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5章 混沌の交差点
33話 届かない 1
広斗の家の最寄駅を降りて、彼の家に向かう。この三か月、毎日、毎週のように一緒にいた。広斗の家へ続くその道は通い慣れた道となっていたのに、今日はいつもと違う道みたい。通りから見える広斗の部屋。外は暗いのに、そこに明かりは灯っていなくて、想像力豊かな頭が嫌なことばかりを私に思い浮かべさせるから、だんだんと歩みが遅くなる。
いつもなら数十秒でたどり着く道のりを何分もかける私は、さながら不審者のよう。そして、なんとか家の門の前に着いたものの、そのまま普通に入ることができない。頭の中で繰り広げられる、嫌な想像のせい。もしも、声が聞こえてきたら。もしも、そのシーンを見てしまったら。
見たことなんてないのに、南ちゃんに優しく触れる広斗の映像が頭の中で何度も流れて、私の足をそれ以上前に進ませない。どうしてもそのまま行く勇気が出ない。
「……やっぱり無理」
スマホを取り出して広斗に電話をする。コール音が鳴ってから、すぐに電話に出てくれた広斗。入り口のところまで迎えに来てくれる。
「早かったな」
いつもと変わらない笑顔。
「うん。池袋で買い物してたから」
「そっか、入れよ」
広斗の後に続いて部屋に入ると、やはり中は暗くて、テレビが付いていた。映画が切なげな音楽とともに流れている。それを見た私は、小さく安堵のため息を漏らした。部屋の入り口でぼうっと立っていると、そのテレビの前に南ちゃんが座っていることに気付く。
「南ちゃん」
私の声に反応して、彼女はこちらをちらっと見ると手を上げる。そして、一言も声を出すことなく、再びテレビに顔を向けた。同じくテレビに視線を向けると、映画がクライマックスに差し掛かっているらしいことに気付く。
無意識に再び息を吐いて、静かに荷物を置き、空いているソファに腰を下ろす。すると、すぐに隣に広斗が座った。
思わず広斗を見ると、目が合ってお互いに微笑んだ。その笑顔にまた少しだけ不安が消える。気にするのはやめよう。きっと、私が不安になることなんてない。
映画が終わらないうちに、陽子も到着し、部屋に入った瞬間に私たちの様子を確認するように見た。それに気付いた私が曖昧に笑うと、陽子は少し呆れた顔を見せた。次第に新卒メンバーも到着し、集合時間の二十二時までまだ少し時間があるものの、もうみんなが揃っていた。
みんなが揃うと楽しくて、さっきまでの落ち込んだ気分が少しずつ晴れていく。最後に到着した浩ちゃんが話し出す。
「みんな早いな。何時に来たん?」
「私は七時前くらいかな……」
「私、七時半くらい!」
「なんだ、僕ももっと早く来ればよかった。もうビールないし。買ってこよ!」
浩ちゃんのその言葉に、「私も欲しいのあるから、一緒に行くよ!」と陽子が答えて、二人でコンビニに行ってしまった。それを見送ってから、部屋を見渡す。
いつもなら数十秒でたどり着く道のりを何分もかける私は、さながら不審者のよう。そして、なんとか家の門の前に着いたものの、そのまま普通に入ることができない。頭の中で繰り広げられる、嫌な想像のせい。もしも、声が聞こえてきたら。もしも、そのシーンを見てしまったら。
見たことなんてないのに、南ちゃんに優しく触れる広斗の映像が頭の中で何度も流れて、私の足をそれ以上前に進ませない。どうしてもそのまま行く勇気が出ない。
「……やっぱり無理」
スマホを取り出して広斗に電話をする。コール音が鳴ってから、すぐに電話に出てくれた広斗。入り口のところまで迎えに来てくれる。
「早かったな」
いつもと変わらない笑顔。
「うん。池袋で買い物してたから」
「そっか、入れよ」
広斗の後に続いて部屋に入ると、やはり中は暗くて、テレビが付いていた。映画が切なげな音楽とともに流れている。それを見た私は、小さく安堵のため息を漏らした。部屋の入り口でぼうっと立っていると、そのテレビの前に南ちゃんが座っていることに気付く。
「南ちゃん」
私の声に反応して、彼女はこちらをちらっと見ると手を上げる。そして、一言も声を出すことなく、再びテレビに顔を向けた。同じくテレビに視線を向けると、映画がクライマックスに差し掛かっているらしいことに気付く。
無意識に再び息を吐いて、静かに荷物を置き、空いているソファに腰を下ろす。すると、すぐに隣に広斗が座った。
思わず広斗を見ると、目が合ってお互いに微笑んだ。その笑顔にまた少しだけ不安が消える。気にするのはやめよう。きっと、私が不安になることなんてない。
映画が終わらないうちに、陽子も到着し、部屋に入った瞬間に私たちの様子を確認するように見た。それに気付いた私が曖昧に笑うと、陽子は少し呆れた顔を見せた。次第に新卒メンバーも到着し、集合時間の二十二時までまだ少し時間があるものの、もうみんなが揃っていた。
みんなが揃うと楽しくて、さっきまでの落ち込んだ気分が少しずつ晴れていく。最後に到着した浩ちゃんが話し出す。
「みんな早いな。何時に来たん?」
「私は七時前くらいかな……」
「私、七時半くらい!」
「なんだ、僕ももっと早く来ればよかった。もうビールないし。買ってこよ!」
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