お互い好きにいたしましょう ~無能な夫は捨てて愛人と人生を歩みます~

今戸日予

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12-輝耀

 セレスに課した罰は、俺にとっても罰となっていた。
 それなのに皆の前でキスをされてしまった、……が、まぁ良い。
 口紅を付けっ放しも、まぁ良い。
「婚前の二人なのに肉体関係があるとは何事だ!」
 だが、父君の発言は頂けない。
 セレスは俺の物だから問題ない。
「セレスは俺の物なので父君の許可は不要です」
 口を衝いて出たが、これも問題ない。
 父君の顔が真っ赤になったが、セレスは俺の物だから。
「ふっ、ふっ、不身持ちな!」
「セレスが結婚していた状態でこうなってしまったのは、父君があれと結婚させたからでは?」
「責任転嫁するつもりか!」
「あれとセレスが出会っていなければ、結婚していなければ、こうはなっていませんよ。俺と出会っていないですからね。ですが今はセレスは俺の物ですので、責任はしっかり取ります。セレスが死ぬまで俺がずっと側にいます」
「セレスは私の娘だ!」
「セレスは俺の物です」
「私の! 娘だ!」
 父君が譲ろうとしない。
 殺気を飛ばすか、と思った瞬間、セレスに抱き着かれた。
「私はヴォルフのものよ」
 セレスがそう言った時の父君の顔が哀れだった。
 ……が、俺は今、笑っている。
 心の奥底から笑っている。
 当然顔には出さないが。
「これで決着ですね。セレスは頂いて行きます」
 セレスを抱き上げた。
「お父さま、またね」
「おいおいおい、本当に行くのか?」
「私はグラハム侯爵よ? 帰って領地を立て直さないといけないわ。お父さまも手伝ってね」
 父君は渋い顔をしていたが、小さく頷いた。
「それは手伝う。ヴォルフ君、うちの領地でまた」
「勿論手伝いますよ、無償でね。ですが倒した魔獣は頂きます」
「ああ、それは全然構わん。その時は頼むよ」
「では失礼します」
「また連絡するわね」
「ああ、待っているよ」
 父君は何故か笑顔だった。
 どういう事だ?

 遅い昼食を摂ってからセレスの部屋へ行き、着替えて荷物を纏める。
 裸のセレスが俺にくっ付いてくる。
「ヴォルフ、愛して?」
「先に着替えよう」
「ええ? せっかく脱いだのに?」
「連れて行きたい所があると言ったよな?」
「……分かったわ」
 コルセットを大人しく着けさせてくれる。それからシュミーズ、普段着の胸元の詰まったドレスを着せた。
 我慢をするのは辛いな……。
「ヴォルフ、キスをして?」
「さっきは油断してさせてしまったが、お仕置きは継続だ」
「……え?」
 こんなに悲しい顔をされるとしたくなってしまうが我慢だ。
「さぁ行こう」
 荷物を持ってセレスを先に歩かせる。
 魔車に乗り込んで目的地へ向かう。

 目的地に到着すると助手席のドアを開けた。
「ここ?」
「そう。俺の家」
「え! こんな格好できてしまったわ。お土産も持ってきていないのに……」
「いらないよ」
「そう? ……レンガ造りなのね。小ぢんまりとした家で可愛いわね」
「古いだけだ」
「ヴォルフの部屋へ行けるの?」
 嬉しそうな顔をして外に出て来た。
「そうだな」
 ドアを閉めてセレスの腰に手を回し、右手を取る。
 アプローチを歩き、玄関に到着するとドアベルを鳴らす。
 暫くすると母さんが出て来た。
「はーい」
 俺を見て目を丸くする。
「ヴォルフ! 帰ってくるな…ら……、あら、彼女を連れてきたの?」
 嬉しそうな顔をしてセレスを見て会釈をしている。
「うちの息子がお世話になっています。汚いところですがどうぞ入ってください」
「ヴォルフさんとお付き合いさせていただいています、セレスティーヌ・ルンドと申します」
 母さんにそんな極上の笑顔を見せなくても良いのに。
「ルンド……あ! ムンド・ルンド商会の? えっ、そのお嬢さまとお付き合いしてるの?」
 セレスと俺を交互に何度も見ている母さんが恥ずかしい。
「結婚するから連れて来た」
「えっ!?」
 二人が同時に驚いた。
 セレスは俺の物だろうに、何故驚く?
「玄関先で話すことじゃないわよ。入ってちょうだい」
 セレスを先に入れ、俺も中に入ってドアを閉めた。
「部屋に用事があるだけだから直ぐに帰るよ」
「えっ!?」
 また二人が同時に驚いた。
「セレスは離婚したばかりで、結婚は直ぐに出来ないからな」
 セレスをエスコートして階段へ向かう。母さんが付いて来た。
「ええ? どういうことなの?」
「政略結婚をしていて今日婚姻解消裁定書にサインをしたんだよ。それが受理されれば俺と結婚する。母さん、またグラハム侯爵領へ行くからここを離れるよ」
「そう、分かった。……その結婚については」
「籍を入れてから王都へ戻った時にまた来るよ」
「ええ? いつ頃なの?」
「さぁ?」
 セレスを先に階段を上らせ、付いて行く。
「そう、分かった……。あ、部屋は今日掃除したばっかりだから!」
「いつもありがとう」
 振り向かずに言った。
「左側の手前だぞ」
「うん」
 セレスはゆっくりと上がっている。

 ようやく二階へ行き、ドアを開けたセレスが部屋へ入る。俺も入るとセレスは中央で部屋を見回していた。
「何もないのね……」
 ある物は机と椅子と棚とチェストとベッドだけ。
「剣士になる為だけに生活していたからな」
「勉強机があるのに、本がないわよ?」
「学校は通っていないんだよ。剣士になりたかったからな」
「あら、護衛にも知識は必要よ?」
「本は親父の書斎にあるよ」
 チェストの一番上の抽斗を開けると、セレスが隣に来た。俺が大切にしている短剣を取る。
「これを」
 セレスにそれを差し出した。
「なぁに?」
 それを手にしたセレスは鞘から少し剣身を抜いた。
「この短剣は本物なの?」
「これは十万ラダしたミスリル製の短剣だ」
「そう……。これがミスリル」
「この金を払ったのはセレスだ」
「え?」
「この短剣を買ってもらって、俺はセレスの物になったんだ」
 セレスが顔を上げて俺を見る。
「いつの話?」
「十七年前だな」
「まぁ、私が五歳の時にヴォルフに買ったの?」
「そうだ。先行投資だと言っていたよ」
「そうなの? ふふふ、私も凄いことをしていたのね」
「その短剣は俺の命だ。だからセレスに預ける。失くすなよ?」
 短剣を胸に当て、目を潤ませて俺に体を預けて来た。
 優しく抱き締める。
 これでセレスは本当に俺の物になった。
「愛しているよ」
「私も愛しているわ……。でもプロポーズはきちんとして欲しかった」
「セレスは俺の物だと言っただろう?」
 セレスが顔を上げた。
「プロポーズではないでしょう?」
「セレスと結婚する」
「ふふ」
 眩しい笑顔を向けられて、目を細めながらキスをした。
「もう少し」
 ほんの少しだけ唇を重ねた。
「足りない……」
「お仕置き中だからな」
 冷えた色の目が俺に不満だと訴え掛ける。
 分かっているが……、まぁいいか。
 額にキスをすると、短剣を持った手で胸を軽く叩かれた。
「そこではないでしょう?」
 思わず笑ってしまった。
 セレスが少し驚いた表情になって、俺は少し開いている口を塞ぎ、舌を入れた。
 セレスの手が首に掛かる。
 そのままセレスを後ろに下がらせて、机に当たると座らせた。
「ベッドで愛して?」
「今直ぐ入れたい」
 セレスのスカートの裾をたくし上げ、膝の裏に手を通して持ち上げた。スラックスのフロントを開けて肉茎を出して蜜壷に少し入れる。
「あっ……」
「セレス」
 またキスをして舌を絡め、ゆっくりと奥へ。セレスの蜜壷が締め付けて来て……、堪らない。
 セレスは短剣を握った右手は使わず、左手で俺の首にしがみ付いている。
「んっ、んんっ…んっ、ん」
 何度も締め付けられ、蜜が絡んで来て、俺を苦しめる。
 セレスティーヌ……、俺の物だ……。
 俺のセレスティーヌ……。

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