10 / 25
一章:鬼畜極道は似非王子を騙す
王子とキノコと学校生活 01
しおりを挟む【王子とキノコと学校生活】
次期理事長の甥と言う立場からか、特異な体質のせいか、明紫亜は学校で浮いた存在となっていた。
友人を作ろうにも触ることが出来ないというハンデが、明紫亜と周囲に壁を作っていることは確実で、理由は解っているのに解決策の見付からない状況に彼は傷付いているようだった。
逆に蒼真は、明紫亜を独占していることにある種の優越感を抱いていた。
明紫亜には自分だけでいい。
他の人間に目など向けて欲しくない。
自分だけの明紫亜でいて欲しい。
明紫亜は自分のものなのだ。
蒼真だけを頼って、二人だけで生きていければそれで良かった。
従兄への歪んだ独占欲が蒼真から友人の必要性を消し去り、明紫亜だけを想う狭い世界を作り上げてしまった。
蒼真もまた孤立した存在となっていた。
明紫亜は、従弟が孤立していくのを自分のせいだと責めたが、蒼真にとって友人の有無などどうでもいいことである。
明紫亜以外のことで心が動くこともない。
ぼっちであろうが、嫌われようが、好かれようが、其処に明紫亜が介在しないのであれば、蒼真の心に何も残りはしなかった。
* * * * * *
事件が起きたのは、三年生に進級して間も無い頃だった。
中等部の生徒が小等部に訪れ交流を図るイベントで、本来ならばイベントは休む明紫亜が唯一参加しているものだった。
中等部で教師をしている蒼護が小等部に訪れるので、無理をしてでも参加したいのだと明紫亜は毎年頑張っていた。
その頑張りが裏目に出てしまったのだ。
その日は朝から父も明紫亜もテンションが高かった。
朝食のトーストを三枚も食べ、冷子に食べ過ぎだと心配される明紫亜と、逆に何も喉を通らず涼子に呆れられている蒼護は、変な緊張感を纏わせていたように思う。
毎年のことと言えばそれまでで、明紫亜も蒼護もこのイベントを楽しみにしているのを、雪代の人間は知っていた。
二人の様子が少しばかり奇異でも気にしないだけの耐性がついている。
ランドセルを背負い、黄色い横断バックを握り締め、にやけているのか強張っているのか判断のつかない変な顔の明紫亜の手を引いて蒼真は家を出た。
蒼護も似たような顔付きで涼子に笑われながら外に出て車に乗り込んでいく。
ぎゅう、と明紫亜の小さな手が握り返してくるのに胸を高鳴らせ、自分よりも背の低い彼に目線を走らせる。
見上げてくる明紫亜が、ほわり、と笑んで「楽しみだね、ソーマ」と声を掛けてきた。
マッシュルームのような髪は、ほさり、と動いて蒼真の肩口に当たる。
くふくふ、と言う独特な音は明紫亜の笑い声だ。
それは機嫌の良い証拠だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる