無言の薬師のもふもふライフ

三雅

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朝露をあつめに

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とある国の深い深い森の中には、1軒の小さなログハウスがある。
そのログハウスには1人の女と多くの〇〇が住んでいる。
彼女は〇〇が人が目にすること自体が稀なものと認識せずに穏やかな毎日を送っている。
いわば〇〇の愛し子といっても過言ではないかもしれない。



...
早朝、まだ日も昇っていない時間にふと目が覚めた。

こんな時には二度寝せず、朝露を集めに行くのがいいかもしれない。

森の中で暮らす私には薬という存在がとても重要になってくる。

朝露は重要な薬の材料なのだ。

「キュ...?」

ベッドの上の小さな"もふ"を起こしてしまったみたい。
身振り手振りで寝てていいよとアピールすると、また目を閉じた。

毎日気が向いたかのようにふらっと我が家に現れるリスのような、リスではないような、どこか不思議な存在のもふもふとした存在。

もふもふしているから"もふ"なんて呼んでいるけど、本当の名前はなんだろう?


動物とはまた違うのかもしれないけど他に存在を表す言葉を知らないからとりあえず、動物でいいのかもしれない。

今日はもふだけだったけど、他にも気まぐれに現れては私に僅かな木の実や果物を手渡し、ベッドで一緒に寝てご飯を食べて去っていくもふもふ達がいる。

不思議な隣人?との生活はびっくりするほどうまく行っている。

もふに留守番を頼み森の茂みへと向かっていく。

不用意に森の豊かさを崩さないように慎重に朝露を採取していく。
朝露は命が短い素材で、薬の調合をするなら急がないと行けない。

朝露を使う薬は多種あるけれど、今日作るのはポーションがいいかな。

森に住むもふを始めとした可愛い隣人?が怪我をしたときにも使えるし、何個あっても困らないもの。

もふへのお土産として美しい小さな赤い木のみも採取して家へと帰る。

まだ寝ているもふを起こさないようにそっと別室に入り、薬の調合を始める。

最初は持つことすらおぼつかなかった薬研も今では手に馴染んでいるから慣れってすごい。


「きゅきゅ」
もふの声が扉のすぐ近くで聞こえる。
薬を作るときは私以外が入れないように扉を締めているから、終わったのを察知したのかも。

慌てて扉を開けるとぴょんとモフが肩に飛び乗ってきた。

ひと通り撫でて落ち着かせると、ご飯の催促を受けた。お腹が空いていたのかな?

「きゅっきゅ!」
早くキッチンに行こうと言わんばかりに肩をふわふわな尻尾で撫でられる。

さて朝ごはんにしよう。
もふ待っててね。
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