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一章:傲慢王子は呪われ奴隷を飼う
奴隷と水浴び 12
しおりを挟む頭を草地の上に固定され、覆い被さられたことで余計に口付けは深くなった。
口唇同士が合わさり粘膜が触れ合い、くちゅり、と水音を立てる。
メシアの中で恐怖が最高潮に達し、体躯がガタガタと揺れ動いてしまう。
それに合わせて水面が、ぴちゃぴちゃ、と波紋を描いていた。
吸い付いてくる唇に歯を立て、震える腕で必死でシヴァの胸板を押しやれば、僅かに離れていくのが解る。
安堵するよりも前にシヴァの服の前合わせを勢い良く開けていき、肌を露出させていく。
スラリ、と見える割に鍛えられた肉体で筋肉が満遍なく着いており綺麗である。
感情を灯さない顔で以(もっ)てされるがままのシヴァの身体に何の変化も現れないことにメシアはホッとして息を吐き出していた。
ただの触れ合いではなく、粘膜同士が僅かにでも触れたのだ。
彼の体躯に龍影の模様が浮かんだらどうしようかと不安で一杯になってしまい、些か大胆な行動に出ていたことに本人は気付いていない。
良かった、と表情を綻ばせている少年の服の裾を持ち上げ、青年は悪戯に笑った。
「怯える癖に積極的な奴だな」
そのまま服を脱がしていくシヴァに慌てるのはメシアだ。
こんなにも密着した状態で裸になるなど言語道断、メシアには受け入れ難い。
「ちょっ、っ、何して!? やめ、ろ、っ、……王子、やめ、て」
「昼間にお前の裸は見た。さっきは自分で脱ごうとしてたじゃねぇか。今更何を嫌がる? それに、先に脱がしてきたのはお前だろ? ほら、ちゃんと脱がせろ、メシア」
ジタバタと両手両足をばたつかせ抵抗を示しても、巨躯の下では徒(いたずら)に水を飛ばすだけの無駄な動きにしかならなかった。
メシアが体力を消耗している間にも上半身に纏っていたボロい布切れは陸地に放り出されていた。
キン、と冷えた水を生身の肌に感じる。
目的を果たしたシヴァの手に腕を取られ、同じようにしろ、と彼の胸元に持っていかれ、メシアは思いっ切り首を左右に振りたくった。
「こ、こんな、触れ合う距離、で、裸になんて、……やだよ。でき、な、い。……っ、んで、王子まで脱ぐ、必要が、あるんだよ?」
ガクブルと小刻みに振動を繰り返す掌で彼の胸板を押し返そうとしてもピクリとも動かない。
怖くてシヴァの顔を見ることが出来ない。
俯いた拍子に溜まっていた水粒が落下して水面を叩く。
「服が汚れるのは嫌なんだろ? まだ実験は終わってないんだ、逃げるな。お前みたいな臆病者は、徹底して証明してやらないと信じないだろ。ぐちゃぐちゃになった体液塗れの身体で触れ合っても呪いは感染らないって、教えてやるよ」
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