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34 ウラウラベッカンコー!
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昔から『判官贔屓』はある。その声を背に受けて、恵まれていない者が恵まれている者に対して一発かます爽快感。やはり人は古来から『ジャイアントキリング』が好きなのだ。
近頃相撲が話題である。
大の里の活躍は久方ぶりの『日本人横綱待望論』に拍車をかけていると言ってもいい。若きニュースターにかつての『若貴』を重ねる人もいるだろう。期待されていた遠藤や貴景勝が伸び悩んでしまって、外国人力士に席巻されている今の土俵に、ぜひぶちかましをかけてほしいと自分も期待している。
しかしあえて言いたい。その話題は他でやっていただきたいと。そんなことよりも、今場所は言いたいことがあるのだ。久しぶりに宇良が勝ち越した。これに尽きる。
ケガから幕内に返り咲いて順調に勝ち星を重ねていき、気が付けばケガ前よりも上位の小結まで上り詰めていた。しかしここからが苦難の道であった。
わずか一場所で前頭に陥落してしまい、そこからは一進一退。負け越しはするものの惜しいところまでいくのが粘り腰の宇良らしさである。
毎朝読んでいる地方紙のスポーツ欄に、やはり宇良ファンの記者がいるのだろう。取り組みの好調ぶりを熱く語るその行間に、小兵技士への優しい眼差しが感じられる。無意識なのだろうが、取組後のコメントに宇良のものが取り上げられることが多いのは気のせいか。
しかし場所の前半戦は調子がいいものの、後半戦の上位陣との取り組みが多くなってくると、どうしても白星が遠くなる。前半の良さを後半にキープできないもどかしさ。
素人目にはただ単に一回相撲を取るだけでしょう?と思われるが、実はその一回にかなりの体力と集中力が要求されているのだ。実際『場所前と場所後で体重が十キロ以上落ちる』という話もある。消耗しすぎて食事も取れない力士もいると聞くが、食べなければ体重が落ちて取り組みのための体力も維持できなくなる。つまり後半戦に行けば行くほど消耗の度合いが高くなってしまい、結果的に体力が持たなくなってしまうことにつながっていくのである。
軽量級に属する宇良にとって、前半戦の好調さをどう維持していけるかが鍵であったが、三役陥落後の成績そのものがその苦難さを物語っていると言っても過言ではない。令和三年7月場所に再入幕を果たしてから20場所、勝ち越し9回うち二桁勝利が2回、技能賞も取っている。しかし前頭三枚目以上での勝ち越しは3回に留まる。俗に言う『三役以上の上位陣』との取り組みは見せ場となるため、どうしても場所の後半に組まれやすい。つまり昇進すればするほど、宇良にとっては後半戦が辛く険しい道なのである。
今回の9月場所は前頭五枚目と、中堅どころのポジションであったが、あとちょっとで二桁というラインまで踏ん張ってくれた。取り組みの相手にもよるとは言え、やはり『勝つべき時に勝てる』というのが宇良のいいところだと改めて感じた。
こうなると「じゃあ程よいところで勝ったり負けたりしてればいいんじゃない?」と外野は言うのかもしれない。ちょっと待ってほしい。それが本当に宇良の相撲なのか?と。
かつて『技のデパート』と言われた我らが『ショーヘイ』ならぬ『舞の海シューヘイ』から「宇良が技能賞を取れなかったら、誰が技能賞にふさわしいんだ?」と言われるほどの技巧派である宇良。たぶん程よくやろうと思えばやれるんじゃないかとは思える。しかしケガでほぼ最低位まで落ちたにも関わらず、体格を大きく変えてまで再入幕を果たし男だ。その執念と生き様が、『程よく』を許すとは思えない。
相撲は器用で技巧派かもしれない。しかし宇良という力士の相撲人生は、不器用なまでに愚直で正直だ。年齢的にもう三十路を超え、正直もう一回三役以上のを狙えるのか?という不安はある。しかし勝利に対しての気持ちと土俵への熱い思いは年齢を感じさせないものもある。ついつい「また応援しちゃおうかな…」とか、取り組み翌日のスポーツ欄が気になってしょうがないのだ。
己の相撲道に邁進する宇良の姿に、今日も握りこぶしを作って熱くなってしまう自分がいる。宇良からも「定めとあれば、心を決める…」という声が聞こえてきそうだ。まさに『炎のさだめ』ならぬ『宇良のさだめ』よ…9月場所も終わり今年の取り組みも九州場所が最後。それまではそっとしておいてほしい。九州場所につながる今日ぐらい…
今回の表題は藤子不二雄の名作『ジャングル黒べえ』の黒べえが魔術を使う時の掛け声より。なんつーか、そのままだよね…こういうエキセントリックな表現をガツンとぶち込んでくるセンスといい、どうやって思いついたんだ?と不思議に思えてくる設定とか、さすがは藤子不二雄ランドである。なんか宇良が好きすぎてふざけてる暇がなかったが、最後に銀河万丈風のナレーションで『次の取組も宇良と一緒にぶちかましてもらう!』と締めておくか…
近頃相撲が話題である。
大の里の活躍は久方ぶりの『日本人横綱待望論』に拍車をかけていると言ってもいい。若きニュースターにかつての『若貴』を重ねる人もいるだろう。期待されていた遠藤や貴景勝が伸び悩んでしまって、外国人力士に席巻されている今の土俵に、ぜひぶちかましをかけてほしいと自分も期待している。
しかしあえて言いたい。その話題は他でやっていただきたいと。そんなことよりも、今場所は言いたいことがあるのだ。久しぶりに宇良が勝ち越した。これに尽きる。
ケガから幕内に返り咲いて順調に勝ち星を重ねていき、気が付けばケガ前よりも上位の小結まで上り詰めていた。しかしここからが苦難の道であった。
わずか一場所で前頭に陥落してしまい、そこからは一進一退。負け越しはするものの惜しいところまでいくのが粘り腰の宇良らしさである。
毎朝読んでいる地方紙のスポーツ欄に、やはり宇良ファンの記者がいるのだろう。取り組みの好調ぶりを熱く語るその行間に、小兵技士への優しい眼差しが感じられる。無意識なのだろうが、取組後のコメントに宇良のものが取り上げられることが多いのは気のせいか。
しかし場所の前半戦は調子がいいものの、後半戦の上位陣との取り組みが多くなってくると、どうしても白星が遠くなる。前半の良さを後半にキープできないもどかしさ。
素人目にはただ単に一回相撲を取るだけでしょう?と思われるが、実はその一回にかなりの体力と集中力が要求されているのだ。実際『場所前と場所後で体重が十キロ以上落ちる』という話もある。消耗しすぎて食事も取れない力士もいると聞くが、食べなければ体重が落ちて取り組みのための体力も維持できなくなる。つまり後半戦に行けば行くほど消耗の度合いが高くなってしまい、結果的に体力が持たなくなってしまうことにつながっていくのである。
軽量級に属する宇良にとって、前半戦の好調さをどう維持していけるかが鍵であったが、三役陥落後の成績そのものがその苦難さを物語っていると言っても過言ではない。令和三年7月場所に再入幕を果たしてから20場所、勝ち越し9回うち二桁勝利が2回、技能賞も取っている。しかし前頭三枚目以上での勝ち越しは3回に留まる。俗に言う『三役以上の上位陣』との取り組みは見せ場となるため、どうしても場所の後半に組まれやすい。つまり昇進すればするほど、宇良にとっては後半戦が辛く険しい道なのである。
今回の9月場所は前頭五枚目と、中堅どころのポジションであったが、あとちょっとで二桁というラインまで踏ん張ってくれた。取り組みの相手にもよるとは言え、やはり『勝つべき時に勝てる』というのが宇良のいいところだと改めて感じた。
こうなると「じゃあ程よいところで勝ったり負けたりしてればいいんじゃない?」と外野は言うのかもしれない。ちょっと待ってほしい。それが本当に宇良の相撲なのか?と。
かつて『技のデパート』と言われた我らが『ショーヘイ』ならぬ『舞の海シューヘイ』から「宇良が技能賞を取れなかったら、誰が技能賞にふさわしいんだ?」と言われるほどの技巧派である宇良。たぶん程よくやろうと思えばやれるんじゃないかとは思える。しかしケガでほぼ最低位まで落ちたにも関わらず、体格を大きく変えてまで再入幕を果たし男だ。その執念と生き様が、『程よく』を許すとは思えない。
相撲は器用で技巧派かもしれない。しかし宇良という力士の相撲人生は、不器用なまでに愚直で正直だ。年齢的にもう三十路を超え、正直もう一回三役以上のを狙えるのか?という不安はある。しかし勝利に対しての気持ちと土俵への熱い思いは年齢を感じさせないものもある。ついつい「また応援しちゃおうかな…」とか、取り組み翌日のスポーツ欄が気になってしょうがないのだ。
己の相撲道に邁進する宇良の姿に、今日も握りこぶしを作って熱くなってしまう自分がいる。宇良からも「定めとあれば、心を決める…」という声が聞こえてきそうだ。まさに『炎のさだめ』ならぬ『宇良のさだめ』よ…9月場所も終わり今年の取り組みも九州場所が最後。それまではそっとしておいてほしい。九州場所につながる今日ぐらい…
今回の表題は藤子不二雄の名作『ジャングル黒べえ』の黒べえが魔術を使う時の掛け声より。なんつーか、そのままだよね…こういうエキセントリックな表現をガツンとぶち込んでくるセンスといい、どうやって思いついたんだ?と不思議に思えてくる設定とか、さすがは藤子不二雄ランドである。なんか宇良が好きすぎてふざけてる暇がなかったが、最後に銀河万丈風のナレーションで『次の取組も宇良と一緒にぶちかましてもらう!』と締めておくか…
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