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一章:傲慢王子は呪われ奴隷を飼う
奴隷と水浴び 13
しおりを挟む顎を乱暴に掴まれ上向かせられれば、感情の感じられない真っ暗な瞳に見詰められた。
心の奥深い場所まで覗かれそうで「ひう」と思わず嗚咽が溢れる。
シヴァの顔が、ぐん、と近付いた。
可笑しそうに笑う彼の舌が伸びてくる。
頬から目尻に向けて舐め上げられていた。
右側を一頻り舐め満足したのか、彼の舌は左側を這っていく。
メシアの気持ちは許容量を大きく超える出来事に、ただ体躯を震わせて堪えていることしか出来なかった。
涙を流せば流しただけ、この責苦が続く気がして、必死で唇を噛み締める。
「馬鹿メシア。傷になるだろ。泣きたきゃ泣けよ。お前が幾ら堪え忍んだところで、俺は舐めたいだけ舐めるから意味はないぞ」
ぺろり、と鼻の頭を舌先が掠めメシアは目を見開いていた。
考えたこともない場所への攻撃に、また水滴が頬を濡らす。
「ひっ、ぃ、っ、っ……ど、どこ、なめっ」
「あ? 鼻だよ、鼻。さっさと脱がせろって言ってんだろ。お前の体液に塗れた服を洗うのは、一体誰だろうな? メシアに汚されたと大好きな叔母上に知られてもいいなら、俺は別にこのままでも構わないんだが。さて、どうする?」
あまりにも怯え慄くメシアの様子にシヴァの声に苛立ちが混じる。
徐(おもむろ)にズボンの上から性器を握り込んでくる青年の大きな掌で上下に揉みしだかれていた。
彼が何をしようとしているのかを察し、逃げ出したい想いとは裏腹に、逃げ切れない現実を悟っている自分にどうしようもなく絶望してしまう。
この男には敵わないのだと身を以て思い知っている。
体格差という力の上下関係がメシアの心に得も知れぬ敗北感を与えていた。
本気を出してもいない青年から、メシアは一度たりとも逃げられていないのだ。
「……ひど、い。大嫌い。っ、きら、い! アンタなんか、っっ、一番、大キライ、っ!」
幼い恨み言を口に乗せながら辿々しくシヴァの羽織っただけの服に手を伸ばし、釦の外れた前合わせを掴んだ。
「どうするのか聞いてんだ。ちゃんと答えろよ」
意地悪く歪んだ彼の顔が悪魔に思えて、視界から消してしまう。
キツく綴じた目蓋を震わせて懇願する言葉を吐いた。
「っ、お、王子の、服を、っ、……ぬ、ぬが、脱がさせて、下さ、い」
「最初からそうしてれば良いんだよ、メシア。奴隷は奴隷らしく傅いてろ」
酷いことを言われた気がしたが、意図的に服を脱がせることだけに意識を集中させる。
屈辱を感じることに意味はないと今までの人生で十分過ぎる程に学んできたのだ。
プライドの置き場所を間違えてはいけない。
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