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1 気がついたら転生していた
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私、佐々木芽衣、28歳。典型的なブラック企業に勤める社畜OL。
そんな私が、気がつくと、転生してた話、聞く?
いや、びっくりした。なんでやねんって突っ込んだね、関西人じゃないけど。
あの怒涛の婚約破棄事件のあと、呆然としている間に、いろんな人に詰られたり、蔑まれたりして、「いったい何がなにやら」と思っているうちに、気が付くと自分の部屋らしきところに戻っていた。
見覚えがあるような、ないような微妙な部屋のベッドで、一回ぐっすり寝たら、ようやくいろいろ思い出してきた。
佐々木芽衣28歳、典型的なブラック企業に勤める社畜OLだった私。最後の記憶は、月末処理で残業してて、今日は始発帰りかなー、始発で帰ればお風呂に入って、1時間くらい仮眠とれるかな、と思っていたところだった。
で、次の瞬間、あの自称イケメンのオーク男に殴られていた、と。
一方で、この世界で生きていた記憶もあるんだよね。
今の私は、佐々木芽衣19歳。それなりにお金と名誉を持つ名家の、妾の子。
幼いころに母を亡くし、父のもとに引き取られた後、政略結婚の駒として、ほどほどに大事に育てられた。もちろん愛情なんかは与えられなかったけれど、衣食住には困らない環境だった。
今の私だったら、「まぁ、妾の子なんてそんなものだよね。虐げられないだけラッキー」と思うところだけれど、記憶を取り戻す前の芽衣ちゃんは、それがさみしかったようだ。
お父様の役に立てば私でも愛してもらえる――と固く信じて、健気に政略結婚の駒として生きてきた。
で、あの自称イケメンのオーク男と婚約を結び、花嫁修業に勤しんできたわけだ。
あんなアブラギッシュな男の婚約者、きっと辛いだろう……と思うことなかれ。なんと、芽衣ちゃん、あのオーク男に首ったけだった。
いや、今の私なら、「マジで? あんな清潔感の欠片もなく、近い未来に成人病で死にそうな男に?」と思うところだが、芽衣ちゃん的には「妾の子である私に、こんな素敵な方が……ポッ」的な感じだったのだ。
そして世間様も「あなたみたいな妾の子に、あんな素敵な婚約者が……キィーッ」という感じだった。
――そう、この世界、男性のみ美醜逆転の世界だったのである。
そのことを思い出してぎょっとしたけれど、すぐに受け入れた。
あ、はい、ライトノベルやアニメは一通り嗜んでいました。
異世界転生ってよくあるよね、ここ、現代日本っぽいけど。
「転生!?」って一瞬テンションが上がったのは秘密だ。
逆行とか、死に戻りとかじゃないと思ったのは、この世界の私に両親がいたから。
だって、28歳の私には、両親なんていなかった。幼いころから施設にいて、両親の顔なんて知らなったしね。
両親がいないからって、自分が不幸だと思ったことはないけど、大学に行くようなお金もないし、奨学金を借りれたって生活費は自力で稼がなきゃいけないから、普通に高校を卒業して就職した。
まあ、大卒が基本学歴の世界で、高卒就職だからか、普通にブラック企業だったけど。
仕事はしんどかったけど、それなりに人生は満喫していたつもり。
ところで、前世の私、なんで死んだのかな……やっぱ過労かなぁ……
そんな私が、気がつくと、転生してた話、聞く?
いや、びっくりした。なんでやねんって突っ込んだね、関西人じゃないけど。
あの怒涛の婚約破棄事件のあと、呆然としている間に、いろんな人に詰られたり、蔑まれたりして、「いったい何がなにやら」と思っているうちに、気が付くと自分の部屋らしきところに戻っていた。
見覚えがあるような、ないような微妙な部屋のベッドで、一回ぐっすり寝たら、ようやくいろいろ思い出してきた。
佐々木芽衣28歳、典型的なブラック企業に勤める社畜OLだった私。最後の記憶は、月末処理で残業してて、今日は始発帰りかなー、始発で帰ればお風呂に入って、1時間くらい仮眠とれるかな、と思っていたところだった。
で、次の瞬間、あの自称イケメンのオーク男に殴られていた、と。
一方で、この世界で生きていた記憶もあるんだよね。
今の私は、佐々木芽衣19歳。それなりにお金と名誉を持つ名家の、妾の子。
幼いころに母を亡くし、父のもとに引き取られた後、政略結婚の駒として、ほどほどに大事に育てられた。もちろん愛情なんかは与えられなかったけれど、衣食住には困らない環境だった。
今の私だったら、「まぁ、妾の子なんてそんなものだよね。虐げられないだけラッキー」と思うところだけれど、記憶を取り戻す前の芽衣ちゃんは、それがさみしかったようだ。
お父様の役に立てば私でも愛してもらえる――と固く信じて、健気に政略結婚の駒として生きてきた。
で、あの自称イケメンのオーク男と婚約を結び、花嫁修業に勤しんできたわけだ。
あんなアブラギッシュな男の婚約者、きっと辛いだろう……と思うことなかれ。なんと、芽衣ちゃん、あのオーク男に首ったけだった。
いや、今の私なら、「マジで? あんな清潔感の欠片もなく、近い未来に成人病で死にそうな男に?」と思うところだが、芽衣ちゃん的には「妾の子である私に、こんな素敵な方が……ポッ」的な感じだったのだ。
そして世間様も「あなたみたいな妾の子に、あんな素敵な婚約者が……キィーッ」という感じだった。
――そう、この世界、男性のみ美醜逆転の世界だったのである。
そのことを思い出してぎょっとしたけれど、すぐに受け入れた。
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「転生!?」って一瞬テンションが上がったのは秘密だ。
逆行とか、死に戻りとかじゃないと思ったのは、この世界の私に両親がいたから。
だって、28歳の私には、両親なんていなかった。幼いころから施設にいて、両親の顔なんて知らなったしね。
両親がいないからって、自分が不幸だと思ったことはないけど、大学に行くようなお金もないし、奨学金を借りれたって生活費は自力で稼がなきゃいけないから、普通に高校を卒業して就職した。
まあ、大卒が基本学歴の世界で、高卒就職だからか、普通にブラック企業だったけど。
仕事はしんどかったけど、それなりに人生は満喫していたつもり。
ところで、前世の私、なんで死んだのかな……やっぱ過労かなぁ……
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