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「ガチンコバトルビデオ」
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「ガチンコバトルビデオ」
大阪方面行の京阪電車の特急車両の中で稀世は気が気でなかった。三朗の不在を直から聞いた後で確認した三朗のスマホの位置情報は、プレジャーのオフィスで大和田と会った淀屋橋のビルの座標と完全に一致していたからであった。
数度の電話は留守番電話に切り替わったが、7度目にかけた電話でようやく繋がった。
「サブちゃん、大丈夫?なんで淀屋橋に居るの?もしかして拉致られたんか?」
稀世がスマホに向けて叫ぶと、メディアクリエイトの社屋がドローン攻撃を受けた際に非通知でかかってきた博多弁の男が出た。
「ほー、さすがはスーパースクーパーの安さんっちゃね。淀屋橋にあんたのステディーが居るとこまで掴んでるっちゃね。褒めてあげるけん、あんたひとりでここに来るたい!あんたひとりで来るならステディーの命は保証したるばい。そうでなければ、あんたがここに来る前に大阪湾でステディーの大好きなお魚の餌になってもらうっちゃね。
こっちもあんたの動きは把握してるばってん、互いに嘘つくのは無しにするのがルールばい。あんた、相当強いって聞いとるけん、互いのプライドをかけていっちょ正々堂々と勝負するっちゃね。じゃあ、また京橋あたりで電話するばい。」
と一方的に切られ、その後は連絡が再び着かなくなった。
特急電車の中で、太田から着信があったが一度目は無視をした。続いてラインメッセージで「稀世ちゃん、単独で行動するのは危険や。今、どこに向かってるんや?坂井と合流するまで待て!」の連絡が来た瞬間、三朗のスマホからの着信ショートメールで「警察に言うのはやめてくだちゃい。まだ死にたくないでちゅ(笑)。」とふざけたメッセージが来たことで、自分のスマホが盗み見られてる事を知ったので太田には返信しなかった。
後に連絡があった直の連絡も同様に無視せざるを得なかった。自分の行き先は、社用のスマホのGPSを太田がフォローしている事に期待するしかなかった。
約1時間後、4月頭に訪れた大和田が居た事務所の前に到着した。京橋駅付近で指示された人気のない従業員用のビルの勝手口のインターホンを押すと、男の声で「ほんまに一人で来たっちゃね。あんた、女だてらに良くやるばい。従業員用エレベータで通用口にまわって。大事なステディーは大事にとっとーと。」と言われ、オートロックが開いた。
(サブちゃん、きっと私が助けてあげるからね…。だからもう少しの間待ってて…。)胸に手を当て稀世はエレベーターの中で三朗の無事を祈っている間に、プレジャーの事務所のあるフロアに到着した。エレベーターのドアが開くと「いかにも」といった風貌の半グレの2人組が稀世を迎えた。
勝手口からオフィスのバックヤードに入るとそこはスタジオのような部屋だった。ビデオ撮影用の照明にアームマイクもあり、3台のカメラを含め6人の撮影スタッフが準備を済ませて待っていた。
そして、部屋の隅に足錠が掛けられ、パイプ椅子に後ろ手に縛られたいつもの仕事着の作務衣に前掛けエプロンの三朗の姿が見えた。「稀世さん!逃げ」と声を出した瞬間、背後の男に口をふさがれた。よく見ると、その男は大和田だった。
稀世は湧き上がる怒りを抑え男たちに言った。
「おいコラ、私のサブちゃんに変な事してへんやろな!もし何かしてやがったら全員、この場で皆殺しにしたるから覚悟せえよ!」
凄む稀世を前に、大和田は歓喜の声を上げた。
「はい、「松本香」さん、もとい、UCWW暫定チャンプの「安稀世」さん、今日は、前回お断りされた「ビデオ撮影」にご参加いただき誠にありがとうございまーす!
まあ、「H未経験」って言う事だったんで趣向を凝らしてみましたよー!格闘家の安さんに併せて拳と拳、いや身体と身体で契約書を結んでいただきましょう。」
興奮した大和田は、三朗には拉致、監禁と拘束以上の事は何もしていないことを説明し、それに対し、「僕は大丈夫です。ただ、こいつら」と稀世に何かを伝えようとした瞬間に再び発言を遮られた。
大和田から、今から、稀世に「UCWW暫定チャンピオン」として、5人抜きの勝負をしてもらうというのだった。
「安さん「5人抜き」っていうのは男性の「アレ」を抜いてもらう訳じゃないんで安心してくださいね!純粋に格闘技として「プロレス」と「拳法」、「クンフー」のどちらが強いのかを見たいだけなんですよ。
WWEでも負け無しでマニアの間ではケガさえなければ「世界最強女子レスラー」の「安稀世」が男相手に何処までやれるかって興味からです。ある意味、メディアではできない「ガチンコバトル」ですね。プロレス風に「セメントマッチ」って言う方が安さんには分かりやすいですかね。
こちらが用意した5人の男を倒せばビデオの権利と引き換えに安さんとステディーの身柄の解放は約束します、こう見えてプレジャーは「ホワイト事業」ですから。現役時代、安選手は「格闘技中プロレス最強論」をうたってられたので、こちらが準備した「中国拳法」の達人と戦ってもらいます。
条件はフィフティーにしないと視聴者からクレームが来てしまいますので、何か希望があれば「凶器」も用意しますよ。かつての「ブッチャー」の「フォーク」、「タイガージェットシン」の「サーベル」、「上田馬之助」の「竹刀」、そして安さんが名乗っていた「松本香」もとい日本女子プロレスのレジェンド「ダンプ松本」さんの「一斗缶」まで一通りは準備させていただいてますけど何か必要ですか?」
と尋ねる大和田に、
「ここはリングでなく、コンクリートの打ちっぱなしにタイルマットだけの床や。私が繰り出した締め技、蹴り技、打撃技はもちろんの事、「投げ技」に対する受け身のできへん選手の身の安全は保証できへんで「ええ」っていう選手だけ相手にさせてくれ。セメントルールで傷害罪で私とサブちゃんが捕まったら洒落になれへんからな。
あと、武器についてはその拳法や種目で認められてるもんやったら使ってもらって構わへんで。」
と返すと、あっさりと了承の返事が返って来た。
「いいでしょう。そちらの条件は全て飲みましょう。では、私からの条件は、「無敵のプロレス」が負けた場合、安さんの言葉に「嘘」があったという事でペナルティーで「ステディーの前でのAV撮影に入らせてもらいます。まあ、嫌がったり、抵抗は本気でしてもらえると嬉しいですね!まさに、生の中の生!リアルの中のリアルですから!僕が安さんに「100万円なんか楽勝」と言った事が嘘でない事を証明して差し上げましょう!
では時間制限なしの5本勝ち抜きマッチ「最強女子レスラー安稀世」VS「中国拳法の達人5人組」の撮影開始しまーす!」
と大和田は大声を上げると「シーン1-1」と書かれた「カチンコ」をメインカメラの前で鳴らした。
大阪方面行の京阪電車の特急車両の中で稀世は気が気でなかった。三朗の不在を直から聞いた後で確認した三朗のスマホの位置情報は、プレジャーのオフィスで大和田と会った淀屋橋のビルの座標と完全に一致していたからであった。
数度の電話は留守番電話に切り替わったが、7度目にかけた電話でようやく繋がった。
「サブちゃん、大丈夫?なんで淀屋橋に居るの?もしかして拉致られたんか?」
稀世がスマホに向けて叫ぶと、メディアクリエイトの社屋がドローン攻撃を受けた際に非通知でかかってきた博多弁の男が出た。
「ほー、さすがはスーパースクーパーの安さんっちゃね。淀屋橋にあんたのステディーが居るとこまで掴んでるっちゃね。褒めてあげるけん、あんたひとりでここに来るたい!あんたひとりで来るならステディーの命は保証したるばい。そうでなければ、あんたがここに来る前に大阪湾でステディーの大好きなお魚の餌になってもらうっちゃね。
こっちもあんたの動きは把握してるばってん、互いに嘘つくのは無しにするのがルールばい。あんた、相当強いって聞いとるけん、互いのプライドをかけていっちょ正々堂々と勝負するっちゃね。じゃあ、また京橋あたりで電話するばい。」
と一方的に切られ、その後は連絡が再び着かなくなった。
特急電車の中で、太田から着信があったが一度目は無視をした。続いてラインメッセージで「稀世ちゃん、単独で行動するのは危険や。今、どこに向かってるんや?坂井と合流するまで待て!」の連絡が来た瞬間、三朗のスマホからの着信ショートメールで「警察に言うのはやめてくだちゃい。まだ死にたくないでちゅ(笑)。」とふざけたメッセージが来たことで、自分のスマホが盗み見られてる事を知ったので太田には返信しなかった。
後に連絡があった直の連絡も同様に無視せざるを得なかった。自分の行き先は、社用のスマホのGPSを太田がフォローしている事に期待するしかなかった。
約1時間後、4月頭に訪れた大和田が居た事務所の前に到着した。京橋駅付近で指示された人気のない従業員用のビルの勝手口のインターホンを押すと、男の声で「ほんまに一人で来たっちゃね。あんた、女だてらに良くやるばい。従業員用エレベータで通用口にまわって。大事なステディーは大事にとっとーと。」と言われ、オートロックが開いた。
(サブちゃん、きっと私が助けてあげるからね…。だからもう少しの間待ってて…。)胸に手を当て稀世はエレベーターの中で三朗の無事を祈っている間に、プレジャーの事務所のあるフロアに到着した。エレベーターのドアが開くと「いかにも」といった風貌の半グレの2人組が稀世を迎えた。
勝手口からオフィスのバックヤードに入るとそこはスタジオのような部屋だった。ビデオ撮影用の照明にアームマイクもあり、3台のカメラを含め6人の撮影スタッフが準備を済ませて待っていた。
そして、部屋の隅に足錠が掛けられ、パイプ椅子に後ろ手に縛られたいつもの仕事着の作務衣に前掛けエプロンの三朗の姿が見えた。「稀世さん!逃げ」と声を出した瞬間、背後の男に口をふさがれた。よく見ると、その男は大和田だった。
稀世は湧き上がる怒りを抑え男たちに言った。
「おいコラ、私のサブちゃんに変な事してへんやろな!もし何かしてやがったら全員、この場で皆殺しにしたるから覚悟せえよ!」
凄む稀世を前に、大和田は歓喜の声を上げた。
「はい、「松本香」さん、もとい、UCWW暫定チャンプの「安稀世」さん、今日は、前回お断りされた「ビデオ撮影」にご参加いただき誠にありがとうございまーす!
まあ、「H未経験」って言う事だったんで趣向を凝らしてみましたよー!格闘家の安さんに併せて拳と拳、いや身体と身体で契約書を結んでいただきましょう。」
興奮した大和田は、三朗には拉致、監禁と拘束以上の事は何もしていないことを説明し、それに対し、「僕は大丈夫です。ただ、こいつら」と稀世に何かを伝えようとした瞬間に再び発言を遮られた。
大和田から、今から、稀世に「UCWW暫定チャンピオン」として、5人抜きの勝負をしてもらうというのだった。
「安さん「5人抜き」っていうのは男性の「アレ」を抜いてもらう訳じゃないんで安心してくださいね!純粋に格闘技として「プロレス」と「拳法」、「クンフー」のどちらが強いのかを見たいだけなんですよ。
WWEでも負け無しでマニアの間ではケガさえなければ「世界最強女子レスラー」の「安稀世」が男相手に何処までやれるかって興味からです。ある意味、メディアではできない「ガチンコバトル」ですね。プロレス風に「セメントマッチ」って言う方が安さんには分かりやすいですかね。
こちらが用意した5人の男を倒せばビデオの権利と引き換えに安さんとステディーの身柄の解放は約束します、こう見えてプレジャーは「ホワイト事業」ですから。現役時代、安選手は「格闘技中プロレス最強論」をうたってられたので、こちらが準備した「中国拳法」の達人と戦ってもらいます。
条件はフィフティーにしないと視聴者からクレームが来てしまいますので、何か希望があれば「凶器」も用意しますよ。かつての「ブッチャー」の「フォーク」、「タイガージェットシン」の「サーベル」、「上田馬之助」の「竹刀」、そして安さんが名乗っていた「松本香」もとい日本女子プロレスのレジェンド「ダンプ松本」さんの「一斗缶」まで一通りは準備させていただいてますけど何か必要ですか?」
と尋ねる大和田に、
「ここはリングでなく、コンクリートの打ちっぱなしにタイルマットだけの床や。私が繰り出した締め技、蹴り技、打撃技はもちろんの事、「投げ技」に対する受け身のできへん選手の身の安全は保証できへんで「ええ」っていう選手だけ相手にさせてくれ。セメントルールで傷害罪で私とサブちゃんが捕まったら洒落になれへんからな。
あと、武器についてはその拳法や種目で認められてるもんやったら使ってもらって構わへんで。」
と返すと、あっさりと了承の返事が返って来た。
「いいでしょう。そちらの条件は全て飲みましょう。では、私からの条件は、「無敵のプロレス」が負けた場合、安さんの言葉に「嘘」があったという事でペナルティーで「ステディーの前でのAV撮影に入らせてもらいます。まあ、嫌がったり、抵抗は本気でしてもらえると嬉しいですね!まさに、生の中の生!リアルの中のリアルですから!僕が安さんに「100万円なんか楽勝」と言った事が嘘でない事を証明して差し上げましょう!
では時間制限なしの5本勝ち抜きマッチ「最強女子レスラー安稀世」VS「中国拳法の達人5人組」の撮影開始しまーす!」
と大和田は大声を上げると「シーン1-1」と書かれた「カチンコ」をメインカメラの前で鳴らした。
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