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第九章 文化祭に向けて
パンフレットが完成しました
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とある日の休み時間。
「一条さん! ついに完成したよ! 文化祭のパンフレット!」
鼻息荒く私の机に直撃してきた笹山さんが、三種類のパンフレットを差し出してきた。
どれも宮殿内部を思わせるようなアンティーク調のデザインで統一されているが、色みが違うため全然違った印象を受ける。
一枚目はコハクがメインで、謳い文句に『聖学のイケメン王子が、美しいルックスと極上の笑みで皆様に癒しの一時を提供します!』と書かれている。白と水色を基調としてデザインされており、正統派な印象だ。
二枚目はカナちゃんがメインで、謳い文句に『元華高の浪花の貴公子が、軽快なトークと甘いマスクで皆様に楽しい一時を提供します!』と書かれており、黒と赤を基調としてデザインされており、情熱的な印象を受ける。
三枚目は二人が絡んだ写真が載ったパンフレットで、謳い文句に『貴女はどちらがお好みですか?』と対比できるようデザインされていた。
余すことなく写真が使われた三枚のパンフレットは、これだけで商品に出来そうなくらい完成度の高いものだった。
「ここまで綺麗にまとめてデザイン出来るなんて、笹山さん凄すぎるよ!」
「私、美術部だからこういうテザインとか考えるの好きなんだ。イメージをジグソーパズルみたいに一番よく合う場所に埋めていって、完成した時の達成感が堪らなくて!」
キラキラと瞳を輝かせて話してくれる笹山さんの様子から、本当に好きなのが伝わってくる。
いつの間にかパンフレットに寄せられて他のクラスメイトも集まってきて、皆が絶賛している。
当事者の二人も気づいて寄ってきたが、ある重大な問題に気づく。
コハクのパンフレットと今の実物が似ても似つかないということに。
ルックスは同じだが、極上の笑みとは真逆の極悪な笑みを浮かべたシロに皆が視線を送った後、そっと目を逸らした。
クラスの皆も今のコハクがもう一人の人格のシロだと言う事と、彼の狂暴性を少なからず理解しているようで心に思っているのだろうが誰も口にはしない。
そこへ、シロといつも熱いバトルを繰り広げるカナちゃんが声をかけた。
「シロ、お前店出てる時だけでええから、コハッ君みたいにニコニコ愛想よくしたりとか出来へんのん?」
「はぁ? てかウェイターなんて端からやらねぇし」
「(一条さん……何とか……説得を……)」
クラスメイトの訴えるような視線がグサグサと突き刺さってくる。
視線に耐えきれず、後ろからパンフレットを見ていたシロに振り返ってお願いした。
「シロ、皆頑張って文化祭の準備してるし、せめてお店に出るくらいは……」
「お前は何やんの?」
「私は外で宣伝係」
「お前が中で一緒にやるならやってやるよ」
「桜、あたしが宣伝やるから代わりに中頼むよ!」
すかさず坂梨さんがお願いと手を前に合わせて頼み込んできた。
次々に他のクラスメイトまで私に手を合わせ始め、仏像にでもなってしまったのかと錯覚しそうな程、異様な光景だった。
断じて、私の背中に後光などありはしない。
私の背中には……面倒臭そうに欠伸をして目を擦っている件の男が居るくらいだ。
「分かった。やるから、シロもちゃんとお店に出てよね」
「ああ、約束してやる」
周囲からは歓喜の声と拍手が巻き起こり、クラスは文化祭に向けて更なる団結を高めようとしていた。
衣装班は毎日急ピッチで作業を進めており、着実に当日の衣装を作っている。
物流班と調理班は当日のメニュー開発に明け暮れているようだ。
うちのクラスがここまで頑張っているのには、ある理由があった。
それは、三年のとあるクラスにアイドルを全面に押し出して集客するのが狙いの所があるらしい。
そこには文化祭で二年連続聖学の姫を務めた超絶美少女の先輩が所属しており、男子生徒に絶大な人気を博しているらしい。
狙いを女性客に定めた我がクラスと、男性客に定めた先輩のクラス。
優勝出来るのは一つのクラスだけで、ステージ部門にいくと踏んでいたそのクラスが、まさかサービス部門にエントリーしていると分かった時、我がクラスの闘志にかなりの火が灯った。
チャイムが鳴り、皆が席に戻った後も私は文化祭の事が頭から離れなかった。
終わるまでにコハクを目覚めさせなければならない。
そのために、頑張ってコンテストに向けて準備をしているが、その超絶美少女の先輩に勝たなければ優勝など有り得ないわけだ。
実際にお目にかかった事はないが、二年連続でこの学園の顔として君臨し続けた美少女だ。きっと非の打ち所のない完璧な乙女なのだろう。
そんな相手に、無謀な挑戦を挑む冴えない自分。
今の構図を簡単に示すなら、ライオンに挑むねずみのようなものだ。
この圧倒的な実力差を残り一ヶ月たらずで埋めるなど……ほぼ不可能に近い。
弱気になっては駄目だ、シロが昨日励ましてくれたじゃないか。万が一のチャンスにかけて、最後まで努力する事だけは諦めないでおこう。
「一条さん! ついに完成したよ! 文化祭のパンフレット!」
鼻息荒く私の机に直撃してきた笹山さんが、三種類のパンフレットを差し出してきた。
どれも宮殿内部を思わせるようなアンティーク調のデザインで統一されているが、色みが違うため全然違った印象を受ける。
一枚目はコハクがメインで、謳い文句に『聖学のイケメン王子が、美しいルックスと極上の笑みで皆様に癒しの一時を提供します!』と書かれている。白と水色を基調としてデザインされており、正統派な印象だ。
二枚目はカナちゃんがメインで、謳い文句に『元華高の浪花の貴公子が、軽快なトークと甘いマスクで皆様に楽しい一時を提供します!』と書かれており、黒と赤を基調としてデザインされており、情熱的な印象を受ける。
三枚目は二人が絡んだ写真が載ったパンフレットで、謳い文句に『貴女はどちらがお好みですか?』と対比できるようデザインされていた。
余すことなく写真が使われた三枚のパンフレットは、これだけで商品に出来そうなくらい完成度の高いものだった。
「ここまで綺麗にまとめてデザイン出来るなんて、笹山さん凄すぎるよ!」
「私、美術部だからこういうテザインとか考えるの好きなんだ。イメージをジグソーパズルみたいに一番よく合う場所に埋めていって、完成した時の達成感が堪らなくて!」
キラキラと瞳を輝かせて話してくれる笹山さんの様子から、本当に好きなのが伝わってくる。
いつの間にかパンフレットに寄せられて他のクラスメイトも集まってきて、皆が絶賛している。
当事者の二人も気づいて寄ってきたが、ある重大な問題に気づく。
コハクのパンフレットと今の実物が似ても似つかないということに。
ルックスは同じだが、極上の笑みとは真逆の極悪な笑みを浮かべたシロに皆が視線を送った後、そっと目を逸らした。
クラスの皆も今のコハクがもう一人の人格のシロだと言う事と、彼の狂暴性を少なからず理解しているようで心に思っているのだろうが誰も口にはしない。
そこへ、シロといつも熱いバトルを繰り広げるカナちゃんが声をかけた。
「シロ、お前店出てる時だけでええから、コハッ君みたいにニコニコ愛想よくしたりとか出来へんのん?」
「はぁ? てかウェイターなんて端からやらねぇし」
「(一条さん……何とか……説得を……)」
クラスメイトの訴えるような視線がグサグサと突き刺さってくる。
視線に耐えきれず、後ろからパンフレットを見ていたシロに振り返ってお願いした。
「シロ、皆頑張って文化祭の準備してるし、せめてお店に出るくらいは……」
「お前は何やんの?」
「私は外で宣伝係」
「お前が中で一緒にやるならやってやるよ」
「桜、あたしが宣伝やるから代わりに中頼むよ!」
すかさず坂梨さんがお願いと手を前に合わせて頼み込んできた。
次々に他のクラスメイトまで私に手を合わせ始め、仏像にでもなってしまったのかと錯覚しそうな程、異様な光景だった。
断じて、私の背中に後光などありはしない。
私の背中には……面倒臭そうに欠伸をして目を擦っている件の男が居るくらいだ。
「分かった。やるから、シロもちゃんとお店に出てよね」
「ああ、約束してやる」
周囲からは歓喜の声と拍手が巻き起こり、クラスは文化祭に向けて更なる団結を高めようとしていた。
衣装班は毎日急ピッチで作業を進めており、着実に当日の衣装を作っている。
物流班と調理班は当日のメニュー開発に明け暮れているようだ。
うちのクラスがここまで頑張っているのには、ある理由があった。
それは、三年のとあるクラスにアイドルを全面に押し出して集客するのが狙いの所があるらしい。
そこには文化祭で二年連続聖学の姫を務めた超絶美少女の先輩が所属しており、男子生徒に絶大な人気を博しているらしい。
狙いを女性客に定めた我がクラスと、男性客に定めた先輩のクラス。
優勝出来るのは一つのクラスだけで、ステージ部門にいくと踏んでいたそのクラスが、まさかサービス部門にエントリーしていると分かった時、我がクラスの闘志にかなりの火が灯った。
チャイムが鳴り、皆が席に戻った後も私は文化祭の事が頭から離れなかった。
終わるまでにコハクを目覚めさせなければならない。
そのために、頑張ってコンテストに向けて準備をしているが、その超絶美少女の先輩に勝たなければ優勝など有り得ないわけだ。
実際にお目にかかった事はないが、二年連続でこの学園の顔として君臨し続けた美少女だ。きっと非の打ち所のない完璧な乙女なのだろう。
そんな相手に、無謀な挑戦を挑む冴えない自分。
今の構図を簡単に示すなら、ライオンに挑むねずみのようなものだ。
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