精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

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第026話 プロポーズ大作戦

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 まぁねぇ、小さな村の話。

 男女交際なんて、若い子が思っているほど隠せていない。

 村の良い歳した人間にバレバレなのである。

 どうしても血の濃さの問題とかは出るので、調整が必要になる場合は存在するけど。

 子供が将来を意識する頃には、早々に根回しは終わっているものだ。

 で、今回の件。

 リサさんは猟師の子です。

 小さな頃からお父さんの薫陶を受けて育ち、森歩きもばっちり。

 リサさんからすると、頼れる男性像というのはお父さんという訳で。

 狩りで生計が立てられて、家庭を営み、村の大事にも前に出る。

 おっとこまえ。

 結論から述べますと、理想がちょっと高めなのです。

 村にもそれなりに同年代はいますが、ちょっと頼りない。

 信用は出来ても、信頼出来る異性はいない。

 うん、分かる。

 で、結婚適齢期を迎えたリサさん。

 どうすべかなと、悩む村人。

 そんな悩める村に颯爽と現れるカモ……げふんげふん、良い感じの男性。

 女性陣には魔法がばれているし、森も歩けて、行商で稼げる系男子。

 それだけ聞くと、良物件だ。

 ブラック過労死系男子、ミシマだよ。

「稼げるのは大事よ?」

 急遽、宴席の外に出て、作戦会議。

 リサさん的には、オルオッケー。

 で、私としましては。

 憎からずは思っている訳でして。

 だって、そんな相性が悪い人間と行商で何日も一緒にいるのなんて嫌です。

 気が利くし、あんまり踏み込んでこないし、かといって疎遠な感じもしない。

 抜群の距離感が心地良い子なのです。

 でも、問題がなぁ……。

「あ、年齢の部分は気にしてないから。魔法使いでしょ? 大丈夫!!」

 ほわい?

 魔法が使えるなら何故大丈夫なのかと聞いてみると。

 何か、ダンジョン的な場所があって、そこに潜っていくと宝をゲット出来るそうで。

 その宝の中には、若返りに関わるアイテムもあるそうなのです。

 何でもありだな、駄女神。

 なので、力あるものに取って、年齢というのはどうとでもなるというのがこの世界の認識らしい。

 国の上で老害がのさばりそうなシステムだなと思ったけど、その辺りは大丈夫との事。

 細かい事は知らないらしいけど、駄女神が調整しているらしいので、一安心。

 と、退路を細やかに潰された結果。

 目の前で、ちょっと不安を交えた真顔を披露しているリサさん。

 私は、ほぅっと大きな溜息一つ。

 ぽふぽふと頭を撫でて、宴席に向かう。

 微妙に手持無沙汰っぽい雰囲気を背後に感じるが、騙し討ちの分のお返しである。

 そのまま中央の竈の前に立ち、お肉の良いところをプリーズ。

 ちなみに、給仕の人から受け取るのはノーカンだそうなので、一安心。

 まぁ、そういうために既婚者の皆様が頑張っているというのはあるのだけど。

 受け取った皿に、色とりどりの野菜を美しくアレンジ。

 崩れないようにしずしずと歩みを進めると、何かを感じたのか人が割れていった。

 割れた人波の先にはちょっと黄昏気味のリサさん。

 そっと皿を差し出し。

「私と人生を共に歩んで下さいますか?」

 プロポーズの言葉を一つ。

 見開かれた瞳に、光るもの一つ。

 そっと右手で拭うと、左手の皿が奪われた。

「はい」

 この時をもちまして、四十年間の独身生活にピリオドを打ちましたとさ。

 改めて、歓声というか、雄叫びのようなものが上がる祝宴。

 興奮の坩堝の中、ふわっふわっと光るものありけり。

 歓喜する人々に合わせて、精霊さん達も大歓喜。

 その余波なのか、数多の花を思わせる千紫万紅の輝きが、暮れ始めた世界を包む。

 淡い光に照らされた世界の中で、いつしか音楽が奏でられ始めた。

 原始の営みを感じさせる、荒々しくも哀愁を含んだ旋律。

 人々は愛するものの手を取り、踊り始める。

 生きる喜び、哀しみ、全てをまぜこぜに。

 ただただ、心の赴くままに、踊り始めるのだった。
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