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3章 蜜月
21話 サプライズ大作戦 3
◇◇◇◇◇
昨日、日課になっている広斗からの電話をとったのは、ベッドに寝転がって少しした頃だった。目を閉じていると、いつも通り枕元に置いてあるスマホがその体を震わせる。手を伸ばし、震えているそれを手にする。顔の前に掲げて目を開ければ、画面には『矢野広斗』の名前。
広斗に見られるわけではないけれど、なんとなく自分の姿を見て髪を手で整える。「よし」と一言呟いて通話ボタンを押した。「はい」と出る私に、「俺」と広斗が返すのは、もう定番。
「私も電話しようと思ってた」
「あぁ。風呂入った?」
「うん、もう入ったよ。広斗は?」
「俺も入った。お前さ、今日なんか用事あったの? 珍しくさっさと帰ってたけど」
「あ、ちょっと買い物があって」
広斗の誕生日のことでお店との打ち合わせをするために、六時半前にオフィスを出た私。特に用事がない限り、六時台に帰ることはない。しかし、本当のことを言うわけにもいかず、なんとか言葉を紡ぐ。
「そっか。そういえば、牧野がさ」
広斗は特に怪しむ素振りも見せずに、そのまま別の話をし始めた。二人でたわいもない話を続け、そして十分、二十分と時間が経ち、チェストの上の丸い置時計の短針と長針が重なり、ゼロを指した。
「あ、広斗! お誕生日!」
「おぉ」
「二十三歳だね。おめでとう」
「どうも」
「嬉しい?」
「普通。喜びも悲しみもない」
「そりゃそうでしょうけど」
電話の向こうから聞こえる笑い声。それにニヤニヤしてる自分に気づいて、慌てて唇を結んだ。
「明日っていうか今日の夜飲み会だよな」
「うん、七時からだよ。広斗お仕事は終わりそう?」
「俺は終わる。他のやつらの方が心配だろ。お前は……大丈夫か」
「私は大丈夫。六時ぴったりに上がりますよ」
「明日さ、飲み会の後、俺の家来いよ」
「え?」
「誕生日の夜くらい……お前と一緒にいたい」
電話越しに、広斗が照れているのがわかる。
「……うん。行く」
こうして広斗の家に一人で泊まることがこれから増えていくのかな。少しずつ、同期としてではない、二人の思い出が増えていくのかな。そう思ったら胸の真ん中がくすぐったくて温かくなった。
スマホを枕元に置いて、布団の中に潜り込む。ふわふわする胸に右手を置いて、そのまま目を閉じた。
◇◇◇◇◇
昨日、日課になっている広斗からの電話をとったのは、ベッドに寝転がって少しした頃だった。目を閉じていると、いつも通り枕元に置いてあるスマホがその体を震わせる。手を伸ばし、震えているそれを手にする。顔の前に掲げて目を開ければ、画面には『矢野広斗』の名前。
広斗に見られるわけではないけれど、なんとなく自分の姿を見て髪を手で整える。「よし」と一言呟いて通話ボタンを押した。「はい」と出る私に、「俺」と広斗が返すのは、もう定番。
「私も電話しようと思ってた」
「あぁ。風呂入った?」
「うん、もう入ったよ。広斗は?」
「俺も入った。お前さ、今日なんか用事あったの? 珍しくさっさと帰ってたけど」
「あ、ちょっと買い物があって」
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「あ、広斗! お誕生日!」
「おぉ」
「二十三歳だね。おめでとう」
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「そりゃそうでしょうけど」
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「明日さ、飲み会の後、俺の家来いよ」
「え?」
「誕生日の夜くらい……お前と一緒にいたい」
電話越しに、広斗が照れているのがわかる。
「……うん。行く」
こうして広斗の家に一人で泊まることがこれから増えていくのかな。少しずつ、同期としてではない、二人の思い出が増えていくのかな。そう思ったら胸の真ん中がくすぐったくて温かくなった。
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