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「勝ち抜き戦」
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「勝ち抜き戦」
最初の2人は素手で戦う中国拳法だった。体格的に70キロ台の男は日本では「少林寺拳法」と混同されがちな「正統少林拳」と「カマキリ拳法」と日本では呼ばれる「北派蟷螂拳」の使い手だった。共に、直線的な動きの打撃と蹴り技の組み合わせの拳法であり、締め技や寝技は出されることは無かった為、グランドでの寝技に持ち込み関節技であっけなくギブアップを取り、2試合併せて20分かからずに終わった。
次の対戦者は「形意拳」、「八卦掌」と並ぶ中国拳法の「太極拳」使いだった。日本で流行っている健康体操的なものではなく、殺人拳としての「太極拳」だった。先の2人と違い、攻撃に右手の竹製の「牛尾刀」、防御に左手の「鉄扇」を使い稀世は上半身への攻撃と防御で苦戦を強いられた。
稀世の繰り出す、ハイ、ミドルキックやチョップにラリアットは重く硬い鉄扇で防がれ、竹製とはいえ大型の「牛尾刀」の打撃は直接防御した腕の骨にまで痛みは届き、パーリングでいなすしかなかった。
苦戦はしたものの20分の格闘戦を制したのは、重い鉄扇を持つ左ひじに電光石火の回し蹴りを入れ防御の盾を奪うと、部屋のコーナーに押し込み、稀世が得意とする初代タイガーマスク張りのトリッキーなアクションからの顎先へのサマーソルトキックで相手の脳を揺らし、背後にまわっての急角度で落とすコンクリート床へのバックドロップで意識を刈り取った。
自軍の3連敗にもかかわらず、大和田はご機嫌で「安さん、あと2戦で勝ち抜けですよ!一等席で本気のガチファイトを見せてくれてありがとう!」と本気で言っているように見えた。
4人目のチャレンジャーは、日本の漫画では最強中国拳法家として描かれることの多い「神槍 李書文」が起こしたという「李家八極拳」の使い手だった。男は伝説の拳法家「李書文」と同じく、身長166センチほど、体重は60キロほどの稀世と大きくは変わらない小男だった為、油断もあったし4戦目に入った疲れもあった。
男の持ち込んだ2メートルの長さを持つ鉄製の八角棒による突きと振り回し打撃によるロングレンジの攻撃と、その槍の隙を突き間合いに飛び込んだ際に「発頚」と共に繰り出される重い「突き」と「肘打ち」に稀世は決定打を繰り出すことができなかった。
一度喰らったみぞおちへの肘打ちは重く、その場で苦し紛れに出した裾払いともいえるローキックで相手が変な角度で転倒し、長棒を床に落として無ければ勝負はどうなっていたかわからないものだった。更に倒れた相手に全体重をかけたエルボードロップがよろけ、偶然に避けた相手の喉元に突き刺さり、悶える男に腕ひしぎ十字固めをかけギブアップをとることができた。まさに薄氷を踏む思いで奪い取った勝利だった。
そこまででファイトタイムは70分以上であり、日本の女子プロレスで公式に行われるタイトルマッチの45分を大きく超え「体力の塊」と現役時代は揶揄された稀世の体力は底をつきかけていた。
「まあ、1対5ですからフェミニストの私としてはちょっと安さんに忖度しましょうねー。何と言っても次は我がグループ「用心棒」最強の香港カンフー界の90年代チャンピオンですからねー!まあ、一方的にボコられて、その後ステディーの前で絶望の中、犯されまくる安さんを見るのは元ファンとしては心苦しいので15分程、休憩入れますかねー!」
と本意はどこにあるかわからないがその15分が結果的に稀世と三朗の命を救う事になるとはその時は思いもしなかった。
最後の相手は見るからに50代半ばから後半の男でそう強そうには見えなかったが、休憩時間は現役を退いて以来、昨年のUCWWでひと月ほどの練習しかしていない稀世にはありがたかった。
15分の休憩時に大和田からミネラルウォーターが差し入れられたが、(何が混ぜられてるかわかったもんやあれへんわな)と稀世はそれを口にすることは無かった。大和田が提示した既定の休憩時間を終わり、のどの渇きを覚えたままの稀世は頬や腕に浮き出た汗の結晶を口にして若干のミネラル分を体内に再吸収し、ゴングを待った。
博多弁を話す、初老の男は疲れの溜まった稀世にとって最難関の敵だった。太田と直から「稀世ちゃんも将来に役に立つから全盛期の香港カンフー映画は見ておけよ。」と言われつつも忙しさにかまけて見ることのなかった1970年代から1980年代の香港カンフー映画を題材とした七色の「クンフー」に稀世は翻弄されまくった。
50代とは思えない体の切れを示す男が最初に演じたのは香港発の最初のハリウッドスター「ブルース・リー」のヌンチャクを用いた「ジークンドー」だった。
「クンフー映画」での「アチョーッ!」の掛け声の先駆者となった欧米では現在の軍用柔術のマーシャルアーツの原点ともいえる「截拳道 」の創始者と言われる「ブルース・リー」の衣装を模した黄色いボディースーツでヌンチャクを振り回す男の間合いになかなか入ることができず、稀世の両腕は防御の都度、赤紫の痣を増やしていった。男の振るうヌンチャクが稀世のこめかみ部にヒットし、軽い脳震盪を起こし倒れた稀世にとどめを刺さず、男はカメラの死角の部屋の隅で白いカンフー着に着替えると、ふざけた長髪のかつらを被って稀世の前に立ちはだかった、
下半身まで神経の命令系統が復活していない稀世に「今度は「ジャッキー・チェン」の名作を見せてあげるっちゃ。」と声をかけ、床に尻を突いたままの稀世に右手を差し出した。
稀世を紳士的に立ち上げると、いきなり男は「まずは「笑拳」っちゃ!」と言うと、意味もなく大笑いし始めた。稀世の攻撃が外れるたびに、顔を指さし馬鹿笑いする男に冷静さを失い、雑になる稀世の攻撃をかわしては一撃を入れダウンした稀世に
「はい、「笑拳」はここまで!次は「蛇拳」ばい!ジャッキーファンは多いんで有名三部作は網羅しないと値段がつかないんでつきあってもらうっちゃ!」
と言うと、正面で距離を取り、手首を蛇の頭が敵を狙うように構え左右に振り始めた。
(たかが「蛇」がプロレスに勝てるかい!)と馬鹿にされた気になった稀世の攻撃はさらに直線的になった。
男は稀世の攻撃を容易く避けつつ、稀世の服の上から「乳首」や「股間」を小さくつく行為を繰り返した。大喜びする大和田にさらに熱くなった稀世はいい様に弄ばれ、床に転ばされては、エロティックに肢体をカメラの前にさらした。
最初の2人は素手で戦う中国拳法だった。体格的に70キロ台の男は日本では「少林寺拳法」と混同されがちな「正統少林拳」と「カマキリ拳法」と日本では呼ばれる「北派蟷螂拳」の使い手だった。共に、直線的な動きの打撃と蹴り技の組み合わせの拳法であり、締め技や寝技は出されることは無かった為、グランドでの寝技に持ち込み関節技であっけなくギブアップを取り、2試合併せて20分かからずに終わった。
次の対戦者は「形意拳」、「八卦掌」と並ぶ中国拳法の「太極拳」使いだった。日本で流行っている健康体操的なものではなく、殺人拳としての「太極拳」だった。先の2人と違い、攻撃に右手の竹製の「牛尾刀」、防御に左手の「鉄扇」を使い稀世は上半身への攻撃と防御で苦戦を強いられた。
稀世の繰り出す、ハイ、ミドルキックやチョップにラリアットは重く硬い鉄扇で防がれ、竹製とはいえ大型の「牛尾刀」の打撃は直接防御した腕の骨にまで痛みは届き、パーリングでいなすしかなかった。
苦戦はしたものの20分の格闘戦を制したのは、重い鉄扇を持つ左ひじに電光石火の回し蹴りを入れ防御の盾を奪うと、部屋のコーナーに押し込み、稀世が得意とする初代タイガーマスク張りのトリッキーなアクションからの顎先へのサマーソルトキックで相手の脳を揺らし、背後にまわっての急角度で落とすコンクリート床へのバックドロップで意識を刈り取った。
自軍の3連敗にもかかわらず、大和田はご機嫌で「安さん、あと2戦で勝ち抜けですよ!一等席で本気のガチファイトを見せてくれてありがとう!」と本気で言っているように見えた。
4人目のチャレンジャーは、日本の漫画では最強中国拳法家として描かれることの多い「神槍 李書文」が起こしたという「李家八極拳」の使い手だった。男は伝説の拳法家「李書文」と同じく、身長166センチほど、体重は60キロほどの稀世と大きくは変わらない小男だった為、油断もあったし4戦目に入った疲れもあった。
男の持ち込んだ2メートルの長さを持つ鉄製の八角棒による突きと振り回し打撃によるロングレンジの攻撃と、その槍の隙を突き間合いに飛び込んだ際に「発頚」と共に繰り出される重い「突き」と「肘打ち」に稀世は決定打を繰り出すことができなかった。
一度喰らったみぞおちへの肘打ちは重く、その場で苦し紛れに出した裾払いともいえるローキックで相手が変な角度で転倒し、長棒を床に落として無ければ勝負はどうなっていたかわからないものだった。更に倒れた相手に全体重をかけたエルボードロップがよろけ、偶然に避けた相手の喉元に突き刺さり、悶える男に腕ひしぎ十字固めをかけギブアップをとることができた。まさに薄氷を踏む思いで奪い取った勝利だった。
そこまででファイトタイムは70分以上であり、日本の女子プロレスで公式に行われるタイトルマッチの45分を大きく超え「体力の塊」と現役時代は揶揄された稀世の体力は底をつきかけていた。
「まあ、1対5ですからフェミニストの私としてはちょっと安さんに忖度しましょうねー。何と言っても次は我がグループ「用心棒」最強の香港カンフー界の90年代チャンピオンですからねー!まあ、一方的にボコられて、その後ステディーの前で絶望の中、犯されまくる安さんを見るのは元ファンとしては心苦しいので15分程、休憩入れますかねー!」
と本意はどこにあるかわからないがその15分が結果的に稀世と三朗の命を救う事になるとはその時は思いもしなかった。
最後の相手は見るからに50代半ばから後半の男でそう強そうには見えなかったが、休憩時間は現役を退いて以来、昨年のUCWWでひと月ほどの練習しかしていない稀世にはありがたかった。
15分の休憩時に大和田からミネラルウォーターが差し入れられたが、(何が混ぜられてるかわかったもんやあれへんわな)と稀世はそれを口にすることは無かった。大和田が提示した既定の休憩時間を終わり、のどの渇きを覚えたままの稀世は頬や腕に浮き出た汗の結晶を口にして若干のミネラル分を体内に再吸収し、ゴングを待った。
博多弁を話す、初老の男は疲れの溜まった稀世にとって最難関の敵だった。太田と直から「稀世ちゃんも将来に役に立つから全盛期の香港カンフー映画は見ておけよ。」と言われつつも忙しさにかまけて見ることのなかった1970年代から1980年代の香港カンフー映画を題材とした七色の「クンフー」に稀世は翻弄されまくった。
50代とは思えない体の切れを示す男が最初に演じたのは香港発の最初のハリウッドスター「ブルース・リー」のヌンチャクを用いた「ジークンドー」だった。
「クンフー映画」での「アチョーッ!」の掛け声の先駆者となった欧米では現在の軍用柔術のマーシャルアーツの原点ともいえる「截拳道 」の創始者と言われる「ブルース・リー」の衣装を模した黄色いボディースーツでヌンチャクを振り回す男の間合いになかなか入ることができず、稀世の両腕は防御の都度、赤紫の痣を増やしていった。男の振るうヌンチャクが稀世のこめかみ部にヒットし、軽い脳震盪を起こし倒れた稀世にとどめを刺さず、男はカメラの死角の部屋の隅で白いカンフー着に着替えると、ふざけた長髪のかつらを被って稀世の前に立ちはだかった、
下半身まで神経の命令系統が復活していない稀世に「今度は「ジャッキー・チェン」の名作を見せてあげるっちゃ。」と声をかけ、床に尻を突いたままの稀世に右手を差し出した。
稀世を紳士的に立ち上げると、いきなり男は「まずは「笑拳」っちゃ!」と言うと、意味もなく大笑いし始めた。稀世の攻撃が外れるたびに、顔を指さし馬鹿笑いする男に冷静さを失い、雑になる稀世の攻撃をかわしては一撃を入れダウンした稀世に
「はい、「笑拳」はここまで!次は「蛇拳」ばい!ジャッキーファンは多いんで有名三部作は網羅しないと値段がつかないんでつきあってもらうっちゃ!」
と言うと、正面で距離を取り、手首を蛇の頭が敵を狙うように構え左右に振り始めた。
(たかが「蛇」がプロレスに勝てるかい!)と馬鹿にされた気になった稀世の攻撃はさらに直線的になった。
男は稀世の攻撃を容易く避けつつ、稀世の服の上から「乳首」や「股間」を小さくつく行為を繰り返した。大喜びする大和田にさらに熱くなった稀世はいい様に弄ばれ、床に転ばされては、エロティックに肢体をカメラの前にさらした。
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