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一章:責任取ってね?
運命の出逢い 03
しおりを挟む司破と純の関係など知りたくもないが、気になるのも確かで、しかし、司破が他人を寄せ付けないオーラを放っているのも、また事実である。
純に対して嘘を吐くなど到底出来はしない。
純の母、倉本 彩菜(クラモト アヤナ)の実家での噂は恐ろしいものばかりだ。
勘当した娘でも動向は気になるのか、彩菜の父は定期的に調べさせていた。
その中で純の行いも報告されるらしいのだが、普通の人間には堪えられない類のグロさだと言う。
嘘でも吐いて目を付けられた日には倫成の生命の保障など何処にもないだろう。
倫成を悩ませる情報がもう一つあった。
それは、純の生い立ちに関する噂だ。
まことしやかに昔から本家の中で噂されているものがある。
【彩菜は極道の男にレイプされ、その一度の行為で出来たのが純。本家の娘が極道の子供を身籠ったなど有り得ないと家を追い出された】
幼い倫成の耳にすら入ってきたのだ。
当然、当主も知っていた筈なのに、彼はその噂に関して知らん振りを貫いている。
それ故に、今よりも若かった頃に母に尋ねたことがあった。
勘当されても交流を持つ母ならば真相を知っているだろう、と安易な気持ちだった。
「ああ、半分は本当、半分は当主が自分で流したデマよ。あの人も気にしているなら許してあげれば良いのにね。本当、父娘して頑固なんだから」
ケロリ、とした顔で煎餅を頬張りテレビを見ながら母は答えた。
倉本組の組長にレイプされ純を身籠ったのは事実。
しかし、彩菜の実家は娘を守ろうとしたという。
確かに、由緒ある華道の家元である。
守ろうと思えば幾らでも守れたのだろう。
だが、話はややこしいもので、彩菜は自分に乱暴を働いた男に恋をしてしまったらしい。
「まあ、強姦した女が嫁にしろって家にまで乗り込んできたら流石の組長も吃驚したでしょうね。でも、子供を身籠ったと聞いた組長も責任を取るのが漢だ、ってその場で結婚の約束したって言うし、収まる所に収まって私も安心したものよ」
結局、恋仲になった二人を止めようとしたが止め切れず、彩菜が勝手に家を出て行き、当主も「お前がそのつもりなら勘当だ! 二度と実家の敷居を踏むな!」と勢いで勘当してしまったのが真相のようだった。
詰まるところ、恋愛婚であれレイプされて出来た子供が純なのである。
それを知ってしまった倫成は余計に純のことを恐ろしく思うようになっていた。
得体の知れない存在に対する朧気な恐怖だ。
他人の生い立ちは安易な気持ちで聞くものではない、と倫成は深く心に刻み込んだ。
更に純には知られてはいけないことだと言う。
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