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しおりを挟むレベッカとアレッサンドが初めて結ばれた夜から数ヶ月。二人は箍が外れてしまったのか、式を挙げる前にも関わらず、周囲の目を盗んでは狂ったように互いの身体を求め合っていた。
「……は、ぁ……アレッサンド……」
「……レベッカ……」
久し振りに二人揃って休暇を取ることが出来たその日。普段ならば愛の営みは夜以外の時間帯にすることは無かったが、前日夜にたっぷりと愛し合った余韻が残っていたせいか、昼過ぎにも関わらずレベッカとアレッサンドは身体を重ねていた。
「ん……っ、あぁ……」
ソファーの上で真裸で向かい合って座る二人。レベッカはアレッサンドの首に腕を回しながら、腰を上下にゆっくりと動かした。じゅぷっ、じゅぽっ、と蜜壺に咥え込んだ肉の楔が媚肉と擦れる度に淫らな水音を立て、此れが自分達の体液が混じり合ったものと考えるだけで更なる熱が込み上げてしまう。
「レベッカ……随分と厭らしい身体になったものだな……」
「や……っ、言わないで……」
レベッカは蕩けた表情を浮かべながら視線を落とし、乱れた呼吸を繰り返すアレッサンドと見つめ合う。うっすらと頬を上気させ、快楽で潤んだ瞳を向ける婚約者の姿は、何とも言えぬ壮絶な色気を放っていた。
「アレッサンド……」
レベッカが舌をチラリと覗かせれば、アレッサンドも舌を出し。ちょんっ、と先を触れ合わせたのも束の間、互いの舌の感触を堪能するように舐め合い始めた。
「んっ、はっ、んんっ」
ぬちゃぬちゃと唾液を絡めながら、レベッカは腰をどんどん早く揺らしていく。
敏感な壁に快感が齎される度に、身体の奥が切なく痺れ、楔をぎゅうぎゅうに締め付けてしまう。アレッサンドはレベッカが動く度に切なげに瞳を細め、骨張った両手をレベッカの腰下の柔らかな二つの膨らみに滑らせた。
「は、はぁ……っ」
「レベッ、カ……!」
ぬちゅり、と粘膜が絡む音をたてて唇が離れ、レベッカは恥骨をぐりぐりと押し付けるように腰を沈ませる。その圧迫感が敏感な花芽をぷちゅりと焦らすように潰し、新たな快楽が電流のように全身を流れた。
「あっ、あぁ、ん、もうだ、め……っ」
「……っ、ぐぅ……レベッ……カ……!」
奥深くに捩じ込まれた中のモノが大きくなって。
汗に濡れたアレッサンドの顔が歪んでいって。
もうすぐ大きな絶頂が訪れる。そう感じ取った刹那──
──コンコン。
扉をノックする音が部屋に響き渡った。
同時に聞こえたのは「レベッカ。いるのか?」という父の声。
全身を迸っていた熱がひゅっ、と引き、全身から噴き出していた汗が一瞬にして冷や汗に変わった。
(確か、今日はお父様は視察に向かわれたはずでは……!)
ドッドッドッ、と心臓が鼓動を打ち、一気に焦りに見舞われる。どうすれば良いか分からず硬直してしまったレベッカだったが、アレッサンドに身体をぎゅっと抱き寄せられて我に返った。
「レベッカ! 此方だ!」
小さな声で囁かれたのと同時に、ぐっと持ち上げられる身体。勿論、秘部は繋がったままなわけで。子宮の入り口まで穿たれたような衝撃が駆け抜け、レベッカは堪らず喜悦に満ちた声を漏らしてしまった。
「レベッカ!? どうかしたのか!」
外から聞こえる焦りに満ちた父の声。しまった、と思ったのと同時に、レベッカはアレッサンドに抱えられ、クローゼットの中に押し込まれた。
「レベッカ!」
ガチャンと勢い良く扉が開く音と、父の声が聞こえる。レベッカはクローゼットの内壁に背中を押し付けられるようにして、アレッサンドに抱かれていた。そして、陰部は繋がったまま。ぐっと押し付けられるだけで身体が悦びの声を上げてしまう。
「だ……めぇ……アレッサンド……」
「耐えろ。レベッカ」
艶めいた声でアレッサンドに囁かれ、レベッカは身体を震わせる。何とか音を立てないように試みても、先ほどの行為で身体の隅々まで敏感になっていて、アレッサンドが少し動くだけでも吐息が乱れていく。
「は……あぁ、や……っ」
「レベッカ……!」
理性が快楽に押し潰され、レベッカは限界を迎えそうだった。アレッサンドは慌ててレベッカの唇を塞ぐも、重なった唇の隙間から淫らな声が漏れてしまって。父に見つかるかもしれないという危機的状況がより一層、情欲を煽った。
「……おかしいな。確かに声がしたんだが」
密閉空間のクローゼットの直ぐ側から、父の声が聞こえる。レベッカは快感に耐えるようにアレッサンドの唇を甘噛みしながら、厚い筋肉に覆われた彼の背中に必死にしがみついた。
「ふっ、んんっ、ん……っ」
「レベッ……カ……」
気を紛らわすように唇を押し付け合っていたものの、繋がった箇所から漏れるぐちゅぐちゅとした卑猥な音が際立ち、耳を犯してしまう。
快楽の海に落とされたいのに、焦らされるように縄で縛られて。目の前の愛しく淫らな婚約者にすがりながら、父が早く部屋の外へ出ていくことを必死に祈り続けた。
「……外に出たのか。仕方ない、探しに行くか」
父のものと思われる足音が遠ざかり──バタン、と扉が閉まる音が聞こえる。一気に緊張感が抜け、レベッカはアレッサンドから唇を離した。
「……良かった。驚いたわね、アレッサンド……」
へにゃりと力ない笑顔をアレッサンドに向けた瞬間、緩められたはずの彼の腕に再び力が入り、壁に強く押し付けられた。
「アレッ……あぁっ!」
──刹那、存在感を示し始めた熱く硬い剛直が一気にレベッカのナカを貫いた。
ぱちゅん、ぱちゅん、と水音に交えて肉がぶつかり、レベッカは激しく身体を揺さぶられる。既に小さな絶頂を何度も迎えているのに、アレッサンドは絶え間なく抽挿を繰り返し、勢い良く奥へと突き上げる。
「は……っ、らめぇ、激し、い……!」
「レベッカ……レベッカ……っ!」
二人が激しい動きを見せる度に、クローゼットがガタンガタンと音を立てて揺れる。しかしそんなことはアレッサンド達にとっては行為を止める理由にはならず。身体の奥底まで貪るように腰を振り続けた。
「レベッカ……! お前のナカに出すぞ、いいな……!」
「はぁ、んあっ、きて、きてぇ、いっぱい出して……っ」
レベッカは本能のままに叫びながら、待ちわびていた刺激に涙をこぼす。アレッサンドにしがみつけば、レベッカのナカで雄がより硬く大きくなり──ぐぐぐっと腰を押し付けられた瞬間、最奥に滾りを放たれた。
「……ああ、ぁっ……!」
「……ぐっ……!」
目の前を白い光が瞬き、身体がビクビクと痙攣する。力尽きたように腕から滑り落ちそうになったレベッカを、アレッサンドは抱え込むようにして支えた。
二人で分かち合えた悦びにレベッカはうっとりとした表現を浮かべ、アレッサンドと視線を交える。
「愛しているわ。アレッサンド……」
「私もだ。レベッカ」
熱を孕んだ瞳で見つめあいながら、引き寄せられるように顔を近付けた──その時だった。
「お、まえ、たち……!」
木が軋む音と共に聞こえた低い声。
身体をビクンと震わせて恐る恐る視線を向けると、クローゼットの扉の隙間から顔を覗かせる父の姿があった。
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