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一章:鬼畜極道は似非王子を騙す
王子とキノコと学校生活 03
しおりを挟むどうして彼の家族になれないのだろうか、と蒼真は憤る。
家族になれたなら、傷など付けないように大事に大切に囲って閉じ込め、蒼真しか見えない世界で二人切りで生きていくのに、とやるせない想いを抱きつつも、蒼真は明紫亜を解放した。
「僕もメシアが好きだよ。メシアだけが好き。他のものなんて要らない。僕はメシアのこと全部愛してる。何もかもが愛しい。だから約束して。僕とずっと一緒に生きるって」
ソッとキノコのように膨らむ髪を撫で、頬を両手で挟む。
明紫亜は両目を瞬かせ、小さく口を開いた後で首を横に振った。
「ごめ、んね。約束は、出来ないよ。僕、生きてるの、辛い、から。いつかソーマのこと置いていなくなっちゃうかもしれない。……約束は出来ないけど。でも、ソーマは親友だもん! 命がある間は一緒がいいな」
翳った瞳が蒼真を見詰める。
切ない色を魅せた後で、明紫亜は蒼真の掌に頬を擦り寄せた。
くふり、と笑う彼の未来には、未だに『死』の影が付き纏っているのだと蒼真は思い知る。
明紫亜が望む世界には、彼自身が存在しない。
自分がいなければ皆が幸せになれる、と本気で信じているのだ。
「……メシアのいない世界なんて要らないよ。メシアがいなくなるなら、その時は一緒だ。僕はメシアを絶対に独りにしないと決めているから。何があっても離れない。勝手にいなくなるなんて許さないよ」
明紫亜の片手首を掴み乱暴に引っ張って歩く。
彼は困ったように「あうあう」と不明瞭な呟きを溢し、必死で蒼真に着いて行こうと足を動かしている。
「ソーマは、生きないと、駄目、だよ。ユキちゃんが、悲しむもん」
ぼそり、と小さな声で自分勝手なことを言い出した明紫亜に腹が立った。
「それ以上メシアが自分自身を貶めるなら、ユキちゃんに告げ口するよ。メシアが死のうとしてる、なんて知ったら、それこそ母さんは悲しむし、家族として何かが足りていなかったんだと自分を責めるだろうね。メシアはそれでいいの? 雪代の皆は、何よりもメシアを大事にしている。その愛を自分で貶すつもり? メシアは狡いよ」
手に届く距離に沢山の愛がある。
其れを見ないフリをして、自分だけに死ぬ権利があるんだと勘違いをしている。
自分が死んだところで誰にも影響がないなどと考えている明紫亜は、過去に縋って今を見ていない。
それが腹立たしくて、悲しかった。
「メシアが自分を大事にしないから、皆が必要以上に大事に大切にしているんだ。その気持ちをメシアは踏み躙るのか? じいちゃんの言葉、忘れたの? メシアの命は皆のものでもあるんだ。勘違いするなよ」
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