百花征く剣 ~ 殺して奪うか、“えっち”して複製するか ~

凪山キコ

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第四章 モノ・インフィニティ編

155 強化された集落と隷属の可能性

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 昨日更地にしたオークの集落を越え、次の集落を目指す。
 飛行していたため、すぐに到着した。見える限り、構成はすべてオークのようだ。
 この集落にいたのも、昨日と同じくオーク、オークアーチャー、オークマジシャン、オークプリーストだった。

(この集落は被害者もいないようだし、放置でいいか)

 そう判断して先へ進もうとした、そのときだった。
 見えない壁に阻まれて前進できなくなり、直後に機械的なメッセージが流れる。

『集落を壊滅させていないため、この先に進むことはできません』

 マジか……。
 集落をすべて潰しながら進まないといけない、というわけか。仕方ない。順番に潰して回るしかないな。

 せっかくなので、“レッドキャップ”の姿でアレス流短剣術をカスタマイズしつつ、殲滅していくことにした。

(今のところ、どの集落も五十匹前後。一集落を壊滅させて更地にするまで、だいたい三十分くらいか。剣だとどうしても接近に時間がかかる。“全滅バッチ”なら一瞬なんだが)


 一つ目の集落を壊滅させ、次へ。
 その集落も壊滅させ、さらに進んで本日三つ目の集落に到着した。

(ここも同じか。オーク、オークアーチャー、オークマジシャン、オークプリースト……先は遠そうだな……ん? ヒューマンが一人いる?)

 三つ目の集落には、捕まっているヒューマンがいるようだった。
 これまでと同じ手順でオークを壊滅させ、捕まっているヒューマンがいる建物に〈洗浄クリーン〉をかけてから中へ入る。

(やはり、硬い木の棒とロープで拘束するやり方は同じか)

 中には、尻だけがこちらを向くように固定された、ガリガリに痩せた女性がいた。
 これまでと同様に〈熟睡ディープスリープ〉で眠らせ、拘束を解き、〈堕胎アボーション〉で処置を行う。
 一度外に出て客車を呼び出し、室内のベッドに寝かせたあと、〈完治2エクストラヒール・セカンド〉で痩せ細った身体を健康な状態に戻した。

(これは明日の朝、また階段エリアに戻ることになりそうだな……まあ、仕方ないか)

 とりあえず今日は、進めるところまで進んでみよう。

 その後、六つの集落を壊滅させる間に救助者が二人増え、本日の救助者は合計三人となった。

(昨日と今日で、合計十の集落を潰したが、すべて同じ構成だったな。先は長そうだ……)

 今日のダンジョンアタックを終え、最後に壊滅させた集落――採取ポイントに客車を置き、〈空架障壁スペースシールド〉で周囲を囲ってから中へ入った。

(仕方ないとはいえ、被害者を救出すると移動速度が一気に落ちるな)

 救出した女性たちを客車ごと浮かせて運ぶため、急加速や急停止ができず、どうしても移動が遅くなってしまう。

(まずは三人の治療だ。明日は朝から階段エリアだな)

 俺は三人を“治療”した。
 誰か〈光魔法〉を持っていないかと少し期待したが、そう都合よくはいかず、欲しいスキルを持つ者はいなかった。

 ◇

 翌朝、いつもどおり服と下着、靴を与え、朝食を食べさせる。
 俺が新品同様に修理しておいた装備の中に三人のものがあったので、それを返し、階段エリアまで同行して別れた。
 彼女たちはそれぞれ別のパーティに所属する冒険者で、自分たち以外は全員死亡したのだという。

(この人たちは、これから一人で冒険者を続けるだろうか。依頼を受けると縛られるし、自由に進路を決めてもらうなら、今回は依頼しない方がいいな)

 彼女たちの雰囲気を見てそう感じた俺は、あえて今回は何も依頼しなかった。


 階段エリアから、昨日までに壊滅させたオーク集落の最前線へ戻る途中で、異変に気づいた。

(あれ? 二日前に壊滅させたはずの集落に、オークがいる?)

 そこでは五十匹ほどのオークが、せっせと木材を運び、建物を建てていた。俺がすべて回収したせいだろう。

(まさか、ここから壊滅をやり直せとか言わないよな……)

 おそるおそるそのエリアを越えて先へ進んでみたが、特に壁はなかった。

(どこまで壊滅させたか、ダンジョンが記憶しているのか。壊滅フラグと現象は別管理ということだろう。これなら、救助者が出ても階段エリアに戻って問題なさそうだな)

 そのまま飛び続け、昨日までに壊滅させた十個の集落を越え、十一個目の集落へと辿り着く。

(お? 何匹か、明らかに強いのがいるな)

 確認するとハイオークだった。
 これまでの構成にハイオークが十匹追加され、総数は六十匹。

(スキルレベル6……地下四十一階以降の魔物レベルじゃないか)

 この時点で、Aランク冒険者でなければ対処は難しい。
 本来、ソロで攻略する前提のダンジョンではないのだろう。

(まあ、俺はゴブリンの姿だし、一人でやるしかないんだが。それより……ヒューマンも捕まっているな)

 ヒューマンが一人、捕らえられているようだった。

(とりあえず“セインテス”に切り替えて、“全滅バッチ”起動)

 昨日までで“レッドキャップ”の身体にはかなり慣れ、アレス流短剣術のカスタマイズも終えている。

(……やっぱり、ハイオークは生き残るか)

 多少のダメージは入っていたが、十匹のハイオークは倒れず生き残った。
 俺は“レッドキャップ”のショートソードで、一匹ずつ止めを刺して回った。

 捕まっていた女性を救助し、客車に乗せる。
 集落内の物資をすべて亜空間へ収納したあと、次の集落へ向かった。

(一日で、十個の集落を壊滅させるくらいのペースになりそうだな)

 そう考えながら、次の集落へと移動した。

***

 夕方までに十個の集落を壊滅させた俺は、最後に壊滅させた集落の物資をすべて亜空間へ収納し、そこに客車を置いた。
 途中でもう一人救助しており、本日の救助者は計二人だ。

 救助した女性たちはBランク相当のスキルを持っており、決して弱くはない。
 通常のダンジョンであれば、ハイオーク程度なら普通に倒せていただろう。
 やはり、このダンジョン自体が異常なのだ。

 二人を“治療”したが、どちらも〈光魔法〉は持っていなかった。
 治療後、レオンに貸しているマジックバッグの亜空間を覗いてみたが、手紙と動画保存カードはそのまま残っている。やはり、まだ気づいていないか……。

 時間に余裕があったので、現在の自分のスキルを確認していて、ふと気づいた。
 これまでの女性たちの“治療”によって、俺の〈隷属魔法〉はレベル9に達している。
 そして〈隷属魔法〉の第五階梯には、〈魔物隷属モンスターテイム〉――魔物を従魔にする魔法があった。

(このダンジョンだと、触れてから〈無詠唱〉じゃないと使えなさそうだな……。オークの集落にいる全オークを従魔にして、次の集落を襲わせることはできるだろうか?)

 明日、救助した女性を階段エリアへ送り届けたら、試してみるとしよう。
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