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第6話 約束の約束
謎の手紙
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旅行から戻った直後に直哉は荷物を放り出して、ベッドへ直行していた。楽しかった日々であるが、疲れる事には変わりがなかった。
目を瞑り旅行の日々を振り返っていると、意識が夢の中へと旅立ったのだった。
「直哉君、ねぇ、直哉君ってばぁ。ちゃんと聞いてるの?もう、せっかく一緒なのに上の空なんだからぁ」
「ご、ごめん・・・・・・。それで今日は何して遊ぶの?」
「この前の続きよ。せっかく結婚したんだから、次は新婚生活に決まっているじゃないの」
小さな庭に青いビニールシートを敷くと、おままごと用のテーブルや食器を用意していく。幼い少女がビニールシートに座ると、直哉に玄関から帰ってくるよう指示をしたのだ。
「今帰ったよ~。今日の夕飯は何かな~」
「おかえりなさい、ダーリン」
「ねぇ、ダーリンって何~?」
「この前テレビでやってたのよ。結婚したら男の人をダーリン、女の人をハニーって呼び合うんだって」
恐らく最近見たテレビの影響を受けて、そう呼んだのだろう。言葉の意味がよく分かっていない直哉はその少女に従ったのだった。
「それじゃ、もう一度やり直しね。直哉君、玄関からだよっ」
「ただいまハニー、今日の夕食は何かな~」
「おかえりなさいダーリン。今日はねぇ、ハンバーグだからね」
幼い頃大好きだったハンバーグ、おままごととはいえその事を覚えていて貰った事が嬉しかったのだ。
部屋に上がりテーブルに着こうとすると、直哉の視界が徐々に黒くなっていった。
「直哉君・・・・・・?ねぇ、大丈夫・・・・・・?直哉君ってばぁ───────」
「直哉様、お目覚めになられましたか?」
自分を呼ぶ声に目を覚ますと、視界に沙織が映っている。右手で髪の毛を抑えながら上から覗き込んでいた。
寝ぼけながら直哉が起き上がろうと、足を動かすと何かにぶつかった感触と共に沙織が恥じらいの声を上げたのだ。
そう、沙織は直哉の眠っているベッドで、直哉に覆い被さる様な体制をとっていた。少し顔を上げると、目の前には沙織の胸が視界を塞ぎ、直哉の足を跨いで膝をつき、柔らかそうな唇が今にも触れそうな距離にあった。
「えっ、さ、沙織さん!?どうして部屋に・・・ってどういう体制でいるんですかっ」
「だって・・・・・・直哉様の寝顔がよく見えるのがこの体制でしたのよ。何度起こしても全く反応がないものですから、白雪姫を思い出し口づけをしようとしてたところなのですわ」
慌てた直哉は、沙織にベッドから降りてもらい自分も起き上がったのだ。
そして、少し残念そうな顔をしていた沙織に何故自分の部屋にいるのか理由を聞いたのだった。
「お疲れの所悪いと思ったのですが、間違ってわたくしのポストに直哉様宛の手紙が入っておりましたので、お届けに参った次第にごさいますわ」
「沙織さん、わざわざありがとう。それにしても苗字が違うのに間違えるなんて・・・・・・配達した人はドジなんだねぇ」
「いえ、確率は・・・・・・二分の一ですから、運悪くわたくしの所に投函されたものと思われますわね」
「・・・・・・えっと、予想はつくんだけど一応聞くよ。何で二分の一なんでしょうか?」
「ふふふ、わたくしのポストは苗字を『神崎』にしておりますの。だから二分の一なのですよ」
予想通りの答えに思わず頭を抱え、もはやツッコミをする気力もなかった。
悪びれた様子もない沙織は、手に持っている直哉宛の手紙を渡すと、直哉はその手紙をじっと眺めていた。
それは、ピンク色のメッセージレターで、表には『直哉君へ』と綺麗な文字で宛名だけが書かれ、裏面には『約束の少女より』と謎の差出人が書いてあったのだ。
目を瞑り旅行の日々を振り返っていると、意識が夢の中へと旅立ったのだった。
「直哉君、ねぇ、直哉君ってばぁ。ちゃんと聞いてるの?もう、せっかく一緒なのに上の空なんだからぁ」
「ご、ごめん・・・・・・。それで今日は何して遊ぶの?」
「この前の続きよ。せっかく結婚したんだから、次は新婚生活に決まっているじゃないの」
小さな庭に青いビニールシートを敷くと、おままごと用のテーブルや食器を用意していく。幼い少女がビニールシートに座ると、直哉に玄関から帰ってくるよう指示をしたのだ。
「今帰ったよ~。今日の夕飯は何かな~」
「おかえりなさい、ダーリン」
「ねぇ、ダーリンって何~?」
「この前テレビでやってたのよ。結婚したら男の人をダーリン、女の人をハニーって呼び合うんだって」
恐らく最近見たテレビの影響を受けて、そう呼んだのだろう。言葉の意味がよく分かっていない直哉はその少女に従ったのだった。
「それじゃ、もう一度やり直しね。直哉君、玄関からだよっ」
「ただいまハニー、今日の夕食は何かな~」
「おかえりなさいダーリン。今日はねぇ、ハンバーグだからね」
幼い頃大好きだったハンバーグ、おままごととはいえその事を覚えていて貰った事が嬉しかったのだ。
部屋に上がりテーブルに着こうとすると、直哉の視界が徐々に黒くなっていった。
「直哉君・・・・・・?ねぇ、大丈夫・・・・・・?直哉君ってばぁ───────」
「直哉様、お目覚めになられましたか?」
自分を呼ぶ声に目を覚ますと、視界に沙織が映っている。右手で髪の毛を抑えながら上から覗き込んでいた。
寝ぼけながら直哉が起き上がろうと、足を動かすと何かにぶつかった感触と共に沙織が恥じらいの声を上げたのだ。
そう、沙織は直哉の眠っているベッドで、直哉に覆い被さる様な体制をとっていた。少し顔を上げると、目の前には沙織の胸が視界を塞ぎ、直哉の足を跨いで膝をつき、柔らかそうな唇が今にも触れそうな距離にあった。
「えっ、さ、沙織さん!?どうして部屋に・・・ってどういう体制でいるんですかっ」
「だって・・・・・・直哉様の寝顔がよく見えるのがこの体制でしたのよ。何度起こしても全く反応がないものですから、白雪姫を思い出し口づけをしようとしてたところなのですわ」
慌てた直哉は、沙織にベッドから降りてもらい自分も起き上がったのだ。
そして、少し残念そうな顔をしていた沙織に何故自分の部屋にいるのか理由を聞いたのだった。
「お疲れの所悪いと思ったのですが、間違ってわたくしのポストに直哉様宛の手紙が入っておりましたので、お届けに参った次第にごさいますわ」
「沙織さん、わざわざありがとう。それにしても苗字が違うのに間違えるなんて・・・・・・配達した人はドジなんだねぇ」
「いえ、確率は・・・・・・二分の一ですから、運悪くわたくしの所に投函されたものと思われますわね」
「・・・・・・えっと、予想はつくんだけど一応聞くよ。何で二分の一なんでしょうか?」
「ふふふ、わたくしのポストは苗字を『神崎』にしておりますの。だから二分の一なのですよ」
予想通りの答えに思わず頭を抱え、もはやツッコミをする気力もなかった。
悪びれた様子もない沙織は、手に持っている直哉宛の手紙を渡すと、直哉はその手紙をじっと眺めていた。
それは、ピンク色のメッセージレターで、表には『直哉君へ』と綺麗な文字で宛名だけが書かれ、裏面には『約束の少女より』と謎の差出人が書いてあったのだ。
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