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6章 慈しみ
38話 無自覚な罪 3
トイレから戻ると、南野と二人で笑って話している姿を見て少し安心する。なるべく、あいつの傍に行って話をしようと思って隣に移動した。少し頬が赤くなってるのを見て、大丈夫かと聞くと、大丈夫だと言って笑うから俺はまた少し安心する。
隣にこいつがいればいい。別に手をつなぐわけでも、触れるわけでもないけれど、隣にいるだけで俺のものだって思えるから。野原と話している楽しそうな笑い声をなんとなく聞きながら、他のやつと話している時だった。
「南ちゃん、どうしたの? 気分でも——」
あいつの心配そうな声が聞こえてきたと思った瞬間、体がぎゅっと誰かに押された。驚いて振り向けば、南野がそこにいた。そして、あいつは慌てたようにトイレに立つ。なにが起こったのかわからなくてその背中を見つめていたら、腕をきゅっと掴まれる感覚がしてそちらを見た。
「どうした?」って小声で聞けば、「みんなと話せない」って泣きそうになっていて。俺の腕をつかむ細い手が少し震えている。
「大丈夫だって」
「……うん」
南野が会話に加わることができるように、南野になるべく話しかければ南野も嬉しそうに笑う。それでも、時々あいつが気になって何度も隣に行く。でも、最終的には逃げるように俺から離れていった。
そういえば、「みんなの前では恥ずかしい」と言っていた気がする。
諦めて、俺は周りに勧められるまま酒を飲んだ。飲んでいる間、時々南野が俺の手を掴んだり、腕を組んだりするようにしてきたけど、酔っぱらっている俺は気にも留めなかった。由紀恵だって野原だって、それにあいつだって同期には気を許しているせいか、同期同士ふざけて腕を組むくらい日常的なことだったから。
時計は深夜〇時を回り、ペースの速い飲み会により、少しずつみんなが横になって眠っていく。明かりを暗くして、いつでも眠れるようにした室内は、暗闇に包まれている。豆電球の小さな明かりだけが微かにみんなを照らす。俺も久しぶりにかなり酔っていて、そのままソファに倒れるようにして寝てしまった。
横になるとすぐに眠気がやってきて、意識が遠のく。
意識が遠のく中、誰かが隣に寄り添ってきた。遠慮がちに、でも甘えるように体を寄せてくる。あいつだ。香りがいつもと違う気がしたけど、酔っているせいで深く考えなかった。俺は安心しきって、その温もりを抱き寄せた。
南野と出掛けたことを知っても、理由を話さなくても、こうして寄り添ってくれる。やっぱりあいつは、俺のことをわかってくれてる。
(良かった……)
俺は愛おしさを込めて腕に力を入れ、深い眠りに落ちていった。
隣にこいつがいればいい。別に手をつなぐわけでも、触れるわけでもないけれど、隣にいるだけで俺のものだって思えるから。野原と話している楽しそうな笑い声をなんとなく聞きながら、他のやつと話している時だった。
「南ちゃん、どうしたの? 気分でも——」
あいつの心配そうな声が聞こえてきたと思った瞬間、体がぎゅっと誰かに押された。驚いて振り向けば、南野がそこにいた。そして、あいつは慌てたようにトイレに立つ。なにが起こったのかわからなくてその背中を見つめていたら、腕をきゅっと掴まれる感覚がしてそちらを見た。
「どうした?」って小声で聞けば、「みんなと話せない」って泣きそうになっていて。俺の腕をつかむ細い手が少し震えている。
「大丈夫だって」
「……うん」
南野が会話に加わることができるように、南野になるべく話しかければ南野も嬉しそうに笑う。それでも、時々あいつが気になって何度も隣に行く。でも、最終的には逃げるように俺から離れていった。
そういえば、「みんなの前では恥ずかしい」と言っていた気がする。
諦めて、俺は周りに勧められるまま酒を飲んだ。飲んでいる間、時々南野が俺の手を掴んだり、腕を組んだりするようにしてきたけど、酔っぱらっている俺は気にも留めなかった。由紀恵だって野原だって、それにあいつだって同期には気を許しているせいか、同期同士ふざけて腕を組むくらい日常的なことだったから。
時計は深夜〇時を回り、ペースの速い飲み会により、少しずつみんなが横になって眠っていく。明かりを暗くして、いつでも眠れるようにした室内は、暗闇に包まれている。豆電球の小さな明かりだけが微かにみんなを照らす。俺も久しぶりにかなり酔っていて、そのままソファに倒れるようにして寝てしまった。
横になるとすぐに眠気がやってきて、意識が遠のく。
意識が遠のく中、誰かが隣に寄り添ってきた。遠慮がちに、でも甘えるように体を寄せてくる。あいつだ。香りがいつもと違う気がしたけど、酔っているせいで深く考えなかった。俺は安心しきって、その温もりを抱き寄せた。
南野と出掛けたことを知っても、理由を話さなくても、こうして寄り添ってくれる。やっぱりあいつは、俺のことをわかってくれてる。
(良かった……)
俺は愛おしさを込めて腕に力を入れ、深い眠りに落ちていった。
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