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一章:鬼畜極道は似非王子を騙す
極道は政治家秘書に扮する 01
しおりを挟む2.政治家秘書の吉良さん
【極道は政治家秘書に扮する】
幼い頃から豆屶 刀次郎(マメナタ トウジロウ)は、自分の家が普通ではないことを知っていた。
出入りする患者は所謂アウトローな人間ばかりで、正規の病院では診て貰えない患者を率先して治療しているのが、刀次郎の生まれ育った病院だったのだ。
物心ついた時から医療に触れていた刀次郎も治療の手伝いをよくしていた。
免許は持っていないが、父や母から実践で叩き込まれ、簡単な外科手術ならば難なくこなせる程の力は小学生にして身についていた。
それでも、家業を継ぐつもりはなく、少年と両親が言い争う回数も増えていた、そんな時のことだった。
性の目覚めと呼べば、確かにそうなのかもしれない。
初めて抱いたのは男の身体だった。
自分よりも屈強な筋肉の逞しい肉体を美しいと思った。
全く女に興奮しなかった下肢が、10歳以上も年上のヤクザの男に滾って止まらない。
その男は、組幹部の情夫だった。
決して可愛い訳でも色男でも美形でもない。
迫力のある強面で普段は色気など微塵も出さない癖に、服を脱いだ途端に艶のある顔を魅せる。
そんなギャップに幹部の男もヤラれたのだろうか。
下っ端の構成員が幹部に可愛がられる、なんてことが良くある話なのか、この当時の刀次郎には解らなかった。
メスにされて身体だけを求められる。
性処理玩具と変わらないのだと自身を下卑る彼の手を拒むことが出来なかった。
其処にあったのは、愛でも恋でも、憐憫でも同情でもない。
日常を壊した先の絶望に塗れた未来を、互いに欲していた。
浮気をすることで幹部の気持ちが何処にあるのかを確かめる。
それだけの為に彼は危険を犯してまでも刀次郎を誘惑したのだ。
刀次郎とて、男に手を出せば危ないことは承知していた。
それ以上に、確かめてみたい欲求には勝てなかった。
自分を縛る家を壊すだけの力がヤクザにはあるのか否か。
己の人生は、誰かに決められてしまうものなのか。
ただそれを知りたかった。
14歳の刀次郎は、ヤクザのイロを寝取った形となり、右頬に一生消えない傷痕を負った。
十字状のその傷は、若気の至りとも言える冒険の名残だ。
結局、刀次郎の行為には何の意味も生じはしなかった。
件の情夫を見掛けることは無くなったが、幹部の家に監禁されて変わらずにメス犬をやらされていると噂で聞く。
単なる玩具ならば捨てれば良いだけなのだから、彼は愛されているのだろう。
世間一般の感覚で言えば異常な、けれども、彼等にとっては幸せな結果とも言える。
刀次郎自身には意味がなくとも、情夫には幸せを齎した出来事だった。
暴力団構成員。
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