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二章:悲劇の日から
記憶に取り残された幼馴染 14
しおりを挟むクロが気にしないようにとウィンウィンなのだと告げた。
それでも最終決定権はクロにある。
優しい口調で確認すると、彼は照れたようにはにかんだ。
「ぼ、ぼぼ、僕、っ、……サン君の、役に立てる? うれ、しいな。そ、その、お願い、します」
クロの頭が縦に動き、律儀にお辞儀をするものだから、ボクは知らず知らずの内に微笑んでしまう。
クロは昔から純粋で綺麗で、ボクには眩しい程だった。
すれることのない彼は、守りたいと思わせる一方で、何処か胸の奥深いところで穢してしまいたい欲求が渦巻いてしまう、そういう存在なのだ。
「ゆっくり息を吐いて。痛かったり不快感があったら教えてくれ給えよ」
右手の人差し指の腹に塗り薬を乗せ、患部に塗っていく。
無理に犯されただろう菊座は赤く腫れ切れているようだった。
滲みるのか「ぁ、っ、い、ぅう、っ」と声が漏れ出ている。
明らかに直腸も傷付いている筈で、ボクは深呼吸を一つしてから平常心を心掛けながら、グッ、と人差し指に力を籠めた。
「中にも塗るから指挿れるけど。嫌だったら言うんだよ?」
「へっ? ゆ、っ、ゆゆゆ、ゆび、っ、いれ、る、の?」
驚愕に目を見張るクロの上体が僅かに浮き上がり、ボクを涙目で窺ってくる。
堪らなく愛しくなり、無理にでも指を突き入れてしまいたくなった。
「……嫌ならやめるけどね。自分で指入れて塗れるかい? 入れてみないことには解らないが、恐らくは中も切れているよ。入口も痛々しいぐらいだ。ちゃんと塗れる?」
治療のためだ、と何度も頭の中で自身を諌めクロに確認を取れば、彼の上半身は布団の上にと戻っていく。
両腕で顔を覆い隠し、か細い声量で「お願いします」と告げるクロに自然と微笑みが浮かぶ。
優しく触れて甘やかして労るのだ。
飽くまでも治療目的なのだから、と逸る動悸を落ち着かせようと深呼吸をもう一度し、爛れた肛門に指先を食い込ませていく。
「ぃっ、っっ、ぅ、痛、っ、い」
幾度となく肉棒に摩擦されたことで少しの刺激でも痛んでしまうのだろう。
クロの震える腕も声も痛ましい。
それでもゆっくりと時間を掛けて薬を塗り込ませつつ奥にと進ませた。
「ごめんよ、クロ君。痛いだろう? でもちゃんと塗っておかないと本当に大変だから。少し我慢してくれ給え。後で痛み止めも出そうか」
袖を噛んで痛みに耐えているクロに優しく声を掛ける。
んんんっ、と唸るような肯定の言葉が返って来た。
一旦指を引き抜き、今度は菊門の上に直接薬を出し、指で中にと押し入れていく。
音を立て白いベースト状の薬を呑み込んでいく様は卑猥だ。
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