あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

M‐赤井翼

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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』

1-3「ニコニコ商店街」

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「ニコニコ商店街」
 大阪府の北河内部、大阪市に隣接する門真市は、大阪市のベッドタウンを形成する衛星都市であると同時に都市雇用圏の一部に含まれる人口十二万弱の中堅都市である。門真市を代表するゆるキャラのレンコンの妖精「蓮ちゃん」があるように、もともと水郷農村でレンコンとクワイが有名な街であると同時に、門真市役所推薦のゆるキャラ「元祖招きネコ」の「ガラスケ」が誘致したわけではないが、かつて日本を代表する家電メーカーの工場があり賑わった街だった。
 しかし、大阪中央環状線と国道163号線、大阪モノレールの始発駅と京阪電車の門真市駅のある中央部は、先述の大手家電メーカーの工場移転で2023年の大型商業施設開業まで若干、人の流れが減った雰囲気がある。
 京阪電車の門真市駅の東側に位置する、「向日葵寿司(ひまわりずし)」三代目の長井三朗は、所属する商店街の青年部の部長を任されている三十歳の青年だ。正式名称は「門真市駅東商店街」というのだが、地元の人には、通称の「ニコニコ商店街」の方が通っている。
 そのニコニコ商店街はもともと五十店舗あったのだが、現在は二十六店舗しか残っていない。活性化している、京阪電車の隣の駅にある「門真本町商店街」に大きく差をつけられ、大阪三大商店街の千林商店街とは、「神様」と「のら犬」くらいの差がついてしまっている。
 
 今日も、2023年にオープンする予定の工場跡地にできる大型商業施設に対抗すべき方策を打ち合わせる為の会合を持ったのだが、何か施策や意見が出るわけでなく、腐れ縁の青年部の同級生の、「お好み焼きがんちゃん」店主の岩本徹三と米卸の「西沢米穀」五代目の西沢広義といっしょに、岩本の店でビールを飲んでいるだけだった。
「サブちゃん、がんちゃん、ほんまにショッピングセンターできたら、門真市駅の周り、どないなってしまうんやろなぁ。うちらの商店街もこの三十年で半分になってしもてるし、2023年でとどめかもしれんなぁ。」
「せやなぁ、隣の本町は旨い事、世代交代もできて、それなりに賑やかにやっとるみたいやけど、うちは、あと目を継いでるもんが、俺ら三人のほか、会合にも出てけえへん七人だけで、後は、跡取り問題、「大アリクイ」の店ばっかしやもんなぁ。おい、サブちゃん、聞いてんのか?一昨年、親父さん亡くなってせっかく継いだ三代目も今のままやったら、危ないやろ。そんなんじゃ嫁も来てくれへんでなぁ。」
と話を上の空で聞いている三朗に徹三が話を振った。何の返事もしない三朗に代わって広義が答えた。 
「がんちゃん、サブちゃんに、そんなん言うても響けへんで。サブちゃん、女子プロレスのことで頭いっぱいやからな。」
「「キャンディー稀世」やったっけ。サブちゃん、ハマってんの。今日も店休んで、差し入れ持って、追っかけか?プロレスある都度、店休んどったら、ほんまに店潰れてまうど。俺らが言うことやないけど、ええ加減にしとけよ。広君からも言ったてくれや。」
と徹三が広義に助けを求めた。すると三郎は、二人の心配を気にする様子もなく、さらっと言い返した。

 「広君もがんちゃんもありがとうな、気いかけてくれて。ふたりと違って、僕、独身やから、気楽なもんやねん。幸い、借金は無いから、店畳んで、サラリーマンすし職人でクルクルかファミレスで握る方が楽かもしれんしな。(時計を見て)あっ、もうそろそろ、差し入れの寿司握って、市立総合体育館行かな!今日は、稀世さん、セミセミの試合やから、六時から七時には試合出るしな。じゃあ、菅野商店街会長殿に出す議事録任すわな。ほっとくとまた投げ飛ばされてまうからな。じゃあ、お先に!」
 スキップしながら、三朗は「お好み焼きがんちゃん」を出ていった。西沢と岩本はため息をついて見送った。岩本の嫁のさとみが顔を出し、空いたビール瓶を片付けながら、ぽそっと言った。
「サブちゃん、三十歳にして、恋する十五歳の男の子の顔してるわ。ありゃ、よほどのことがないと、落ち着けへんな…。」


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