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4章 二人の男、大人の男
25話 真夜中の抱擁 1
浩ちゃんの部屋にゆきちゃんを残し、四人で部屋を後にして、エレベーターホールに向かう。ほろ酔い気分。いや、きっと気分じゃなくて確実にほろ酔いだけど。寝不足、過労にアルコールはとてもよく効くみたい。
「眠気やばいな。明日寝ないようにしねぇとなぁ」
お酒に強い広斗もさすがに眠そうで、後ろからふわふわとした声が聞こえてきた。
「本当だね。明日のプロジェクトの打ち上げの打ち上げ辛そうだなぁ。私、起きてられるかな」
もう時計は深夜二時を回っている。カクテル缶を半分飲んだだけなのに、体が熱くて猛烈に眠い。今日すでにこんな状態だっていうのに、明日は本番も本番で、さらにそのあとには打ち上げが待っている。どれだけ飲むことになるだろう。
(……本当に眠い)
眠気に支配されていく頭がみんなの声を遠ざける。歩いているはずなのに、自然と瞼が閉じられていく。
「……ちょっと、ゆり! 歩きながら寝ないの。危ないでしょ」
「ん? うん……」
そう言って陽子は、私の手を掴んだ。そのまま手を引かれて、私は意識半分で歩いて行く。そして、エレベーターに乗った瞬間にようやく気付いた。
(——広斗は?)
後ろを歩いていた広斗の姿がいつの間にか、ない。
「……ねえ、広斗は?」
「あぁ、なんか電話かかってきたって。話してる」
そう憲吾が答えて、閉まったエレベーターの扉を指さした。憲吾は普通のことみたいに言うけれど、今はもう夜中の二時だ。こんな時間に電話が来ることに胸がざわりと音を立てた。
合わさった視線を外せないでいる私に、憲吾が再び口を開いた。
「南野だからさ」
大丈夫だよと言い聞かせるみたいに、私を安心させるように、肩を叩きながら。
「……南ちゃん」
「なんか相談があるって言われたらしくて。毎日、話を聞いてるやってるみたい」
心臓が嫌な音で早鐘を打ち、眠気も酔いも一気に醒ました。代わりに、「毎日」という言葉が眩暈を連れてくる。二人が何を話しているのか、私は知らない。南ちゃんが広斗に相談していたなんて知らなかった。
彼女が何かを悩んでいるのなら、誰かに相談するのは普通のことで、その相手がたまたま広斗だっただけ。そして、広斗はその相談に乗っているだけ。だって、同期だから。会社中の人から「仲が良すぎる」と言われている私たちなのだから。その同期の相談に乗るなんて、当たり前。
そう、当たり前で普通のことなのに。嫌な予感を拭い去ることができない。ざわつく胸を鎮めることができない。考え過ぎだと、そう思いたいのに。広斗に向けられる、あの眼差し。私に向けられる、鋭い視線。その全てが真っ直ぐで強くて、私の胸を締め付ける。
「眠気やばいな。明日寝ないようにしねぇとなぁ」
お酒に強い広斗もさすがに眠そうで、後ろからふわふわとした声が聞こえてきた。
「本当だね。明日のプロジェクトの打ち上げの打ち上げ辛そうだなぁ。私、起きてられるかな」
もう時計は深夜二時を回っている。カクテル缶を半分飲んだだけなのに、体が熱くて猛烈に眠い。今日すでにこんな状態だっていうのに、明日は本番も本番で、さらにそのあとには打ち上げが待っている。どれだけ飲むことになるだろう。
(……本当に眠い)
眠気に支配されていく頭がみんなの声を遠ざける。歩いているはずなのに、自然と瞼が閉じられていく。
「……ちょっと、ゆり! 歩きながら寝ないの。危ないでしょ」
「ん? うん……」
そう言って陽子は、私の手を掴んだ。そのまま手を引かれて、私は意識半分で歩いて行く。そして、エレベーターに乗った瞬間にようやく気付いた。
(——広斗は?)
後ろを歩いていた広斗の姿がいつの間にか、ない。
「……ねえ、広斗は?」
「あぁ、なんか電話かかってきたって。話してる」
そう憲吾が答えて、閉まったエレベーターの扉を指さした。憲吾は普通のことみたいに言うけれど、今はもう夜中の二時だ。こんな時間に電話が来ることに胸がざわりと音を立てた。
合わさった視線を外せないでいる私に、憲吾が再び口を開いた。
「南野だからさ」
大丈夫だよと言い聞かせるみたいに、私を安心させるように、肩を叩きながら。
「……南ちゃん」
「なんか相談があるって言われたらしくて。毎日、話を聞いてるやってるみたい」
心臓が嫌な音で早鐘を打ち、眠気も酔いも一気に醒ました。代わりに、「毎日」という言葉が眩暈を連れてくる。二人が何を話しているのか、私は知らない。南ちゃんが広斗に相談していたなんて知らなかった。
彼女が何かを悩んでいるのなら、誰かに相談するのは普通のことで、その相手がたまたま広斗だっただけ。そして、広斗はその相談に乗っているだけ。だって、同期だから。会社中の人から「仲が良すぎる」と言われている私たちなのだから。その同期の相談に乗るなんて、当たり前。
そう、当たり前で普通のことなのに。嫌な予感を拭い去ることができない。ざわつく胸を鎮めることができない。考え過ぎだと、そう思いたいのに。広斗に向けられる、あの眼差し。私に向けられる、鋭い視線。その全てが真っ直ぐで強くて、私の胸を締め付ける。
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