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一章:男性保育士奮闘記
男性保育士と働くお父さん 09
しおりを挟むテーブルに茶碗と箸を置き、電子レンジから小皿を取り出してラップを外すと茶碗の隣にと運ぶ。
椅子に座り手を合わせ、小さく「いただきます」と呟いた。
別に用意されている醤油皿に乗ったタルタルソースをエビフライで掬い口に運ぶ。
作ってから時間が経っているだろうエビフライは、それでも、さくり、と音を立てる。
噛めば海老のプリプリとした弾力を感じた。
手作り感があり、綺麗に盛り付けられている様は食欲を誘う。
味のクオリティーも高かった。
帰宅して食事が用意されていることが結杜の胸を熱くする。
離婚して当たり前ではないと知ったからこそ、他人の優しさが胸に滲みた。
* * * * * *
ううううん、と呻いて寝返りを打つと、腕が何か温かいものにぶつかり、僕は寝惚けた頭で「変だな」と考える。
温かなものが何か探ろうと腕を伸ばし抱き締めてみた。
人間の肉体だと認識して、矢張り「変だな」と重たい目蓋を上げていく。
一緒に住む雄仁は、確かに高校時代に僕のことが好きだと告白してはきたが、親友のままでいたいと言う僕の意思を尊重してくれている。
彼が布団の中にまで勝手に入ってくることはない。
よっぽどの理由がない限りは別々の寝室で寝ているのだ。
「起きましたか?」
さらり、と髪を撫でられる感触と同時に掛けられた声は、雄仁の男声よりも低かった。
頑張って開いた瞳に映ったのは、結希の父親だった。
自分から抱き着いたので、ひどく近い距離に彼の顔があり、慌てて離れる。
「すっ、すいません! 僕、寝惚けてたみたいで……って、あれ? 僕、昨日、寝ちゃって、ました?」
掛け布団を引き寄せ頭から被ろうとして、同じ掛け布団を共有していることに気付く。
引っ張ってしまうと彼が寒くなると手を止めた。
恐る恐る結杜に視線を向けると、頷きが返ってくる。
「昨日は、結希がお世話になったみたいで、有り難う御座いました。……それで、マコ先生に折りいって話があるんですが」
やってしまった、と額を押さえる僕へ真剣な眼差しを向けてくる結杜に首を傾ける。
何でしょうか、と口にしようとして、重大なことに気付いてしまった。
「あ、あ、あっ! ぼ、僕、荷物、何処に?」
がばり、と上体を起こし、結杜に尋ねると、ベッドの下を指差される。
「すいません。お話の前に電話させて下さい。昨日連絡するの忘れてて。雄仁も雌威ちゃんも大事にしてないといいけど」
頭を下げてベッドの上から鞄を漁り中からスマホを取り出した。
不在着信が何件も入っているのを確認し青褪めてしまう。
急いでリダイヤルをした。
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