8 / 10
4ヶ月後:昼に起きた事件
しおりを挟む
はやとは、昼ご飯を共に取るために、席にいないかなめを探していただけだった。
用具室で何か倒れる音がしたから、まさかとは思いつつも念のため扉を開けたのだった。なのに。
セーラー服の上着を身に付けておらず、肌着だけのかなめ。
と、それに覆い被さっている長谷川先輩。
かなめは普通の顔だが、先輩ははやとを見て青ざめた。逆に、はやとの頭は驚くほど冷静で、薄い笑みを浮かべた。
「…お前が少しでも良いやつだと思った俺が間違ってた。やっぱりお前は最低のクソ野郎だよ。殴られたくなければ、自分でそこを退け。退いたあとでお前を殺す。かなめの前で血は見せたくない。」
「ま、待て、違うんだ、これはそういうことじゃなくて」
素早く飛び退く覚にはやとは掴みかかった。
「どういう「うっかり」があれば女の子のセーラー服が脱げて上に覆い被されるんだ?俺はお前が二度とかなめに近づかなくなるなら停学になっても良いんだよ。かなめを守れないなら優等生とかクソ食らえなんだよ。」
覚は襟元をはやとに締め上げられ無抵抗なまま壁に打ち付けられるが、何も言えず口ごもる。
「まって、はやと。ちがうの、わたしがせんぱいをよんだの。」
「こんなやつ庇う必要はない。お前が呼んだとしても、脱がせて押し倒したのはこいつなんだろ?」
「ち、がうの。わたしがぬいで、出ていこうとするせんぱいをひっぱったら、たおれちゃって」
…は?
はやとの思考は停止した。いくらなんでも筋が通らない。かなめがそんなことをするわけがない。する必要もない。
出会ってから今朝まで最大級の警戒をしていたし、今朝少し警戒を解いたとはいえ、いきなりそんな関係になるということも考えにくい。
はやとは虚をつかれた顔でかなめと覚の顔を交互に見た。
「いや、わかんねえよ。なんで、そんな…」
「かなめちゃん、とりあえず上を着な。今の物音で誰か来るかもしれない。」
かなめは小さく頷くと、傍に落ちている上着をもぞもぞとかぶった。
「はやと、お前もだ。一旦この手を離せ。」
力を少し緩めるも、納得のいかないはやとは覚の襟元を掴み続ける。そこへ、着替え終わったかなめが駆け寄り、そっとはやとの腕に触れて引き離そうとした。
それに気づいて、はやとはぱっと手を離した。努めて優しい笑顔を作って、かなめに笑いかけた。
「ごめんな、かなめ。怖かったよな。いきなりごめんな。兄ちゃんは先輩と話があるから、お前は教室に…」
すると今度は覚が苛立ち、軽くはやとの襟元を掴んだ。
「お前のせいだって分からないのか?」
「は?」
「お前はいったい何を守ってるんだ?お前がそんなだから、かなめちゃんは俺に口止めしようと―」
「言わないで!!!」
初めて聞くかなめの大声に、はやとはぽかんとした。
覚は、気まずそうに手を離し、そっとはやとの肩を押した。
…わけが分からない。俺のせい?どうして俺のせいで、かなめが先輩に口止めしようとするんだ?しかも、考えたくないけど…体を、使ってまで?いや、そもそもかなめは脱ぐ意味を分かってるのか?
次から次に浮かぶ疑問に答えは与えられず、かなめも覚も黙り込んでしまった。そこへ、物音と声を聞いて生徒や教師がやってきた。覚はいつもの営業スマイルで、まるで何もなかったかのように穏便に対応していた。
用具室で何か倒れる音がしたから、まさかとは思いつつも念のため扉を開けたのだった。なのに。
セーラー服の上着を身に付けておらず、肌着だけのかなめ。
と、それに覆い被さっている長谷川先輩。
かなめは普通の顔だが、先輩ははやとを見て青ざめた。逆に、はやとの頭は驚くほど冷静で、薄い笑みを浮かべた。
「…お前が少しでも良いやつだと思った俺が間違ってた。やっぱりお前は最低のクソ野郎だよ。殴られたくなければ、自分でそこを退け。退いたあとでお前を殺す。かなめの前で血は見せたくない。」
「ま、待て、違うんだ、これはそういうことじゃなくて」
素早く飛び退く覚にはやとは掴みかかった。
「どういう「うっかり」があれば女の子のセーラー服が脱げて上に覆い被されるんだ?俺はお前が二度とかなめに近づかなくなるなら停学になっても良いんだよ。かなめを守れないなら優等生とかクソ食らえなんだよ。」
覚は襟元をはやとに締め上げられ無抵抗なまま壁に打ち付けられるが、何も言えず口ごもる。
「まって、はやと。ちがうの、わたしがせんぱいをよんだの。」
「こんなやつ庇う必要はない。お前が呼んだとしても、脱がせて押し倒したのはこいつなんだろ?」
「ち、がうの。わたしがぬいで、出ていこうとするせんぱいをひっぱったら、たおれちゃって」
…は?
はやとの思考は停止した。いくらなんでも筋が通らない。かなめがそんなことをするわけがない。する必要もない。
出会ってから今朝まで最大級の警戒をしていたし、今朝少し警戒を解いたとはいえ、いきなりそんな関係になるということも考えにくい。
はやとは虚をつかれた顔でかなめと覚の顔を交互に見た。
「いや、わかんねえよ。なんで、そんな…」
「かなめちゃん、とりあえず上を着な。今の物音で誰か来るかもしれない。」
かなめは小さく頷くと、傍に落ちている上着をもぞもぞとかぶった。
「はやと、お前もだ。一旦この手を離せ。」
力を少し緩めるも、納得のいかないはやとは覚の襟元を掴み続ける。そこへ、着替え終わったかなめが駆け寄り、そっとはやとの腕に触れて引き離そうとした。
それに気づいて、はやとはぱっと手を離した。努めて優しい笑顔を作って、かなめに笑いかけた。
「ごめんな、かなめ。怖かったよな。いきなりごめんな。兄ちゃんは先輩と話があるから、お前は教室に…」
すると今度は覚が苛立ち、軽くはやとの襟元を掴んだ。
「お前のせいだって分からないのか?」
「は?」
「お前はいったい何を守ってるんだ?お前がそんなだから、かなめちゃんは俺に口止めしようと―」
「言わないで!!!」
初めて聞くかなめの大声に、はやとはぽかんとした。
覚は、気まずそうに手を離し、そっとはやとの肩を押した。
…わけが分からない。俺のせい?どうして俺のせいで、かなめが先輩に口止めしようとするんだ?しかも、考えたくないけど…体を、使ってまで?いや、そもそもかなめは脱ぐ意味を分かってるのか?
次から次に浮かぶ疑問に答えは与えられず、かなめも覚も黙り込んでしまった。そこへ、物音と声を聞いて生徒や教師がやってきた。覚はいつもの営業スマイルで、まるで何もなかったかのように穏便に対応していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
