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一章:鬼畜極道は似非王子を騙す
王子とキノコと学校生活 04
しおりを挟む厳しい口調と態度を示す蒼真に、明紫亜の口からは「ううううぐう」と低い唸り声が漏れ出ている。
滅多に見せない蒼真の怒った顔に、彼は戸惑っているようだった。
「メシアが死んだら、皆が悲しむって、ちゃんと思い知れ、バカ。自分の命を価値のないものみたいに言うメシアが悪いんだからな。ちゃんと反省しないと母さんに本当に言うから」
ふん、と鼻息を吐き出し、いつの間にか辿り着いていた正門を潜る。
「……ソーマのバカ。僕が、幸せになるなんて、許される訳が、ないんだよ。ソーマには、わかんないんだ。皆して、僕を幸せにしようとして、なんで僕なんかに……っ、与えようと、するの? バカ、バカ、バカ! もう知らない!」
ばしん、と手を払い除けられ、マッシュルームを振り乱しながら明紫亜が叫ぶ。
拳を上下に揺らして訴える彼を眺めることしか出来なかった。
きっと明紫亜は、与えられる愛に気付いていて、受け取ることが怖かったのだ。
受け取った愛が永遠にあるだなんて保証は何処にもなくて、失う恐ろしさを知っている彼は、誰よりも臆病になっている。
それを見誤ったのは蒼真だ。
言い過ぎた、と謝ろうとして伸ばした手は、明紫亜に届くことはなかった。
走り去って行く背中を茫然と眺め、宙に浮いた腕を降ろしていく。
帰ってから謝ろうと溜息を吐き出して靴箱にと向かった。
この時、明紫亜を追い掛けて、さっさと謝っておけば良かったと、後に後悔することになるとは思いもしなかったのだ。
* * * * * *
明紫亜が保健室に運ばれたと聞いたのは、イベントも終盤に差し掛かった時だった。
「神沼君が嘔吐して保健室に運ばれた、って。少し取り乱しているみたいなんだ。雪代先生もいるらしいし大丈夫だとは思うけど。お願いできるかな?」
クラス担任が慌てた様子で蒼真の元にやって来て、耳打ちされた瞬間、蒼真は走り出していた。
明紫亜が誰かに触られたと考えるのが自然で、取り乱していると言うことは、ただ触れられただけではないと予測出来たのだ。
早く明紫亜を抱き締めて安心させたい。
人の温もりに怯える明紫亜に、家族の温かさを教えてあげたい。
幸せを怖がる従兄を甘やかして、甘えてもいいのだと思い知らせたい。
蒼真はただ、明紫亜の悲しむ顔を、傷付いた顔を、二度と見たくはないのだ。
死にたいと泣き喚いては自分の存在を呪う従兄の姿が脳裏から離れない。
何があったのかは解らないが、それでも明紫亜が傷付いて泣いている気がした。
保健室の扉を勢いよく開け、ベッドを隠しているカーテンを乱暴に引く。
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