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第2話 人見知りのクラスメイト

クールビューティ

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 直哉の部屋に泊まってから、二人の関係に少し変化が現れていた。優子は今までしていたスキンシップをしなくなり、代わりに直哉を見つめる時間が多くなっていた。


 そんな優子の変化に直哉は全く気がついておらず、いつも通りに優子と接していたのだ。

「優子、何だか最近変わった? なんて言うか・・・・・・神崎君への態度が・・・・・・・変って言うか、よそよそしいというか・・・・・・」
「ふぇっ!? そ、そんな事ないよ・・・・・・そんな事・・・・・・。亜子の思い過ごしだよ・・・・・・うん、そう、思い過ごし・・・・・・」
「ふ~ん、まっ、いいけどっ。でも、神崎君ってモテそうだよねぇ。優子もそう思わない?」

 亜子からの思わぬ一撃で、優子は飲みかけていたお茶を吹き出しそうになってしまった。亜子の口からそんな事を聞くとは夢にも思わず、つい直哉の方へと視線を向けてしまったのだ。

「直哉と話ってる子って・・・・・・」
「確か澤村さん・・・・・・だよね。神崎君と何やら話し込んでいるみたいだけど・・・・・・」
「そりゃ、席も近いんだしぃ、話ぐらいすると思うよぉ」
「え~、だって、あの澤村さんだよ? クールビューティーだよ? 自分から話しかけるなんて・・・・・・今までなかったのにねぇ」

「・・・・・・ほ、ほら、きっとあれよ、直哉の視線がいやらしすぎて・・・・・・そ、そう、クレームよ、クレーム。全く直哉も反省しないんだから」
「反省? 何かあったの? でも・・・・・・澤村さん、怒ってると言うより・・・・・・何か頼んでいるような・・・・・・」

「うぅ、何も・・・・・・ないわよ・・・・・・何も・・・・・・ね。直哉に頼むとか、人選間違ってると思うけどなぁ」
「・・・・・・やっぱり、神崎君の事が気になってる・・・・・・? そりゃそうよね、あのクールビューティーが話しかけるとか・・・・・・気にならないわけないもんねぇ」

 優子の視線と意識は、完全に直哉へと向けられていた。亜子の言葉も半分くらいしか、耳に入らず直哉と澤村紗英が何を話しているか気になっていたのだ。
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