鬼畜極道と似非王子

Neu(ノイ)

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一章:鬼畜極道は似非王子を騙す

王子とキノコと学校生活 01

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【王子とキノコと学校生活】


 次期理事長の甥と言う立場からか、特異な体質のせいか、明紫亜は学校で浮いた存在となっていた。
友人を作ろうにも触ることが出来ないというハンデが、明紫亜と周囲に壁を作っていることは確実で、理由は解っているのに解決策の見付からない状況に彼は傷付いているようだった。
逆に蒼真は、明紫亜を独占していることにある種の優越感を抱いていた。
明紫亜には自分だけでいい。
他の人間に目など向けて欲しくない。
自分だけの明紫亜でいて欲しい。
明紫亜は自分のものなのだ。
蒼真だけを頼って、二人だけで生きていければそれで良かった。
従兄への歪んだ独占欲が蒼真から友人の必要性を消し去り、明紫亜だけを想う狭い世界を作り上げてしまった。
蒼真もまた孤立した存在となっていた。


 明紫亜は、従弟が孤立していくのを自分のせいだと責めたが、蒼真にとって友人の有無などどうでもいいことである。
明紫亜以外のことで心が動くこともない。
ぼっちであろうが、嫌われようが、好かれようが、其処に明紫亜が介在しないのであれば、蒼真の心に何も残りはしなかった。


* * * * * *


 事件が起きたのは、三年生に進級して間も無い頃だった。
中等部の生徒が小等部に訪れ交流を図るイベントで、本来ならばイベントは休む明紫亜が唯一参加しているものだった。
中等部で教師をしている蒼護が小等部に訪れるので、無理をしてでも参加したいのだと明紫亜は毎年頑張っていた。
その頑張りが裏目に出てしまったのだ。


 その日は朝から父も明紫亜もテンションが高かった。
朝食のトーストを三枚も食べ、冷子に食べ過ぎだと心配される明紫亜と、逆に何も喉を通らず涼子に呆れられている蒼護は、変な緊張感を纏わせていたように思う。
毎年のことと言えばそれまでで、明紫亜も蒼護もこのイベントを楽しみにしているのを、雪代の人間は知っていた。
二人の様子が少しばかり奇異でも気にしないだけの耐性がついている。
ランドセルを背負い、黄色い横断バックを握り締め、にやけているのか強張っているのか判断のつかない変な顔の明紫亜の手を引いて蒼真は家を出た。
蒼護も似たような顔付きで涼子に笑われながら外に出て車に乗り込んでいく。


 ぎゅう、と明紫亜の小さな手が握り返してくるのに胸を高鳴らせ、自分よりも背の低い彼に目線を走らせる。
見上げてくる明紫亜が、ほわり、と笑んで「楽しみだね、ソーマ」と声を掛けてきた。
マッシュルームのような髪は、ほさり、と動いて蒼真の肩口に当たる。
くふくふ、と言う独特な音は明紫亜の笑い声だ。
それは機嫌の良い証拠だった。
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