建国戦記

ひでかず

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第09話 『上陸作戦 前編』

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前回の前書きで信長を主眼に置いた話に進んでいきますと書きましたが、まずは扶桑連邦の日本本土側の拠点構築を行ってからになります。それが終われば信長の登場が増えていくのでお待ちください!

誤字の指摘や意見、ご感想を心よりお待ちしております。 
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建国戦記 第09話 『上陸作戦 前編』


高野は信秀との会談を終えると、来るべき第二次作戦である関東上陸作戦に向けて注力する。高野からの指示を受けた連邦軍は来るべき上陸作戦に備えて、地上から見る事が適わない高高度から3機のUAV(無人航空機)による偵察活動を開始していた。高野は大々的な航空機の活動を封じていたが、高高度からの偵察活動は例外的に許可している。

情報の有る無しでは作戦の成功率は大きく変わるからだ。

探知方法は主に赤外線干渉計、赤外線顔認証技術、顔認証追跡記録システム、歩容認証システムを併用したものを用いている。赤外線干渉計は仕組みとしては2台以上装置で光を捉えて、それぞれが受けた波長を結合させることで、観測した波長の中で必要な波長だけを取得する観測技術だ。本来は恒星の光に飲み込まれてしまう地球型惑星(反射光)を観測するために作られたものだが、観測・解析技術の向上によって兵器や人員の探知にも使えるようになっていた。 各種センサによって得られた情報を元に、赤外線顔認証技術を用いた顔認証追跡システムと歩き方で個人を特定する歩容認証システムをディープラーニング技術を活用して敵兵力か民間人かを判別していく。 

武家屋敷や城に滞在し、定期的に日本刀などの武器を用いた鍛錬を行った人物は高確率で武士か足軽の候補となり、それが続けば確定となる。武器を所持すれば歩き方にも癖が生じる。このように適切に処理を行って敵味方問わず全ての対象に対してIDの自動割り振りを行っていく。このシステムによる監視はIR迷彩や電子妨害などの対抗技術が行われている時代ならば、参考程度にしかならなかったが、そのような各勢力が対抗手段を持ち合わせていないこの時代では絶大な威力を発揮していくことになる。

1538年9月4日

時刻は夜の19時。既に空にあった太陽が水平線の先へと落ちており、夜空に月と空を占める星々が浮かんでいた。地表からの光が乏しく、大気汚染が進んでいないこの時代の空は、星々と月の光の競演を十分に楽しむことが出来る景観である。三浦半島と房総半島に挟まれた海峡から南西に25kmの、上陸地点まで120kmの洋上に上陸作戦に備えた大鳳が佇んでいた。大鳳の周囲には峯風型海防艦の「峯風」「澤風」の姿も見られる。 そして、大鳳の船尾に設けられているデッキ状のドック式格納庫のウェルドックから4艇のLCAC(エア・クッション型揚陸艇)が発艦準備を進めていた。大鳳に搭載されているのがLCAC8号艇、LCAC9号艇、LCAC10号艇、LCAC11号艇の4艇だ。

LCAC8号艇では、LCACのキャビンと呼ばれる右舷前部に設けられた操縦室の中で船長であり操縦などを担当するクラフトマスターが端末を操作して発艦準備を進めていた。他の3艇も同様に発艦準備を進めている。

通常の上陸作戦方法では地球上の海岸線の内17%という少ない範囲でしか上陸作戦が出来なかったが、LCACでは70%以上の海岸線で上陸作戦が可能になっていた。その分、操縦方法が通常の洋上艦と比べて難しくなっており、操縦桿やペダルを別々に使った複雑な操作を行わないと十分に操れない難易度から高い技量が必要だった。LCACのキャビンには針路計算などを行うナビゲーター、機関などの操作を担当するエンジニア、デッキで補佐を担当するデッキ・エンジニア、そして左舷前部のコンパートメントには、左舷側の監視と搭載物の見張りに付くロードマスターとデッキエンジニアが配置に付く。LCACはこれらの5人運行で行われている。

「クッションベイオープン」

エンジニアによってLCACのクッション部分に空気が送り込まれた。クラフトマスターが発艦に備えて各所のチェックに余念がない。発艦準備を終えてしばらくすると発艦指示が下った。命令に従いクラフトマスター以下、各乗員がLCAC8号艇のプロセスを進めていく。

ロードマスターとデッキ・エンジニアがデッキ上のガスタービンの熱、騒音から兵員を守る人員輸送用モジュールの確認を最終確認を念入りに行っていた。この時代の敵の攻撃で沈むことは皆無といって良いだろうが、それでも完璧な安全などは存在しない。一番の危険は予期せぬ天候の悪化や、突発的な事故や故障が発生する可能性だ。念入りな確認は万が一のときの危険の際に活きてくる。

「スカウトより定時報告、
 ビーチングポイントに変化無し」

「油圧、電圧、システム問題無し」

計器を操作する音と共にナビゲーターとエンジニアからの報告が入る。LCAC8号艇の発艦準備が整ったとほぼ同じ頃、他のLCACも発艦準備を整えていた。

「発艦許可良し」

「オプションベイオープン」

ウェルドックの大型ハッチがゆっくりと開いて海面が露になった。外の空気がウェルドックの中に吹き込んでくる。9月の深夜ともなれば洋上の風は少し肌寒く感じられるだろうが、鍛えられた彼らにとっては問題ではなかった。

「カムオンクッション、アウト」

LCAC8号艇はスロットルを浅く操作してゆっくりと後進状態で進んで、緩やかなスリップ・ウェイの部分へと至る。そこから先は海水注入によって海面と同じ高さに調節された区画があったが、LCACはそのままゆっくりと進む。LCACの大きな船体が滑らかに動くのは、クラフトマスターの技量の高さの証明でもあった。LCACは誕生時から進化を遂げていたが、EMP兵器の対策として自動航行は基本は行わない。このように高い技量に支えられながらLCACが誘導に従って大鳳から順々に海上へと展開していく。19時15分、4艇のLCACが一切の光を点さずに慣れた様子で単縦陣を組んで三浦半島観音崎と房総半島富津岬の間に向けて航行を開始する。無灯火で先頭を航行するのは8号艇だ。

日本国防軍がこの時代に来て、扶桑連邦軍(以後、連邦軍と表記)として再編成された彼らの記念すべき最初の大規模軍事作戦である。国籍を示すマークも日の丸から、扶桑連邦の国旗として制定された扶桑樹をシンボル化したものに書き換えられている。それは先端的なデザインを感じさせるものだ。

「左15度」

洋上の風は沖合いに向かって吹いていたが、この程度の風ならLCACには問題はない。ナビゲーターの報告にクラフトマスターが針路を修正する。事前に予定したコースも波の高さなどの状況に応じて変更しなければ到達時刻に大きな差が生じてしまうので、進路変更はそれなりの頻度で発生していた。

「現在、12秒の遅れ」

「新針路2-3、プラス1.0」

クラフトマスターは進路の変更と、
LCACの速度を38ノットから39ノットへと増速する結果を下す。

「リコメンド39」

クラフトマスターは上陸地点までの距離を暗算して、
速度の修正を行う必要が問題ないと判断て速度を39ノットのままに留めた。

「遅れ進み無し」

ナビゲーターは現在の針路と目的地から再計算の結果を報告する。予想通りに進路修正によって遅れを取り戻していた。小さな遅れの積み重ねが、大きな遅れに繋がっていくので、一瞬たりとも気が抜けない役目である。

この地に根を下す海賊衆には全く理解できない集団であろう。

一切の灯りを出さずに、三浦半島観音崎と房総半島富津岬の間を猛スピードで通過する一団なのだから。この地に根を下している北条氏側の海賊衆である山本氏や梶原氏、里見氏側の海賊衆である正木氏や安西氏では対応どころか見つけることも出来ないだろう。例え捕捉が出来たとしても、この時代の船舶が出せるような速度ではなかった。

『上陸まで後15分』

クラフトマスターのからの艇内アナウンスが人員輸送用モジュール内に入る。8号艇には高野とさゆりも人員輸送用モジュールに搭乗していた。上陸部隊第一陣の実働部隊としての責任者は黒江大佐だが、最高責任者の高野として高野も上陸部隊に参加している。

人員輸送用モジュールを搭載した1艇あたりに2個小隊60名の上陸部隊とそれを支える補給物資、資材、機材などが搭載されていた。持ち込む兵装は個人携帯用の火器と爆薬に留まっている。生身の人間は半数で、残り半分は特殊作戦群用の高度戦術擬体からなる部隊だ。無論、半数が生身と言っても特殊作戦に向けた高度な訓練を受けているので、この時代では驚異的な存在と言えるだろう。しかも、彼らは54式外骨格スーツ(ExoskeletonSuit)を装備しているので、生身では困難な重量物運搬(重火器装備)が可能になっていた。元が工事現場や建設現場の現場での使用を想定した民生品の改良品なので、過分な機能は搭載されていないが、その分信頼性は高い。

また、擬体兵のみで編成しなかったのは兵力に限りがあった事よりも、擬体兵の構成に問題があったのが理由だ。日本国防軍が使用している擬体は士官の大半を占める男性を考慮して、美女か美少女タイプで占められていた。未来ならいざ知らず、戦国時代では女性ばかりの軍隊では武家社会の風習から侮られてしまう。タクティカルフェイスマスクを始めとした装備を着用していれば性別は判別できないだろうが、事前に判っている問題ならば予防しておいたほうが良い。

そして、これらの擬体は日本が世界に先駆けて配備した準高度軍事AIの搭載を前提に開発された、潜入工作すら行える人間と何ら外的特徴の変わらないタイプである。しかも、性格が良く献身的でもあった。これらの理由は、部隊に受け入れられやすく為と、擬体という理由で自我を持った存在を険悪に扱わないようにする目的があったのだ。これには、21世紀初頭に栄えたオタク文化を参考にしている。

そして、もうひとつの理由があった。

戦場に於いて、一瞬でも相手が躊躇うことを期待している。美女や美少女を前にして、容赦ない攻撃を行えるものは少ない…優れた異性の容姿はそれだけでも恐るべき武器となるのだ。世間は同じ美形であるなら男性と女性のどちらを優遇するかといえば、女性のほうだろう。

このように物騒極まりない高度な戦闘集団を乗せた、エア・クッション型揚陸艇の艇団は上陸地点に向けて水煙を上げながら海上を進んでいく。先行偵察隊として1個分隊が複合艇で先に上陸を果たしており、安全の確認を行っている。また上空にはUAV(無人航空機)が周囲に目を光らせている徹底振りだ。

「今日、この日から…
 より良い未来を作る第一歩が始まるのですね」

「そうだ」

さゆりの言葉に高野が応じる。さゆりは高野の副官として参加していたが、戦地では特に護衛として片時も側から離れないつもりだった。軽装備であっても並の人間よりは強いので護衛としては最適であろう。

――これからが本番ですね。
気を引き締めていかないと・・・
でも、これからの展開を思うと高鳴る気持が抑えられない。――

さゆりは尊敬する上官の手助けが出来ることと、愛する祖国を立て直せる機会という、二つの望外の喜びになんともいえない高揚感に包まれている。高い愛国心に関してはさゆりに限ったことではない。全ての擬体が感じていた気持でもあった。

「まずは小弓城を制圧して、
 房総半島に向けて順々に作戦を進めていくんだね。
 早く押さえられると良いな~」

そう元気一杯に応えたのが、青い瞳、銀色の髪と、どの方向から見ても白人系美少女のイリナ・ダインコートである。見た目の年齢は16歳から17歳に見えるだろう。彼女もカオリと同じ準高度AIだった。あの時代の日本には東欧から日本に逃れて(アメリカに押し付けられた)日本に移住した白人がそれなりの数が移住しているので、日本人型以外の擬体兵もそれなりの数が存在している。また、イリナは対ロシア用の情報士官として作られており、その容姿は都合が良かったのだ。

扶桑連邦の歴史では日本人以外の容姿を持つ者は難破した外国船から漂着した一行の末裔になっている。

そのイリナだが端麗で整った容姿をしているが、目鼻立ちには幼さが色濃く残っており、愛らしい感じが出ていた。活発さと愛らしさが奇跡の半分で交わった雰囲気と、明るい性格と愛らしさからマスコット的な扱いを受けている。。趣味は森林浴と写真撮影で、裏表のない真っすぐな性格が艦隊乗員の人気を集めていた。興奮すると一人称がボクになるのが特徴だ。

「房総半島の占領は下総国を完全に押さえてからになるから、
 状況次第になるでしょう」

「うんうん」

「なるべく急ぎたいが、
 まずは所定目標を完遂することに注力しよう」

また連邦軍が久留里城を重要目標としつつも、上陸地点に千葉郡にある須賀(幕張)という離れた場所を選んだのは、北条軍の介入に備えた野戦陣地と補給拠点を兼ねた湾岸基地を構築する為だ。準備を行っていない段階で北条軍から戦端を開かれては貴重な物資・機材を余計に消耗してしまう。柔軟な対応が可能な航空戦力などの兵力は強力だったが、その分だけ物資の消費も大きいし、それらの兵器はまだ知られたくない戦略的な判断もある。これらの事から連邦軍は強力な兵装の多くを使えずにいた。軍需物資の生産を本格的に行う経済力、生産力、軍事力を整備するための時間を稼ぐ予防策の準備をしておく必要があったのだ。

『上陸まで後5分』

陸上が近づくと、静穏化モードで航行するために巡航速度の24.5ノット以内の速度に落す。 静穏化モードとはいえ20メートル以内だと後方に装備しているファンが重低音を響かせていたが、距離が離れれば意外と静かだった。それでも24.5ノットは1秒間に約11.8メートル進むので、1538年代の技術水準からすれば驚異的な速さだ。

そうしている間にもLCACが海岸から揚陸地点に乗り上げるビーチングのプロセスに移行しつつあった。なお、揚陸艇を最初に装備したのは旧日本陸軍だったが、彼らは戦術的な理由のほかに、嘘かまことか真偽の程は定かではないが政治的な理由として海軍に揚陸作戦の協力を要請するのが嫌で自ら揚陸艇とドック型揚陸艦「神州丸」を開発していたという不名誉な噂があったほどだ。

時刻は20時55分、LCACは先に上陸していた先行偵察隊に誘導されながら上陸を始めた。砂浜を駆け抜け、上陸は抵抗らしい抵抗を受けずに一気に上陸を果たす。上陸地点から1.8km先には千葉昌胤(ちば まさたね)が城主を務める花見川と浜田川とに挟まれた舌状台地に馬加城(まくわりじょう)があったが先行偵察隊によって周辺の哨戒戦力を掃討済みだった。また、昌胤は足利義明から一時離反をしていたが、1535年(天文4年)4月に義明率いる小弓軍に攻められて降伏していた複雑な政治背景がある。史実では1538年(天文6年)12月に再び裏切るので、連邦側としては昌胤を変節の要注意人物として見ている。

連邦軍は上陸後僅かな時間で物資の揚陸を終えて、21時20分には240名からなる上陸部隊第一波の展開を終える。LCACは上陸部隊第二陣に備えて大鳳へと帰路に着いていた。

再編成を終えた上陸部隊は直ちに4個分隊(32名)が馬加城の制圧に、2個分隊(16名)が周辺の国人領制圧に向かう。これらの指揮官はカオリ少佐である。攻撃対象と比べて連邦軍は寡兵だったが、火力、防御力、機動力では圧倒的に連邦軍が勝っており、奇襲作戦も相まって負けることはないだろう。

この地には上陸地点には32名の擬体化工兵と、高野たち司令部要員及び、護衛用の1個分隊が残る。残りは別の地域への作戦展開を始めていた。

「須賀湾岸基地の始まりか・・・」

「真田さんが見たら喜びそうな光景ですね」

「そうだな」

話しながらも高野とさゆりは他の司令部要員と共に、工兵が施設作業車で整地を行った場所に38式拠点構築資材を用いて司令部施設の建設を始めていた。持ち込んだ機材を野ざらしには出来ないので、施設建設の優先度は高い。

「真田さんは別の任務があるからね~」

司令部要員として参加しているイリナが言うように、真田は生産関係で大鳳に留まっていた。この場に立ち会うことを強く望んでいたが、今後に必要な物資の生産を優先しなければならず泣く泣く諦めていたのだ。

その時の真田の言葉は「解せぬ」であった。

そして、この38式拠点構築資材は真田が急遽開発したものである。ゼロからの開発ではなく、湾岸戦争以降、米軍やNATOを始めとした各軍が野戦施設構築材として採用した携帯装甲壁システムの発展改良型である。本格的な携帯装甲壁システムの始まりともいえるマカーディーアーマーやHESCOのような資材は数名の兵士が特別な機材を使うことなく30分から1時間半にて半径5メートルの堅牢な防御施設の建設が可能(同じく撤収も容易)だった。しかも適切な設置を行えばM107(155㎜榴弾砲)の直撃にも耐えられる性能を持っている。また汎用性の高さから基地だけでなく紛争地帯にある大使館の強化や対テロリスト用の臨時検問所としても活躍していた。それらの改良型の装備であり、諸性能が向上しつつも信頼性と性能が噛み合った優れた装備品と言えるだろう。そして、名称は神武天皇即位紀元を基にした皇暦2198年(西暦1508年)に開発していたという設定から、そのような名前になっている。実際は開発したばかりの新鋭機材であるが、装備の歴史を構築する上で必要な設定だったので、このような面倒な手段が採られていた。

また、この機材も生産する為の時間があまり無かったので、
最低限の資材しか用意できていない。

工兵隊は須賀湾岸基地の敷地周辺に大鳳に搭載されていた38式大型トラックを用いてRAIDシステム型防壁を展開していく。RAIDシステム型防壁の内部はヘスコ防壁の改良品だが、2008年から堤防や軍事基地の防壁として使われているだけあって信頼性は高い。RAIDシステム型防壁はコンテナの中に防壁の構造材を折りたたんだ状態で収納されており、コンテナの扉を開放した状態で引っ張っていけば、移動にあわせて防壁が設置されていくのだ。 従来のでは内部に土を入れるのだが、工期短縮と強度強化の為に水(海水)で膨張する特殊超分子ハイドロゲル(アクアマテリアル系無機複合ナノ複合体)を充填させる。

この特殊超分子ハイドロゲルの特徴としては破壊されても擬液体状態となり、時間と共に剪断力(物体内部でずれを生じさせる力)が直る優れた自己修復性があった。ただし自己修復性といってもひび割れの修復程度であり、飛び散ってしまえば繋ぎ合わせない限り元に戻ることは無い。 また硬化した特殊超分子ハイドロゲルもそれなりの耐久力がある。ただし、そのままではゲルに含まれている両末端デンドロン化高分子によって混合から4.5秒にて結合による硬化が始まってしまうので、安全対策の為に硬化開始まで5分ほどの余裕が得られるように鈍化剤が混入されていた。

ともあれ、RAIDシステム型防壁は最初期の2014年のものでもISO規格の20フィートコンテナ1基で高さ2.1m、縦横幅1.5mの防壁を400メートルもの展開が可能だった。連邦軍が持ち込んでいたものは38式大型トラックへの搭載が行えるように軽量化が行われていたが、それでも1つのコンテナで400メートルの展開が可能になっている。

また、38式大型トラックとは大鳳が工兵部隊の機材として搭載していた3 1/2tトラックであったが、真田の要望によって38式大型トラックと改名されていたのだ。第一波上陸として持ち込んでいたのは2両の施設作業車と4両の38式大型トラックである。

連邦軍の面々が慌しく須賀湾岸基地の構築を進めていく。擬体化工兵の能力と効率化が進んだ建築資材も相まって恐るべき速度で建築が進んでいた。

「基本的な機能はこれで十分だろう」

「そうですね」

既に簡単な司令部機能を有する基地施設が完成していた。上陸を終えて1時間20分が経過した22時40分になっても、未だ敵からの攻撃どころか偵察行動すら行われていない。司令部建設では作戦継続に備えて慌しさが増していく。こうして連邦軍は他勢力に知られること無く、関東への橋頭堡を確保したのだ。 
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