おーばー!〜弱小女子野球部の監督に元最強選手の男子高校生が就任してハーレムになった件〜【明鈴高校女子野球部一年生前編】

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休息と雑談

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「肉だ肉だー!」

「お肉、お肉」

「この肉もらいー!」

「あ、それ私の肉ー!」

「ボクが美味しいお肉の焼き方を教えてあげますよ!」

 騒々しい声が聞こえる中、バーベキューはつつがなく行われていた。騒々しいのは主に明鈴の陽依、伊澄、黒絵と水色の成瀬未紗、志水柚葉だ。

 普段は止めるような先生たちも端の方でゆっくりとお酒を嗜みながら肉を頬張っており、選手で言えば司などが止めるはずだが、キャッチャー組の三船魁、白夜楓と談笑していた。……柚葉はこのメンバーに入らなくていいのだろうか。

 巧はそれを横目にため息をつきながらバランスよく肉と野菜を食べ進める。

「全く、あれだけ多かったら手に負えないわね」

 ぼやきながら水色学園の近藤明音が隣まで来る。

 合宿中、関わりのあった人とは普通に話せるが、関わりの薄かった人たちはどう接していいのかわからなさそうに見られている。そのため、食べ物や飲み物を取る時以外は少し離れたところで見ているだけだった。そのため、明音が話しかけてくるのは意外だった。

「もしかして、水色学園の煩い組を止めるのは近藤さんだったりする?」

「明音でいいわよ。……まあ、そうね。キャプテンの晴さんか一年生なら大体私ってところね」

 司と明音は小学生の頃から一緒だと司が言っていた。ずっと一緒にいれば性格まで似てくるのだろうか。高校では学校は分かれているが、煩い組を止める役目というのは司も明音も同じらしい。

「ねえ、連絡先教えてよ」

「いいけど……どうした、急に?」

 明音のその言葉は唐突だった。巧は戸惑いながらも携帯を取り出す。

「同じ一年生だから付き合いも長くなると思うし。……それに司って考え込みやすいから、何かあったら相談乗るよ」

 確かに司は考え込みやすいところがある。巧が監督となった際にも司が勝負をけしかけたため、少し気に病んでいたようだ。

 連絡先を交換し終わり、少しの沈黙があった後、続けて明音が口を開いた。

「あとさ……私と巧、会ったことあるんだけど覚えてる?」

 どうせ覚えてないだろう、とでも言いたげな不機嫌な声だ。まあ、覚えてないが。

「そうだったっけ? いつ?」

 いつだっただろうか。司や明音が所属していた東陽シニアは一年生時に対戦したことがあるが、二、三年生の時はない。対戦した時も同じ一年生が出場していた記憶はないため、その頃に面識があったわけではないだろう。記憶を辿っても明音との接点は思い出せない。

「自分で思い出せ」

 明音は拗ねたように巧のお尻を回し蹴りすると去っていった。

 教えてくれてもいいじゃないか。

 思い出せないとのは仕方ない。言ってくれれば思い出せたかもしれないし、それでも思い出せなかったら謝るしかない。それで拗ねて怒られるなんて、女子の気持ちはよくわからない。

 そして、明音と入れ替わりに先程までキャッチャー組と会話をしていた司がこちらに向かってきていた。話は終わったのだろう。

「蹴られてたねー。何かしたの?」

 しっかりと蹴られていたのを見られていたようだ。そして何かした前提で話され、巧はムッとする。

「何かしたって決めつけるな。……なんか会ったことあったみたいだけど覚えてないって言ったら怒られた」

 巧がそのことを伝えると、司は「へー」と言う。

「何か知ってるか?」

 古くから付き合いのある司であれば何か知っているかもしれないと思いそう尋ねたが、良い回答は返ってこなかった。

「知らないよ。それに知ってたとしても私から言うことじゃないかもねー」

 司は「多分明音としては巧くん自身に思い出して欲しいと思うし」と付け加える。そう言うものなのか?

「いやー、それにしても、明音も乙女だねぇー」

 司は「知らなかった知らなかった」と言いながら親戚のおじさんのようなことを言う。

「どういうことだ?」

「にぶちんの巧くんにはわからないよー」

 不名誉な言葉を浴びせられ、反論したくもなるが意味がわからないためなんと返せばいいかわからない。

「おっと、次のお客さんが来たみたいだから私は退散するね。ちょっとせっかくだから琥珀にでも話しかけてこよーっと」

 一人で黙々と食べ続ける琥珀に目をつけ、司は離れていった。そして司はの言う次のお客さんは夜狐と楓だ。

「お疲れさん。やー、なんか話すの久しぶりな気ぃするわぁ」

 楓は「お裾分け」と言いながら新しい取り皿に肉や野菜を入れて持って来てくれたため、それをありがたく受け取る。

「今日は話せてないからな。昨日とか一昨日も少し話したくらいか。これだけ人数いると、一緒に練習してても案外話せないからな」

 今回の合宿はマネージャー含めて総勢五十六名だ。それに加えて監督組の巧、美雪先生、神代先生、佐伯先生と大人も合わせると六十名だ。流石に監督組とは毎朝打ち合わせのために話をするが、選手となれば同じ明鈴でも話さないこともあった。

「てか巧、さっきからちょっと見てたけどモテモテやね」

「いや、モテモテっていうか……俺以外男子いないしな」

 夜狐の言葉にツッコミを入れる。監督組含めても男性は巧だけだ。そうなれば話す人も女性だけに決まっている。

「夜狐もなんか、巧さんのこと気にしとったからなぁ」

「いや、ナックルのこと聞きたいだけやけど」

 照れも何もなく、楓の言葉に夜狐は真顔で返す。そのやり取りを見て巧は苦笑いをした。

「俺も未完成のなんちゃってナックルだし、大したことは教えれないけどな」

 自分が大体どのように投げているのか、投げているところを見てある程度のアドバイスしかできない。

「まあ、せっかくやし連絡先教えてよ」

「あ、うちもついでに」

 そう言われて巧は携帯を取り出す。今日は連絡先を交換することが多いな、とふと思う。ただ、よく考えれば、ゆっくりと話をできるのはこれで最後かもしれないため、この機会に連絡先を交換しておかなければ明日にチャンスがあるかわからない。

 周りにも連絡先を交換しようと携帯を取り出している人は多くいた。

「巧さんもこんなとこおらんと、せっかくやからこの機会に色々話してみてもいいんとちゃいます?」

 来た人と話すだけで、ほとんどその場にいただけの巧は確かにあまり話をしていない。

「まあ、それもそっか」

 久しぶりに会った琥珀や明日香、琥珀は合宿中にそこそこ話をしたが、明日香とはあまり話をしていない。まあ、元々知り合いとは言え話をする方ではないが。

「とりあえず、流石に煩すぎるからあの辺止めてくるわ」

 まずは煩い組をそろそろ鎮めなければいけない。ゆっくりと談笑している他の一年生にまで絡み始めている。監督組は酔っ払って止める気配とないため、巧が止めるしかないだろう。

「いってらっしゃい~」

 手を振る楓たちとは離れ、巧は騒いでいる煩い組たちを止めに行った。
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