あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

M‐赤井翼

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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』

1-31「商店街の人たち」

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「商店街の人たち」
 昼のランチタイムは、いつもと違い、ほぼ満席の状態が続いた。昨日、忙しくて来られなかった、夜のお店の人や、留守をしていて、直さんから、三朗と稀世の結納披露について聞いていなかった人が、次々とやってきては、三朗と稀世に、「おめでとう」の祝福と、「がんばりや」と激励をしていってくれた。中には、「三朗の結婚は無いもの」と決めつけていた分、感動が大きく、店でうれし泣きしてくれる人もいた。(サブちゃん、みんなに愛されてんねんなぁ。)と稀世は感心した。
 商店街の人たちは、ほぼ全員が、金額の大小はあるものの、祝儀を持ってくるか、その日のお釣りを受け取らずに帰っていった。昼から、こんなにビールが出たのは、親父の時にも無かったと思った。稀世が初めてながらもしっかりと配膳、下膳をしてくれたのでことはスムーズに進んだ。一時半に、最後の客が帰り、洗い物とカウンターとテーブルの清掃が終わると鳩時計が鳴った。
 稀世は、普段着に着替え、三朗は上をTシャツに着替え、仏壇からろうそくと線香とライターを袋に入れて、出かける準備を済ませた。
「じゃあ、稀世さん、出かけましょうか。まずは檜さんとこ行きますんで。檜さんは、商店街の生花店です。例の、花言葉教えてくれた店です。昨日は、ご主人の與平さんと奥さん来られなかったんで。墓参りの花買うのといっしょに、稀世さんの紹介とお礼を言いたいと思って。」
「うん、是非とも。私もお礼言いたいから、連れてって。」

 向日葵寿司を出て、檜生花店に行く途中で、「お好み焼きがんちゃん」に顔を出し、徹三と奥さんのさとみに昨日の手伝いのお礼を告げた。さとみが徹三の制止を振り切って「うちも広君とこも「かかあ天下」やから、稀世ちゃんもサブちゃん尻に引いてええねんで。」とアドバイスしてくれた。最後に「いつでもふたりでお好み食べに来てね。」、「稀世ちゃんとかずみさんと三人で女子会しよね。」とさとみが優しく声をかけてくれた。
 続いて、西沢米穀に顔を出した。広義とかずみが優しく迎えてくれた。ここも、かずみ主導で喋りまくり、「サブちゃん、めちゃくちゃ奥手やったから、女の子の扱いなれてへんから、気に食えへんことあったら私んとこに言いにおいでな。私からガツンと言うたるからな。まずは、お友達になろな。」、「3バカトリオ集まると、グダグダになるまで飲みよるから、店にうちのバカとがんちゃん来たときは注意しいや。」と警告していたようだ。
 本来の目的地の檜生花店にやってきた。主人の與平は配達で出ていたので、奥さんが優しく、稀世と三朗を迎えに来てくれた。
「稀世ちゃん、初めまして。この子が、サブちゃんぞっこんの「向日葵の君」なのね。ほんと、サブちゃんが言うように、「向日葵」のイメージの感じのええ子やなぁ。おばちゃんも好きになってしもたわ。」
と稀世を強く抱擁した。
「昨日ね、五時前にサブちゃんが、「おばちゃん、向日葵の子と結婚することになった。」言うて飛び込んできて、びっくりしたがな。まあ、その前に直さんからサブちゃんの結納があるって聞いたところやってんけどな。

 「結婚に際してかっこいい花言葉あるかな?有ったら教えてほしいねん。一世一代の大舞台やから、かっこつけたいねん。」ってね。そんで、私が、向日葵そのものの花言葉が、「あなただけ見つめてる」、「あなたを幸せにします」いう意味があるんよ。そんで、本数で言うと十一本で「最愛」、九十九本で「永遠の愛、ずっといっしょにいよう」いう意味になるんよ。って教えてあげたの。
 そしたら、迷わず「九十九本用意しとって。後で広君かがんちゃんに取りに来てもらうから」ってね。もう、知ってる店からかき集めたんやで、九十九本。
 そんで、感心したんは、「直さんと稀世ちゃんの先輩にも世話になったから、お礼したいから、知恵出して。」ってね。サブちゃんの優しいとこ出てるわ、っておばちゃん母性本能久しぶりにくすぐられたわ。サブちゃん小さい時からね…。うふふ」
「ちょっと、おばちゃん、ストップストップ。今から墓参り行かなあかんから、おしゃべりは、そのへんにしといて。おばちゃん、話しだしたら、二時間でも三時間でもしゃべり続けてまうから、それはまた今度にしてんか。」
「あぁ、そやね。ごめんごめん。先代とひろ子さんの分やね。今回はお墓やね。じゃあ、これね。」
と仏花を2セット用意してくれた。
「ほんで、これは、稀世ちゃんに、ガーベラとスイートピーよ。「頑張れ」と「門出」って花言葉なの。おばちゃんからのささやかなお祝いね。これからよろしく。」
と稀世にも花を包んでくれた。

 「ありがとうございます。落ち着いたら、また来ますんで、その時ゆっくり話聞かせてください。」
と稀世が頭を下げた。三朗がすかさず言った。
「檜さんとこ来るときは、二時間タイマー持って行きや。そうせんと、おばちゃんの話おもろいから、気が付いたら半日仕事になってるで。」
みんなで笑った。
「じゃあ、ありがとうございます。與平さんには、また後日、ご挨拶させてもらいます。」
とふたりで頭を下げて店を出た。
歩きながら稀世が言った。
「直さんもそうやねんど、さとみさんもかずみさんも檜さんのおばちゃんも、ここの商店街のひとらみんな「ザ・大阪のおばちゃん」って人ばっかしやな。私もじきに「大阪のおばちゃん」になるんかなぁ?」
「稀世さん、できれば堪忍してほしいです。いつまでも、かわいい稀世さんでおってください。」
「どうしようかなぁ。」
ふたりであまりに大声で笑うので、通りすがりの人たちが不思議そうに振り返っていた。

 お墓に着き、三朗は墓地に置いてあるバケツとたわしで墓をごしごしと洗った。稀世は、花入れを掃除し檜生花店で買った花と入れ替え、墓の周りの草をむしった。一通りの掃除が終わり、ろうそくに火をつけ、線香をくべた。ふたりで霊前に手を合わせた。
「親父、おかん、こんな僕も結婚することになりました。隣にいるのが稀世さんです。僕にはもったいない素敵な人です。親父とおかんみたいに笑顔が絶えない家庭を作っていこうと思ってます。応援してください。」
「お義父さん、お義母さん、昨日お仏壇の方にはご挨拶させてもらってますが初めまして、三朗さんと結婚させていただきます稀世と言います。素敵な息子さんを生んで、育てていただいてありがとうございました。三朗さんと頑張っていきますので、温かく見守っていてください。よろしくお願いします。」
ふたりで、お墓に一礼すると、稀世の携帯が鳴った。夏子からのメールだった。「あと十五分くらいで着きます。」との事だった。
「じゃあ、稀世さん、戻りましょうか。かずみさんと檜さんの奥さんに捕まった分、遅くなっちゃいましたね。賄い、食べる時間あるかな?」
「私は、大丈夫。荷物入れてる間に、サブちゃんは食べてな。」
「ごめんなさい。そうさせてもらおうかな。」
「うん、そうして。荷物入れ終わったら、みんなにお礼のお寿司出してあげてほしいの。その時に私もいただくわ。」
と言って、稀世がもじもじしてる。
「なんですか、稀世さん、またおトイレ?」
「あほ、違うわ。(もごもごもご)」
「えっ、なんですか?」
「あのね、腕組んでいい?」
「モチのロンでオッケーですよ。」
稀世は、左手にガーベラとスイートピーの花束、右腕に三朗の左腕。ご機嫌で三朗に言った。
「この間の、「頑張るぞ」って歌教えて。」




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