百花征く剣 ~ 殺して奪うか、“えっち”して複製するか ~

凪山キコ

文字の大きさ
29 / 182
第一章 アストラニア王国編

027 薔薇の試練とBランク

しおりを挟む
 王都のダンジョン『王城の地下迷宮』は、世界中のダンジョンの中でも比較的難易度が低い部類に入る。
 この国でAランク冒険者を目指すなら、ここを踏破するのが最も手っ取り早い。そしてBランク昇格を狙う場合でも、ここの地下三十階のボスを倒すのが定番かつ一番簡単な方法となる。
 ただし、女性にとっては相応の覚悟が必要だ。恋人とパーティを組んでいるならまだしも、それ以外では――。

 他にも手段があっただろうに、そこまでして急いでBランクになりたい理由は何だろう。
 イレーヌとリディアが肩を貸して連れてきた、真っ赤な顔で荒い息をつくジーナさんを見て、俺は思わず考えてしまった。

「じゃ、アレスお願いね」

 そう言って魔力空間を出て行くイレーヌとリディアを見送り、改めてジーナさんと向き合った。

「あ、アレス……ごめんね……自分たちだけで……キングを倒したかったんだけど……ダメで……」

「無理に話さなくていいですよ。あとは任せてください」

 もう、どうせならスキルを複製しておこう。〈鑑定〉――


 ジーナ ヒューマン 十八歳
 Cランク冒険者

 所持スキル:
  生活魔法[4]
  斧術[3]
  身体強化[5]
  気配察知[2]
  料理[1]


 複製するなら〈斧術〉だな。これをレベル2(2倍)で複製しよう。
 たぶん教会でかけてるだろうけど念のため――〈排卵調整バースコントロール〉。
 痛みを快楽にかえる――〈感覚変更センスモディファイ〉。
 あとは〈技巧(性)[9]〉で全力でやればなんとかなるだろう。

 着ている服は収納にいれて――〈洗浄クリーン〉。あとで返そう。

「では、ジーナさん。力を抜いてくださいね」

 ――俺は〈斧術[2]〉をゲットした。


 ジーナさんの発情状態は解消されたが、動けなかったので、服を着せてお姫様抱っこで魔力空間を出た。
 出てみると他の部屋から持ってきたのか、ベッドが三つ置いてあった。そのうち二つにはセレナさんとティアさんが同じように赤い顔で荒い息をして横たわっていた。
 俺はかなり恥ずかしがっているジーナさんを空いているベッドに寝せる。

「イレーヌ、次は誰?」

「次はセレナよ」

 俺はセレナさんをお姫様抱っこして、また魔力空間に囲まれたベッドへ。……なんだろう、この流れ作業感。


 セレナ ヒューマン 十八歳
 Cランク冒険者

 所持スキル:
  生活魔法[4]
  氷魔法[4]
  火魔法[3]
  水魔法[3]
  鑑定[3]
  料理[3]
  魔法スキル経験値アップ


 やっぱり〈氷魔法〉一択だよな。

「あ、アレス……あんまり見ないで……恥ずかしい……わ」

「何を言ってるんですか。セレナさん、とても綺麗ですよ」

「は、恥ずかしい……から……そんなこと……言わない……で」

 ――俺は〈氷魔法[2]〉をゲットした。


 セレナさんも動けなくなったので服を着せ、外へ運び出す。

「じゃ、最後はティアさんね」

「ご、ごめんね……アレス……君……迷惑……かけ……ちゃった」

「大丈夫。俺に任せてください」

 俺はティアさんをお姫様抱っこして、また魔力空間に囲まれたベッドに戻る。


 ティア ヒューマン 十八歳
 Cランク冒険者

 所持スキル:
  生活魔法[4]
  回復魔法[4]
  槌術[3]
  料理[3]
  念話


 そうだった。ティアさんから欲しいスキルって二つあるんだった。どうしよう。二つ目は〈強制終了フォースドターミネーション〉でこっそりもらうか。

 しかしやっぱり胸が大きい。ヘレナさん級と思っていたが、それ以上かもしれない。

「あ、アレス君……そんなに見ないで……好きにして……いいよ?」

「い、いえ……必ずその苦しみから解放してみせます」

「アレス君……好き……大好き」

 うっ。真っ直ぐすぎる想いが胸に刺さる。

 ――俺は〈槌術[2]〉と〈念話〉をゲットした。

 想定外というか完全に忘れていたのだが、〈念話〉のようにスキルレベルのないスキルを複製すると、快楽の倍率がやってみるまでわからないのだ。ティアさんが叫んでいたので、2倍どころではなかったのだと思う。


 一時間半かけて、三人の発情状態を解消した。最初に終わったジーナさんと、次に終わったセレナさんはもう動けるようだが、ティアさんはまだ無理なので、しばらくこのまま寛ぐことに。少し離れたところにテーブルセットと紅茶のポットとカップを置くと、リディアが俺のために紅茶を注いでくれた。

「お疲れさまでした。ご主人様」

「いや、特に問題はなかったからいいけど、普通、初めての子を満足させるとか無理だぞ」

「ご主人様なら絶対問題ないと、私とイレーヌが断言したので、彼女たちも身を任せたのでしょう」

 少し離れたところのベッドの上にいるティアさんと、ジーナさん、セレナさん、それにイレーヌが談笑している。「すこかった」とか「あんな感じなんですね」とか聞こえてくるので、さっきのことを話しているのだろう。
 しかし、ティアさんが、

「そういえば、二回目のとき……」

「「「二回目!?」」」

 俺は知らないふりをしたが、イレーヌに睨まれた。ちょっとした手違いということにした。

 ◇

 地下三十階からワープポータルで地上に戻ると、イレーヌの言っていた通り、五人の男娼が待っていたが、

「「「「「え!?」」」」」

 と全員が目を丸くして、とても困惑していた。少なくとも何名かは発情状態で戻ってくると思っていたのだろう。いつものように「お疲れ様でーす」と挨拶して、その場を去る。

 冒険者ギルドが近づくにつれ、〈迷宮の薔薇〉の三人は口数が少なくなり、顔が赤くなっていく……まあ、地下三十階のボスを倒してきました=ヤッてきました、みたいなもんだからな。


 冒険者ギルドの扉を開くと、ギルド内のざわつきはこれまで以上だった。

「おい! あいつら帰ってきたぞ! 早くないか? “男娼行き”なら早くても明日だろ?」
「今回はたまたま〈誘引(性)〉を使われなかった、とか?」
「そんなの今まで一度も聞いたことねえよ」
「じゃあ倒さず帰ってきたんじゃねぇの?」

 声がでかいので丸聞こえだが、無視して受付へ。帰りにはまだ早い時間なので、受付は五つほどしか開いていないが、サフィラさんがいたので、その窓口へ向かう。

「アレスさん! お帰りなさい! オークキングはどうでしたか?」

「無事討伐できました。ギルドカードに記録されていると思うので、確認してください」

「え……ええと……後ろの五名も一緒に討伐されたのですよね? キングは〈誘引(性)〉を使わなかったのですか?」

「いえ、普通に使ってきましたよ。状態異常を解消して戻ってきたところです」

 その一言で、ギルド内は一気に騒然となる。

「う、嘘だろ……五人だぞ!? あの三人はどうみても初めてだっただろ!?」
「なんなんだ、アイツ! 化け物かよ!」

 〈迷宮の薔薇〉の三人は真っ赤な顔で若干涙目だった。サフィラさんは半ば呆れ顔で「本当に……一人で大丈夫だったんですね」とつぶやいた。


「それではアレスさん、そして〈迷宮の薔薇〉の皆さま。Bランク昇格おめでとうございます。ギルド長からお話がありますので、こちらへどうぞ」

 ……そうだ、Bランクになれば“二つ名”が付けられるんだった。今度はまともだといいが。

 前回の“アリス”のときと同じように、二階の奥、無骨な扉の部屋へ連れて行かれる。相変わらず筋肉の塊のようなギルド長、ガルドがそこにいた。

「お、来たか。オークキングを倒したんだってな。しかし、女五人、男一人で“男娼行き”なしってのは初めて聞いたぞ」

 俺はこれになんて答えるのが正解なのかわからず、なにも答えられなかった。

「まあいい。ジーナ、セレナ、ティア、それとアレス。Bランク昇格おめでとう。知っていると思うが、Bランクになると二つ名を登録することになる。慣例に倣って俺が二つ名を付けるぞ」

 有無を言わせない流れだな。仕方ない。

「まずジーナは、《戦斧姫》だ。今もそう呼ばれているだろうが、そのままだ。これが一番お前に合っているだろう」

 そのままとかあるのか。たしかにジーナさんにはぴったりの二つ名だと思う。

「次にセレナだが、《氷霜ひょうそうの魔術師》だ。元々“氷の魔術師”と呼ばれていたようだが、それよりももっと自然現象の名称に寄せてみた。こっちのほうが強そうだろ?」

 えー!? そんな理由で二つ名付けるの? いや、かっこいいとは思うけど。

「そしてティア。お前は《紅血の天使》だ。まあ、意味合いは今呼ばれている“血染めの天使”と同じなんだが、血染めは物騒だろ? 少し柔らかくしてみた」

 パッと見はかっこいい気もするが、意味が一緒なんだよな……殴りヒーラーである以上、仕方ないのかもしれない。

「それで、アレスなんだが……先にパーティ名決めてくれねぇか? お前とイレーヌとリディアのパーティ名だ。さすがにBランクパーティで名無しってのもな」

 そういや俺たち、ずっと名無しのパーティだったな。考えていた名前はある――ここで決めよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。 ※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

処理中です...