えおにずむ

Neu(ノイ)

文字の大きさ
17 / 17
一章:責任取ってね?

運命の出逢い 03

しおりを挟む


司破と純の関係など知りたくもないが、気になるのも確かで、しかし、司破が他人を寄せ付けないオーラを放っているのも、また事実である。
純に対して嘘を吐くなど到底出来はしない。
純の母、倉本 彩菜(クラモト アヤナ)の実家での噂は恐ろしいものばかりだ。
勘当した娘でも動向は気になるのか、彩菜の父は定期的に調べさせていた。
その中で純の行いも報告されるらしいのだが、普通の人間には堪えられない類のグロさだと言う。
嘘でも吐いて目を付けられた日には倫成の生命の保障など何処にもないだろう。


 倫成を悩ませる情報がもう一つあった。
それは、純の生い立ちに関する噂だ。
まことしやかに昔から本家の中で噂されているものがある。

【彩菜は極道の男にレイプされ、その一度の行為で出来たのが純。本家の娘が極道の子供を身籠ったなど有り得ないと家を追い出された】

幼い倫成の耳にすら入ってきたのだ。
当然、当主も知っていた筈なのに、彼はその噂に関して知らん振りを貫いている。
それ故に、今よりも若かった頃に母に尋ねたことがあった。
勘当されても交流を持つ母ならば真相を知っているだろう、と安易な気持ちだった。

「ああ、半分は本当、半分は当主が自分で流したデマよ。あの人も気にしているなら許してあげれば良いのにね。本当、父娘して頑固なんだから」

ケロリ、とした顔で煎餅を頬張りテレビを見ながら母は答えた。


 倉本組の組長にレイプされ純を身籠ったのは事実。
しかし、彩菜の実家は娘を守ろうとしたという。
確かに、由緒ある華道の家元である。
守ろうと思えば幾らでも守れたのだろう。
だが、話はややこしいもので、彩菜は自分に乱暴を働いた男に恋をしてしまったらしい。

「まあ、強姦した女が嫁にしろって家にまで乗り込んできたら流石の組長も吃驚したでしょうね。でも、子供を身籠ったと聞いた組長も責任を取るのが漢だ、ってその場で結婚の約束したって言うし、収まる所に収まって私も安心したものよ」

結局、恋仲になった二人を止めようとしたが止め切れず、彩菜が勝手に家を出て行き、当主も「お前がそのつもりなら勘当だ! 二度と実家の敷居を踏むな!」と勢いで勘当してしまったのが真相のようだった。


 詰まるところ、恋愛婚であれレイプされて出来た子供が純なのである。
それを知ってしまった倫成は余計に純のことを恐ろしく思うようになっていた。
得体の知れない存在に対する朧気な恐怖だ。
他人の生い立ちは安易な気持ちで聞くものではない、と倫成は深く心に刻み込んだ。
更に純には知られてはいけないことだと言う。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...