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35 雲童塊
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その日は一日家族とグラウンドにいた。晴天の秋空の下、その日のためのお弁当を食べ、いつか思い出した時にも楽しい気持ちに浸れるはずだ。そう思っていた日は、もうかえらない。
もはや『運動会シーズン』という言葉は死語なのだろうか?
秋と聞いて『運動会』を連想する自分は、古いタイプの人間なんだろう。世代的には『春はお別れの季節です』というフレーズにピンとくるところにいるので、人生もすでに半ばを過ぎて盛りを過ぎた下り坂である。考え方もそれに引きずられている、いわゆるロートルの域に達しつつある。
そんなロートルにとって、秋とは『運動会をやる季節』に他ならない。多種多様な秋があれど、やはり『運動の秋』と関連付けられた運動会の存在は、良くも悪くも風物詩、季語、牛丼屋のコールスローみたいなものだと言える。キリコのそばにドック系ATあり、金田一やコナン君のそばに事件ありみたいなもんか。
近年運動会の季節は2つになった。秋という王道路線、そして春のGW以降あたりという新進気鋭の路線だ。競馬のダービーに至るまでの流れにも似ている。
中距離重賞あたりを経て皐月賞からダービーへ向かう、これぞまさに王道路線。一方がやや短距離路線で適性を見つつNHKマイルでの勝ち方からダービーに向かっていく、スピード系の馬でも2400を押し切れると踏んでダービーに向かう、近年では珍しくなくなってきた新進気鋭の勢いと流れを活かした路線である。まあ別に運動会の二路線の傾向がそのまま当てはまるというわけではないのだが、一応比較対象として。
暦でいうと五月前後か十月前後か、という選択になってくるのだが、ここに大きく関わってくるのがここのところの異常気象だという。ようするに残暑というには酷暑すぎる気候の中で、運動会の練習をやって本番を迎えるということに、熱中症というリスクがどうしてもつきまとうのである。この辺りは明らかに我々世代が知っている『運動会』とは大きく違う。
学校にクーラーがあって、運動中の水分補給やクールタイムが当たり前のご時世なのである。この状況下で『運動会秋開催の強行』が決して万人に受け入れられ難い思想や意見であり、それを真面目に配慮、善処しなければならないのが現代の学校なのだろう。「世知辛い」とか「窮屈」とか言ってはいけないと心して置かないと、『時代錯誤』というお名前シールを貼られてしまう可能性すらある。
運動会開催二路線とは別に、ここ数年で一気に急変した『運動会の常識』がある。密接に関連しているので並べてみると『運動会の短時間化』『保護者参加競技の削除』『出店の不出店』である。
まず大元である『運動会の短時間化』であるが、これに関しては現場の苦肉の策であるという様相が強い。例の感染症関連からくる『新しい生活様式』の下であっても、運動会という学校行事を中止するわけにはいかない。となれば、人との接触を簡略化短縮化するために『できるだけ手短に終わらせる』必要がある。
例えば各学年ごとの種目は『一二年生合同』というような共通種目を作ることで、競技時間や準備時間の短縮化を図れる。時間の圧縮を進めることで、運動会全体の時間が短縮化していき、結果的に一日開催→午前中開催というコンパクト化につながっていく。
そしてできるだけ生徒主体ではない競技は削減していく。ここに『保護者参加競技の削除』が入ってくるわけだ。これにより大昔の恒例種目『PTA役員による大玉転がし』も姿を消した。
先に『午前中開催』と書いたが、これにより『お弁当無し』という驚くべき結果も生まれる。閉会後に保護者による疾風怒濤の片付けが始まるので、のんきにお昼を食べている時間はない。そして『お弁当無し』ということで『お昼休みがなくなる』ということになり、お昼の楽しみである『出店の不出店』につながっていくということになる。
こうして見直してみると、もう昭和どころか平成の頃の運動会の面影ですら皆無といえる。前日の場所取りに目を血走らせたり、当日の夜明け前に起きてお弁当の準備をすることもない、まさに『令和の運動会』が爆誕しているのである。
そしてその『令和の運動会』をみんなが受け入れつつある。反論どころか歓迎すらされていると言ってもいい。なぜなら『みんなに都合のいい運動会』だからだ。コンパクトかつ短時間で完結し、前後にかかる時間も最小限だし。
おそらく学校側としては、なんとか以前の形に戻していきたいとは思っているだろう。ただこの形に慣れた父兄がどう思うか?まさに神のみぞ知るところ…
今回の表題は新沢基栄氏作『奇面組』シリーズに登場する体育会系5人組『腕組』のリーダーの名前より。読みもそのまま『うんどうかい』だし。奇面組シリーズはそのネーミングセンスが秀逸で、作者のセンスの良さが目を引くところ。個人的には『3年奇面組』がまとまっていて読みやすくおすすめ。
もはや『運動会シーズン』という言葉は死語なのだろうか?
秋と聞いて『運動会』を連想する自分は、古いタイプの人間なんだろう。世代的には『春はお別れの季節です』というフレーズにピンとくるところにいるので、人生もすでに半ばを過ぎて盛りを過ぎた下り坂である。考え方もそれに引きずられている、いわゆるロートルの域に達しつつある。
そんなロートルにとって、秋とは『運動会をやる季節』に他ならない。多種多様な秋があれど、やはり『運動の秋』と関連付けられた運動会の存在は、良くも悪くも風物詩、季語、牛丼屋のコールスローみたいなものだと言える。キリコのそばにドック系ATあり、金田一やコナン君のそばに事件ありみたいなもんか。
近年運動会の季節は2つになった。秋という王道路線、そして春のGW以降あたりという新進気鋭の路線だ。競馬のダービーに至るまでの流れにも似ている。
中距離重賞あたりを経て皐月賞からダービーへ向かう、これぞまさに王道路線。一方がやや短距離路線で適性を見つつNHKマイルでの勝ち方からダービーに向かっていく、スピード系の馬でも2400を押し切れると踏んでダービーに向かう、近年では珍しくなくなってきた新進気鋭の勢いと流れを活かした路線である。まあ別に運動会の二路線の傾向がそのまま当てはまるというわけではないのだが、一応比較対象として。
暦でいうと五月前後か十月前後か、という選択になってくるのだが、ここに大きく関わってくるのがここのところの異常気象だという。ようするに残暑というには酷暑すぎる気候の中で、運動会の練習をやって本番を迎えるということに、熱中症というリスクがどうしてもつきまとうのである。この辺りは明らかに我々世代が知っている『運動会』とは大きく違う。
学校にクーラーがあって、運動中の水分補給やクールタイムが当たり前のご時世なのである。この状況下で『運動会秋開催の強行』が決して万人に受け入れられ難い思想や意見であり、それを真面目に配慮、善処しなければならないのが現代の学校なのだろう。「世知辛い」とか「窮屈」とか言ってはいけないと心して置かないと、『時代錯誤』というお名前シールを貼られてしまう可能性すらある。
運動会開催二路線とは別に、ここ数年で一気に急変した『運動会の常識』がある。密接に関連しているので並べてみると『運動会の短時間化』『保護者参加競技の削除』『出店の不出店』である。
まず大元である『運動会の短時間化』であるが、これに関しては現場の苦肉の策であるという様相が強い。例の感染症関連からくる『新しい生活様式』の下であっても、運動会という学校行事を中止するわけにはいかない。となれば、人との接触を簡略化短縮化するために『できるだけ手短に終わらせる』必要がある。
例えば各学年ごとの種目は『一二年生合同』というような共通種目を作ることで、競技時間や準備時間の短縮化を図れる。時間の圧縮を進めることで、運動会全体の時間が短縮化していき、結果的に一日開催→午前中開催というコンパクト化につながっていく。
そしてできるだけ生徒主体ではない競技は削減していく。ここに『保護者参加競技の削除』が入ってくるわけだ。これにより大昔の恒例種目『PTA役員による大玉転がし』も姿を消した。
先に『午前中開催』と書いたが、これにより『お弁当無し』という驚くべき結果も生まれる。閉会後に保護者による疾風怒濤の片付けが始まるので、のんきにお昼を食べている時間はない。そして『お弁当無し』ということで『お昼休みがなくなる』ということになり、お昼の楽しみである『出店の不出店』につながっていくということになる。
こうして見直してみると、もう昭和どころか平成の頃の運動会の面影ですら皆無といえる。前日の場所取りに目を血走らせたり、当日の夜明け前に起きてお弁当の準備をすることもない、まさに『令和の運動会』が爆誕しているのである。
そしてその『令和の運動会』をみんなが受け入れつつある。反論どころか歓迎すらされていると言ってもいい。なぜなら『みんなに都合のいい運動会』だからだ。コンパクトかつ短時間で完結し、前後にかかる時間も最小限だし。
おそらく学校側としては、なんとか以前の形に戻していきたいとは思っているだろう。ただこの形に慣れた父兄がどう思うか?まさに神のみぞ知るところ…
今回の表題は新沢基栄氏作『奇面組』シリーズに登場する体育会系5人組『腕組』のリーダーの名前より。読みもそのまま『うんどうかい』だし。奇面組シリーズはそのネーミングセンスが秀逸で、作者のセンスの良さが目を引くところ。個人的には『3年奇面組』がまとまっていて読みやすくおすすめ。
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