65 / 141
3章 蜜月
21話 サプライズ大作戦 1
◇◇◇
七月十七日(水)
プロジェクト本番まであと二週間。私たちは、朝から準備に追われている。そして、その慌ただしさに追い打ちをかけるように、七月十七日の今日、もう一つの大きなイベントが夜に待ち受けていた。
お昼休み。オフィスから少し離れた定食屋で、私たち五人は一つのテーブルを五人で囲み、それぞれが手帳を広げ真剣な眼差しを向ける。周囲を見渡し、浩ちゃんが声を潜める。
「今日の手配は済んでる?」
「問題なし。業務終了後、すぐにゆきちゃんと取りに行くことになっております」
「取りに行ったら、そのまま陽ちゃんと私で会場スタッフに預ける予定」
「よし、そっちは問題なさそうだな。会場との確認は?」
浩ちゃんの顔が憲吾と私に向けられる。その表情は真剣そのもの。この取り組みに対する熱意がひしひしと伝わってくる。
「現場環境、時間は全てチェック済み」
「よし、憲吾ありがとう」
「会場スタッフとの事前確認も問題なし。責任者許可も大丈夫です」
「ゆりちゃんも完璧。会場側全て問題なしやな。あとはブツやけど」
浩ちゃんの視線を受け、私は力強く頷く。
「そちらは私が調達済みです。自分の分もあるので、全て受取り後、会場に向かいます」
「了解。よし、準備、確認関連は全て問題なし。あとは業務終了後。各自確実に任務を全うせよ」
言い終えた浩ちゃんがとても満足そうな顔をする。
「広斗の誕生日だからな。今までも同期みんなの誕生日を盛大にお祝いしてきたやろ。今日もしっかりお祝いしないとな!」
浩ちゃんの言葉にゆきちゃんは大きく頷いた。
「そうだね。広斗くん喜んでくれるかな」
「なんでこんなプロジェクト間近に、矢野の誕生日なのよ!」
「おかげで午前中の仕事、みんな無言だったね。定時に終わらせるために必死」
本当に陽子の言う通り。プロジェクト間近で様々なことが大詰めを迎えていて、今日中提出の資料も多いというのに、そんな中で誕生日を祝おうというのだから、必死にならざるを得ない。必死になって終わらせないと、本当に終わらない。
「静か過ぎて、俺、もう限界でさ」
「憲吾、突然噴き出すんだもん!」
「草下だってそのままつられて笑ってたろ?」
「だって、あんなの無理だよ。でもさみんなあの時、同じこと思ってたよね」
「ゆりと憲吾が普通に笑い出すから、私も笑っちゃったよ。もう耐えられなかった。あんなに誰もしゃべらないことなんて、あのプロジェクト始まって初めてでしょ」
「広斗くん、変な顔してたね。話しかけてもみんながしゃべらないから」
広斗の不思議そうな表情を思い出して、みんながクスクスと笑う。
「でも、午後も頑張らないと。定時に終わらないよ」
「右に同じ。お店は七時からだっけ?」
ゆきちゃんに続いて、陽子も同じくため息をついた。確かに午後も相当必死に作業を進めなければ、今日の飲み会に参加すること自体難しくなるだろう。
「うん。先にお店行ったり、ケーキ取りに行ったり、プレゼント調達したりがあるから、頑張ろうな」
浩ちゃんの声と共に立ち上がり、オフィスにバラバラに戻る。
七月十七日(水)
プロジェクト本番まであと二週間。私たちは、朝から準備に追われている。そして、その慌ただしさに追い打ちをかけるように、七月十七日の今日、もう一つの大きなイベントが夜に待ち受けていた。
お昼休み。オフィスから少し離れた定食屋で、私たち五人は一つのテーブルを五人で囲み、それぞれが手帳を広げ真剣な眼差しを向ける。周囲を見渡し、浩ちゃんが声を潜める。
「今日の手配は済んでる?」
「問題なし。業務終了後、すぐにゆきちゃんと取りに行くことになっております」
「取りに行ったら、そのまま陽ちゃんと私で会場スタッフに預ける予定」
「よし、そっちは問題なさそうだな。会場との確認は?」
浩ちゃんの顔が憲吾と私に向けられる。その表情は真剣そのもの。この取り組みに対する熱意がひしひしと伝わってくる。
「現場環境、時間は全てチェック済み」
「よし、憲吾ありがとう」
「会場スタッフとの事前確認も問題なし。責任者許可も大丈夫です」
「ゆりちゃんも完璧。会場側全て問題なしやな。あとはブツやけど」
浩ちゃんの視線を受け、私は力強く頷く。
「そちらは私が調達済みです。自分の分もあるので、全て受取り後、会場に向かいます」
「了解。よし、準備、確認関連は全て問題なし。あとは業務終了後。各自確実に任務を全うせよ」
言い終えた浩ちゃんがとても満足そうな顔をする。
「広斗の誕生日だからな。今までも同期みんなの誕生日を盛大にお祝いしてきたやろ。今日もしっかりお祝いしないとな!」
浩ちゃんの言葉にゆきちゃんは大きく頷いた。
「そうだね。広斗くん喜んでくれるかな」
「なんでこんなプロジェクト間近に、矢野の誕生日なのよ!」
「おかげで午前中の仕事、みんな無言だったね。定時に終わらせるために必死」
本当に陽子の言う通り。プロジェクト間近で様々なことが大詰めを迎えていて、今日中提出の資料も多いというのに、そんな中で誕生日を祝おうというのだから、必死にならざるを得ない。必死になって終わらせないと、本当に終わらない。
「静か過ぎて、俺、もう限界でさ」
「憲吾、突然噴き出すんだもん!」
「草下だってそのままつられて笑ってたろ?」
「だって、あんなの無理だよ。でもさみんなあの時、同じこと思ってたよね」
「ゆりと憲吾が普通に笑い出すから、私も笑っちゃったよ。もう耐えられなかった。あんなに誰もしゃべらないことなんて、あのプロジェクト始まって初めてでしょ」
「広斗くん、変な顔してたね。話しかけてもみんながしゃべらないから」
広斗の不思議そうな表情を思い出して、みんながクスクスと笑う。
「でも、午後も頑張らないと。定時に終わらないよ」
「右に同じ。お店は七時からだっけ?」
ゆきちゃんに続いて、陽子も同じくため息をついた。確かに午後も相当必死に作業を進めなければ、今日の飲み会に参加すること自体難しくなるだろう。
「うん。先にお店行ったり、ケーキ取りに行ったり、プレゼント調達したりがあるから、頑張ろうな」
浩ちゃんの声と共に立ち上がり、オフィスにバラバラに戻る。
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
再会した御曹司は 最愛の秘書を独占溺愛する
猫とろ
恋愛
あらすじ
青樹紗凪(あおきさな)二十五歳。大手美容院『akai』クリニックの秘書という仕事にやりがいを感じていたが、赤井社長から大人の関係を求められて紗凪は断る。
しかしあらぬ噂を立てられ『akai』を退社。
次の仕事を探すものの、うまく行かず悩む日々。
そんなとき。知り合いのお爺さんから秘書の仕事を紹介され、二つ返事で飛びつく紗凪。
その仕事場なんと大手老舗化粧品会社『キセイ堂』 しかもかつて紗凪の同級生で、罰ゲームで告白してきた黄瀬薫(きせかおる)がいた。
しかも黄瀬薫は若き社長になっており、その黄瀬社長の秘書に紗凪は再就職することになった。
お互いの過去は触れず、ビジネスライクに勤める紗凪だが、黄瀬社長は紗凪を忘れてないようで!?
社長×秘書×お仕事も頑張る✨
溺愛じれじれ物語りです!
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。