社内恋愛ファースト・シーズン

アリスの鏡

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3章 蜜月

21話 サプライズ大作戦 1

◇◇◇

 七月十七日(水)

 プロジェクト本番まであと二週間。私たちは、朝から準備に追われている。そして、その慌ただしさに追い打ちをかけるように、七月十七日の今日、もう一つの大きなイベントが夜に待ち受けていた。

 お昼休み。オフィスから少し離れた定食屋で、私たち五人は一つのテーブルを五人で囲み、それぞれが手帳を広げ真剣な眼差しを向ける。周囲を見渡し、浩ちゃんが声を潜める。

「今日の手配は済んでる?」

「問題なし。業務終了後、すぐにゆきちゃんと取りに行くことになっております」

「取りに行ったら、そのまま陽ちゃんと私で会場スタッフに預ける予定」

「よし、そっちは問題なさそうだな。会場との確認は?」

 浩ちゃんの顔が憲吾と私に向けられる。その表情は真剣そのもの。この取り組みに対する熱意がひしひしと伝わってくる。

「現場環境、時間は全てチェック済み」

「よし、憲吾ありがとう」

「会場スタッフとの事前確認も問題なし。責任者許可も大丈夫です」

「ゆりちゃんも完璧。会場側全て問題なしやな。あとはブツやけど」

 浩ちゃんの視線を受け、私は力強く頷く。

「そちらは私が調達済みです。自分の分もあるので、全て受取り後、会場に向かいます」

「了解。よし、準備、確認関連は全て問題なし。あとは業務終了後。各自確実に任務を全うせよ」

 言い終えた浩ちゃんがとても満足そうな顔をする。

「広斗の誕生日だからな。今までも同期みんなの誕生日を盛大にお祝いしてきたやろ。今日もしっかりお祝いしないとな!」

 浩ちゃんの言葉にゆきちゃんは大きく頷いた。

「そうだね。広斗くん喜んでくれるかな」

「なんでこんなプロジェクト間近に、矢野の誕生日なのよ!」

「おかげで午前中の仕事、みんな無言だったね。定時に終わらせるために必死」

 本当に陽子の言う通り。プロジェクト間近で様々なことが大詰めを迎えていて、今日中提出の資料も多いというのに、そんな中で誕生日を祝おうというのだから、必死にならざるを得ない。必死になって終わらせないと、本当に終わらない。

「静か過ぎて、俺、もう限界でさ」

「憲吾、突然噴き出すんだもん!」

「草下だってそのままつられて笑ってたろ?」

「だって、あんなの無理だよ。でもさみんなあの時、同じこと思ってたよね」

「ゆりと憲吾が普通に笑い出すから、私も笑っちゃったよ。もう耐えられなかった。あんなに誰もしゃべらないことなんて、あのプロジェクト始まって初めてでしょ」

「広斗くん、変な顔してたね。話しかけてもみんながしゃべらないから」

 広斗の不思議そうな表情を思い出して、みんながクスクスと笑う。

「でも、午後も頑張らないと。定時に終わらないよ」

「右に同じ。お店は七時からだっけ?」

 ゆきちゃんに続いて、陽子も同じくため息をついた。確かに午後も相当必死に作業を進めなければ、今日の飲み会に参加すること自体難しくなるだろう。

「うん。先にお店行ったり、ケーキ取りに行ったり、プレゼント調達したりがあるから、頑張ろうな」

 浩ちゃんの声と共に立ち上がり、オフィスにバラバラに戻る。
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