文字の大きさ
16 / 97
一章:SとK

担当医 07

しおりを挟む


だが、優しさを含んだ顔に、僕には見えた。

「じゃ、じゃあ、友達? 河東君、と、友達? なって、くれるの?」
「そうだね。最初に言っておくけど、僕は仲良しゴッコは嫌いだ。君にとって嫌なことも言うけど、それでも良ければ。君は非常に興味深い。行動原理を観察するのも面白いだろ」

すぐに顔を反らされてしまったが、あの時の顔は今でも覚えている。
サンは、優しい。
厳しい言葉と冷めた表情に隠れて見えにくいが、サンは優しい奴だ。
人よりも厭味だが、その分、嘘がない。
そんなサンとの日々は、此処から始まったのだった。




 とんとん。
肩に刺激を感じる。
物思いに耽っていたが、今は診察を待っているところだった。
看護師の女性が、僕の前に立っている。

「川路さん、大丈夫ですか? お待たせしました、どうぞ中へ」
「あ、すいませ、ん。考え事、してて」

一気に頬が赤くなったような気がする。
顔が熱い。
急いで立ち上がり、扉に向かう。


 気を使ったのか、看護師が扉を開けてくれた。
軽く頭を下げて感謝の意を表した。
中に進むと、パソコンに向かい、何やら打ち込んでいる継生が目に入った。


 まだ28歳という若さで、どちらかと言うと、彼は実年齢よりも若く見られそうな童顔である。
おばさん世代に好かれるだろう愛らしい顔立ちだ。
目が大きいのが原因だろうか。
其処まで他人の顔に興味がないので解らないが、確かにクリッとした目は可愛いようにも映る。
かと言って、30半ばの中年親父の自分が、そんなことを言えば、変な誤解を受けるだろう。
絶対に口にはしない。
一度だけサンに話したことがある。
その時に、散々言われたのだ。
セクハラだの、君は男に興味があったのか、だの、思い出せば腹の立つようなことをネチネチチクチクと、だ。
これがサンだから口に出して言うが、きっとサン以外の人間は、口に出さずに心で思うのだろう。
絶対に言ってはならないことを悟った。


 本人も気にしているらしく、会った時は黒かった髪が、いつの間にか、少しだけ明るくなっていた。
色で言うならば焦げ茶だろうか。
ワックスで立てているのも、そういった理由からだと推測された。
それと言うのも、サンから聞いた話だが、病院内で可愛いは禁句になっているらしい。
継生が落ち込むのだと言う。
可愛いから脱却しようと頑張っているのだと聞いた。
彼の場合、女性的な可愛さと言うよりも、少年の持つ可愛らしさに近い。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

処理中です...