【R18】夫を奪おうとする愚かな女には最高の結末を

みちょこ

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1話

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 きっかけは、侍女のソフィアと夫のフィンが口づけをしたところから。

 口づけをしたと言っても、階段から滑り落ちたソフィアをフィンが受け止めようとした際に、たまたま二人の唇がぶつかったのだけなのだが。いや、と言った方が正しいのかもしれない。

 私は、本当のことを知っている。
 ソフィアの企みは、全て見抜いている。

 ソフィアが階段の死角でフィンが来るタイミングを見計らっていたことを。心優しいフィンが階段から落ちてくる女の子を助けようとしないはずが無いことも。

 二人は唇を重ねたまま数秒間抱き合ったような状態を続け──我に返ったように、んぱっ、と音を立てて唇をほぼ同時に離した。
 最新の監視カメラだと、リップ音までよく聞こえる。まぁ、事故によるキスなのに何故そんな音が鳴ったのかは、敢えて触れないでおこう。

 フィンは慌ててソフィアに頭を下げると、逃げるようにして足早にその場を去っていった。

 一方のソフィアは、自分の唇に触れながら熱を孕んだような眼差しで夫を見つめていて。それは紛れもなく、前々から彼女がフィンに向けてきた視線と同じもので。フィンがソフィアからは見えないところで懸命に口を拭っていることなど、彼女は知る由も無いのだろう。

 それにしても、とうとうこの日が来てしまったのね。勿論、ソフィアがこの屋敷で働き始めた時から覚悟はしていたし、それなりの準備もしてきたけれど。

 舞台俳優である夫は、容姿端麗な上にスタイルも抜群に良い。色目を使われるのも、まぁ仕方が無いことだろう。

 しかし、妻として黙っている訳にはいかない。

 フィンのことは愛しているし、死んでも誰にも渡すつもりはない。

 此れを機会に害虫は徹底的に潰さなければ。



 一先ずは、屋敷のあらゆる箇所に取り付けた監視カメラの映像で、二人の動きを捉えるとしよう。
 来るべきタイミングまでは甘い蜜を与えて、最後は死よりも苦しい絶望を与える。

 ──人の夫を奪おうとするクズには、最高の制裁を。

 モニターの前で優雅に珈琲を啜りながら、私は引き続き二人を見張ることにした。


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