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一章:責任取ってね?
神沼が大変です 02
しおりを挟む宿に着いて10分程が経ち、明紫亜はスポーツマンのようなガタイの良い男性と共にロビーにやって来た。
一年生が全員揃い、説明を聞いている最中のことで、彼はとても目立っている。
担任が彼等に近寄り一言二言交わすと、スポーツマンは帰って行き、明紫亜はクラスの一番後ろに並んで座った。
いつもの元気がないように義一郎には見え、とても心配になる。
顔色も心なしか悪い気がした。
ロビーでの話が終わり、一旦解散となる。
部屋に荷物を置いて広間に集まる算段となっている。
義一郎が明紫亜に近寄ろうと立ち上がった時だった。
「えぇと、C組の委員長さん、だよね?」
後ろから控え目に声を掛けられ振り向けば、綺麗な中性的な男性が立っていた。
淡い栗色の髪はサラサラとした髪質なのだろう、風に靡いたら綺麗だろうと想像させるものだった。
前髪は眉毛の辺りで切り揃えられ、後ろ髪は襟足より上で揃えられている。
白衣を羽織るその人は、養護教諭であったと記憶していた。
入学する前に配布されたパンフレットに載っていたのを記憶の片隅で覚えている。
「あ、はい。水保 義一郎と申します。えぇと、確か、瀬名、先生、でしたか?」
首肯を返し相手をマジマジと見詰めれば、記憶を辿るように名前を告げた。
彼の人形のような美しい唇が弧を描く。
微笑を向けられ、義一郎は同性であるにも関わらず、ドギマギとしてしまう。
そっ、と目線を床に落とし拳を握った。
「はい、保健医の瀬名 倫成です。水保君にお願いがあって声を掛けたんだけど、少しだけ大丈夫?」
細められた瞳が義一郎を見ている。
矢張り、義一郎の記憶通りに、瀬名 倫成(セナ ミチナリ)と名乗った彼は、養護教諭だった。
くたり、と小首を傾げる仕草までもが美しく、それだけの動きなのに、上品で優雅に映る。
「何でしょうか?」
義一郎は落としていた視線を上げ戸惑いがちに聞き返した。
倫成は義一郎との距離を詰め、彼の耳元に唇を寄せる。
「神沼君のことなんだけど」
思わず後退しそうになる義一郎だったが、明紫亜のことだと知れば、何とか踏み止まった。
「か、神沼が、どうかしましたか?」
気分でも悪いのだろうか、と心配が募り眉が中央に寄っていく。
「聞いたと思うんだけど、車酔い酷いみたいでお家の方と来たんだって。さっき見てたら、やっぱり顔色悪くて、少し心配なんだよね。水保君、同じ部屋でしょ? ちょっと気を付けて見てあげてくれるかな? もし大変そうなら、この後のゲームも見学で全然構わないし。お願い出来る?」
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