無色透明なきみへ

Okayakan

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4ヶ月後:昼に起きた事件

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 はやとは、昼ご飯を共に取るために、席にいないかなめを探していただけだった。
 用具室で何か倒れる音がしたから、まさかとは思いつつも念のため扉を開けたのだった。なのに。

 セーラー服の上着を身に付けておらず、肌着だけのかなめ。
 と、それに覆い被さっている長谷川先輩。
 かなめは普通の顔だが、先輩ははやとを見て青ざめた。逆に、はやとの頭は驚くほど冷静で、薄い笑みを浮かべた。

「…お前が少しでも良いやつだと思った俺が間違ってた。やっぱりお前は最低のクソ野郎だよ。殴られたくなければ、自分でそこを退け。退いたあとでお前を殺す。かなめの前で血は見せたくない。」
「ま、待て、違うんだ、これはそういうことじゃなくて」
素早く飛び退く覚にはやとは掴みかかった。

「どういう「」があれば女の子のセーラー服が脱げて上に覆い被されるんだ?俺はお前が二度とかなめに近づかなくなるなら停学になっても良いんだよ。かなめを守れないなら優等生とかクソ食らえなんだよ。」

 覚は襟元をはやとに締め上げられ無抵抗なまま壁に打ち付けられるが、何も言えず口ごもる。



「まって、はやと。ちがうの、わたしがせんぱいをよんだの。」
「こんなやつ庇う必要はない。お前が呼んだとしても、脱がせて押し倒したのはこいつなんだろ?」

「ち、がうの。わたしがぬいで、出ていこうとするせんぱいをひっぱったら、たおれちゃって」


…は?

 はやとの思考は停止した。いくらなんでも筋が通らない。かなめがそんなことをするわけがない。する必要もない。
 出会ってから今朝まで最大級の警戒をしていたし、今朝少し警戒を解いたとはいえ、いきなりそんな関係になるということも考えにくい。

 はやとは虚をつかれた顔でかなめと覚の顔を交互に見た。

「いや、わかんねえよ。なんで、そんな…」
 
「かなめちゃん、とりあえず上を着な。今の物音で誰か来るかもしれない。」
 かなめは小さく頷くと、傍に落ちている上着をもぞもぞとかぶった。

「はやと、お前もだ。一旦この手を離せ。」

 力を少し緩めるも、納得のいかないはやとは覚の襟元を掴み続ける。そこへ、着替え終わったかなめが駆け寄り、そっとはやとの腕に触れて引き離そうとした。
 それに気づいて、はやとはぱっと手を離した。努めて優しい笑顔を作って、かなめに笑いかけた。

「ごめんな、かなめ。怖かったよな。いきなりごめんな。兄ちゃんは先輩と話があるから、お前は教室に…」

 すると今度は覚が苛立ち、軽くはやとの襟元を掴んだ。

「お前のせいだって分からないのか?」

「は?」

「お前はいったい何を守ってるんだ?お前がそんなだから、かなめちゃんは俺に口止めしようと―」

「言わないで!!!」

 初めて聞くかなめの大声に、はやとはぽかんとした。
 覚は、気まずそうに手を離し、そっとはやとの肩を押した。

 …わけが分からない。俺のせい?どうして俺のせいで、かなめが先輩に口止めしようとするんだ?しかも、考えたくないけど…体を、使ってまで?いや、そもそもかなめは脱ぐ意味を分かってるのか?

 次から次に浮かぶ疑問に答えは与えられず、かなめも覚も黙り込んでしまった。そこへ、物音と声を聞いて生徒や教師がやってきた。覚はいつもの営業スマイルで、まるで何もなかったかのように穏便に対応していた。
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