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第百八十話:不死の王討伐8
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眼前にいるそいつは、あの時見た不死の王で間違いなかった。
その表情は、何処か笑みを見せているようでもあり、こちらを睨みつけているようでもあった。
「まさか、切り札を使って、誰一人倒れないなんてね、驚いたよ」
一度見た事のある者以外は、これから打ち倒そうとしている強大な人物が、まさか幼い子供の姿をしてしようとは思っていなかったのか、皆一様に面食らった意外そうな顔をしていた。
「油断するなよ、外見はあれでも、中身は化け物だ。舐めてかかると死ぬぞ」
「ククク、その割にはボクを倒すのにたったこの人数なのかい?それこそ舐めていると思わないのかい?」
「お前相手なら、これくらいの人数で十分だよ」
流石は勇者様、子供のあやし方をよく心得ていらっしゃる。
でもそんな見え透いた挑発に乗るとは思えないけどな・・
「ボクの恐ろしさがまだ分かっていないようだね。お前らごとき、これを喰らって果たして何人が立っていられるのか!見てやるよ!ボクと戦うに値するのかどうかをね!」
えっと、めちゃくちゃ挑発に乗っているんだけど・・。
不死の王は、これ見よがしに威圧を発動させた。
生暖かい空気がサッと全身を通り過ぎたかと思えば、微かな重力を感じた。
この程度か。
予想していたよりも、威圧の効果が薄い。
これならば、皆の訓練で使った俺の威圧の方が数段強いだろう。
案の定、奴の威圧で膝をつくものは、満身創痍ではないゴエール以外にはいなかった。
「やはり、その程度じゃ、誰一人屈指はしないな!」
勇者のこの一言を皮切りに、不死の王との戦火が切って落とされた。
ギールさんが先陣を切り、皆がそれに続けと言わんばかりに突撃を試みる。
奴には、物理攻撃は効かない。
正確には、触れたものを即座に溶かしてしまう強力な酸のような膜が体全体を覆っている。
それに抗えるのは、聖剣のような破壊不可の特殊効果が施された武器でなくてはならない。
それ以外の者は、魔術か直接触れないように戦うしかなかった。
ギールさんと奴との距離が10mに差し掛かった時だった。
なんと、奴が6人に分裂したのだ。
しかし、躊躇する事もなく、ギールさんや熊人族の戦士たちは、均等に6等分されるように別れて対峙していた。
意表を突いたつもりなんだろうけど、実は分身が使えるのは想定済みなんだよね。
しかし、想定通りばかりではなかった。
鑑定を使用しても、分身体の本体を突き止めることが出来ない。
6体とも、どれも鑑定阻害されてしまった。
本体は、俺たちのパーティで叩くつもりだったけど、仕方がない。
「みんな!俺たちは、一番右の奴を相手にするぞ!」
掛け声とともに、待ってました!と言わんばかりにユイが超高速で突っ切る。それに、アリスが空を飛び続く。少し遅れてルーの召喚した2体の精霊が後を追う。
もう1体は、術者を守る為に術者との距離を一定に保っていた。
俺は、更にその後ろで、動向を観察しつつ、離れて攻撃を行う。
あいつには、物理攻撃は効かない。
果たして本当にそうなのだろうか?
その疑問の答えを導き出す為に、ユイに協力してもらっていた。
そして、ユイの武器が分身体の右腕を切り落としていた。
よっし!成功だ!
単純過ぎるかと思ったが、どうやら上手くいったようだ。
触れたものを溶かしてしまうと聞いた時、まず思い描いたのは、酸だ。
某映画のどこかの未知の生物の血液が酸で、人がそれに触れると溶けてしまうあの酸だ。
しかし、人の皮膚のように柔らかいものならばいざ知らず、金属のような硬い物が、しかも触れると一瞬のうちに溶けてしまうなど、化学では説明がつかない。
しかし、元々この世界は魔術の発達している世界。化学など通用するはずもない事は分かり切っていた。
となれば、理屈は通用しないと言う事。
次に着目したのは、聖剣ならば通用すると、当時の文献に載っていた。
当初、聖剣のような物ならば、破壊不可の特殊効果が付属されているからだと思い、あまり深くは考えなかった。
しかし、聖剣全てが破壊不可の特殊効果があるとは思えない。
逆に聖剣じゃなくても、破壊不可の施された武器は、実は意外と多く存在している。
破壊不可とは違い、聖剣全てに共通して同じ効果を宿しているものがあった。
そう、聖剣には、聖なる力を宿し剣。その切先は、魔の者を滅ぼすと言う伝承がある。
聖なる力、つまり、聖属性が宿っているという事だ。
魔術師ならば、誰でも使える魔術付与
で、意外と知られていないが、聖属性と言うのがある。
これは、聖剣の属性と同じなのではないかと思い、ユイに試してみたのだ。
結果は、ユイがあいつの腕を切り落とす事で証明してくれた。
確証があった訳ではないが、事前に全員の武器に魔術付与の聖を施している。
しかし、相手もこのまま終わらせてくれるはずもなく、多彩な魔術を駆使して応戦している。
今も、攻めているユイたちに向かい、毒霧を霧散させている。
仲間たちに治癒と状態回復を使いながら、援護して対応する。
周りを見渡すと、他のチームも優勢に事を進めているようだった。
うまく行きすぎている。
というか、手ごたえが無い。
何か腑に落ちないぞ・・。
戦闘が始まった当初から妙な違和感を感じつつも、その正体に気が付かなかった。
そして、今やっと、その違和感の正体に気が付いた。
「お兄ちゃん!こいつ全然倒れないよ!」
ユイが叫ぶ。
そう、これだけ攻撃を当てているにも関わらず、こいつの余裕の表情は崩れない。
おかしい、避けれる攻撃もわざと避けないのは余裕の現れかとも思っていたが、HPバーが全く減っていない。
回復している素振りもない。
しかし、折れた部位は再生している。
この時点で考えられる事は二つだ。
正攻法では、ダメージを与える事が出来ない?
もしくは、この分身体自体は、無敵で本体を攻撃しないと意味がないという事。
恐らく後者だろう。
ならば、奴の本体が何処にいるのか探る必要がある。
分身体の中に本体がいるとばかり思っていた為、実はこの中に本体がいないという想定をしていなかった。
簡単な話だ。
レーダーで探ると、分身体6人以外にもう一つだけ少し離れた場所に反応があった。
しかし、反応がある場所を目視するが、そこには誰もいない。
姿を消しているのだろうか?
「雷撃」
反応のある場所をピンポイントで、狙い撃ちした。
そのまますり抜けて地面に当たるのかと思いきや、そこにある何かに当たり、姿を露わにする。
「こいつが本体だ!」
拡声を使った俺の声は、轟音轟く戦場でも何とか聞こえるレベルにはなっていた。
「やはりお前は先に始末しないとだめみたいだな」
そんな声が何処からともなく聞こえてきたかと思うと、視界が一瞬の内に暗転する。
攻撃を喰らった?
いや違う。
またしても幻術の類か?
ディスペルを使い、掛けられた幻術を解除する。
しかし、解除したはずなのに、今俺が立っている場所は、先程の戦場とは別の場所だった。
「ここは、どこだ・・」
「やはり、ディスペルが使えるのは偶然ではなかったか。楽に殺してあげようと思ったのに、残念だね」
そこは、何もない空間だった。地面すらも見えない。空中に立っているのとは少し違う。感触はあるから、見えない地面がそこにあると言う事。
少し離れた先に、あいつが不敵な笑みを浮かべたまま空中にたたずんでいた。
「ここは、ボクが作り出した現実の世界さ。だから、元の世界に戻るならボクを倒さないとダメだよ」
「なら、あんたを倒して脱出するまでだね」
「威勢がいいね、キミみたいに強い奴は今までもたくさん出会ってきたよ。ま、その全員が最後はボクに命乞いしてきたんだけどね、キミはどうかな?」
こいつを今、この場で倒せば元の世界での危険因子が排除される。
皆に危険が及ばなくなる。
それは、こっちとしてはむしろ好都合だ。
俺が頑張ればいいだけ。
ここなら、周りの仲間たちに気を使わなくて済む。
つまり、誰の目も気にしなくていいから、本気が出せる。
「身体強化、魔力強化、対物理ダメージ軽減、対魔術ダメージ軽減、体力継続回復」
今までも何度か、窮地に陥った事はあった。
しかし、本当の意味でも戦闘において本気になった事はあっただろうか?
つい先日のアンデット軍団殲滅の際に、俺のレベルが100になっていた。
レベルが上がった瞬間から身体が一気に軽くなり、総魔力量も跳ね上がった。
だからと言って、決して邁進している訳ではない。
だけど、相手が仮に魔王であったとしても、負ける気がしないのは、何故だろうか。
流石にそれは言い過ぎな気はするけど。
ギールさんに聞いたけど、確か不死の王はスイと名乗ったのだとか。
いつまでもコイツとかアイツとかでは、今一しっくりこない。
せめて、本気で戦う今からは名前で呼びあいたい。
「俺の名前は、ユウ。異世界から来た人間だ!全身全霊を持ってスイに勝負を挑む!!」
その表情は、何処か笑みを見せているようでもあり、こちらを睨みつけているようでもあった。
「まさか、切り札を使って、誰一人倒れないなんてね、驚いたよ」
一度見た事のある者以外は、これから打ち倒そうとしている強大な人物が、まさか幼い子供の姿をしてしようとは思っていなかったのか、皆一様に面食らった意外そうな顔をしていた。
「油断するなよ、外見はあれでも、中身は化け物だ。舐めてかかると死ぬぞ」
「ククク、その割にはボクを倒すのにたったこの人数なのかい?それこそ舐めていると思わないのかい?」
「お前相手なら、これくらいの人数で十分だよ」
流石は勇者様、子供のあやし方をよく心得ていらっしゃる。
でもそんな見え透いた挑発に乗るとは思えないけどな・・
「ボクの恐ろしさがまだ分かっていないようだね。お前らごとき、これを喰らって果たして何人が立っていられるのか!見てやるよ!ボクと戦うに値するのかどうかをね!」
えっと、めちゃくちゃ挑発に乗っているんだけど・・。
不死の王は、これ見よがしに威圧を発動させた。
生暖かい空気がサッと全身を通り過ぎたかと思えば、微かな重力を感じた。
この程度か。
予想していたよりも、威圧の効果が薄い。
これならば、皆の訓練で使った俺の威圧の方が数段強いだろう。
案の定、奴の威圧で膝をつくものは、満身創痍ではないゴエール以外にはいなかった。
「やはり、その程度じゃ、誰一人屈指はしないな!」
勇者のこの一言を皮切りに、不死の王との戦火が切って落とされた。
ギールさんが先陣を切り、皆がそれに続けと言わんばかりに突撃を試みる。
奴には、物理攻撃は効かない。
正確には、触れたものを即座に溶かしてしまう強力な酸のような膜が体全体を覆っている。
それに抗えるのは、聖剣のような破壊不可の特殊効果が施された武器でなくてはならない。
それ以外の者は、魔術か直接触れないように戦うしかなかった。
ギールさんと奴との距離が10mに差し掛かった時だった。
なんと、奴が6人に分裂したのだ。
しかし、躊躇する事もなく、ギールさんや熊人族の戦士たちは、均等に6等分されるように別れて対峙していた。
意表を突いたつもりなんだろうけど、実は分身が使えるのは想定済みなんだよね。
しかし、想定通りばかりではなかった。
鑑定を使用しても、分身体の本体を突き止めることが出来ない。
6体とも、どれも鑑定阻害されてしまった。
本体は、俺たちのパーティで叩くつもりだったけど、仕方がない。
「みんな!俺たちは、一番右の奴を相手にするぞ!」
掛け声とともに、待ってました!と言わんばかりにユイが超高速で突っ切る。それに、アリスが空を飛び続く。少し遅れてルーの召喚した2体の精霊が後を追う。
もう1体は、術者を守る為に術者との距離を一定に保っていた。
俺は、更にその後ろで、動向を観察しつつ、離れて攻撃を行う。
あいつには、物理攻撃は効かない。
果たして本当にそうなのだろうか?
その疑問の答えを導き出す為に、ユイに協力してもらっていた。
そして、ユイの武器が分身体の右腕を切り落としていた。
よっし!成功だ!
単純過ぎるかと思ったが、どうやら上手くいったようだ。
触れたものを溶かしてしまうと聞いた時、まず思い描いたのは、酸だ。
某映画のどこかの未知の生物の血液が酸で、人がそれに触れると溶けてしまうあの酸だ。
しかし、人の皮膚のように柔らかいものならばいざ知らず、金属のような硬い物が、しかも触れると一瞬のうちに溶けてしまうなど、化学では説明がつかない。
しかし、元々この世界は魔術の発達している世界。化学など通用するはずもない事は分かり切っていた。
となれば、理屈は通用しないと言う事。
次に着目したのは、聖剣ならば通用すると、当時の文献に載っていた。
当初、聖剣のような物ならば、破壊不可の特殊効果が付属されているからだと思い、あまり深くは考えなかった。
しかし、聖剣全てが破壊不可の特殊効果があるとは思えない。
逆に聖剣じゃなくても、破壊不可の施された武器は、実は意外と多く存在している。
破壊不可とは違い、聖剣全てに共通して同じ効果を宿しているものがあった。
そう、聖剣には、聖なる力を宿し剣。その切先は、魔の者を滅ぼすと言う伝承がある。
聖なる力、つまり、聖属性が宿っているという事だ。
魔術師ならば、誰でも使える魔術付与
で、意外と知られていないが、聖属性と言うのがある。
これは、聖剣の属性と同じなのではないかと思い、ユイに試してみたのだ。
結果は、ユイがあいつの腕を切り落とす事で証明してくれた。
確証があった訳ではないが、事前に全員の武器に魔術付与の聖を施している。
しかし、相手もこのまま終わらせてくれるはずもなく、多彩な魔術を駆使して応戦している。
今も、攻めているユイたちに向かい、毒霧を霧散させている。
仲間たちに治癒と状態回復を使いながら、援護して対応する。
周りを見渡すと、他のチームも優勢に事を進めているようだった。
うまく行きすぎている。
というか、手ごたえが無い。
何か腑に落ちないぞ・・。
戦闘が始まった当初から妙な違和感を感じつつも、その正体に気が付かなかった。
そして、今やっと、その違和感の正体に気が付いた。
「お兄ちゃん!こいつ全然倒れないよ!」
ユイが叫ぶ。
そう、これだけ攻撃を当てているにも関わらず、こいつの余裕の表情は崩れない。
おかしい、避けれる攻撃もわざと避けないのは余裕の現れかとも思っていたが、HPバーが全く減っていない。
回復している素振りもない。
しかし、折れた部位は再生している。
この時点で考えられる事は二つだ。
正攻法では、ダメージを与える事が出来ない?
もしくは、この分身体自体は、無敵で本体を攻撃しないと意味がないという事。
恐らく後者だろう。
ならば、奴の本体が何処にいるのか探る必要がある。
分身体の中に本体がいるとばかり思っていた為、実はこの中に本体がいないという想定をしていなかった。
簡単な話だ。
レーダーで探ると、分身体6人以外にもう一つだけ少し離れた場所に反応があった。
しかし、反応がある場所を目視するが、そこには誰もいない。
姿を消しているのだろうか?
「雷撃」
反応のある場所をピンポイントで、狙い撃ちした。
そのまますり抜けて地面に当たるのかと思いきや、そこにある何かに当たり、姿を露わにする。
「こいつが本体だ!」
拡声を使った俺の声は、轟音轟く戦場でも何とか聞こえるレベルにはなっていた。
「やはりお前は先に始末しないとだめみたいだな」
そんな声が何処からともなく聞こえてきたかと思うと、視界が一瞬の内に暗転する。
攻撃を喰らった?
いや違う。
またしても幻術の類か?
ディスペルを使い、掛けられた幻術を解除する。
しかし、解除したはずなのに、今俺が立っている場所は、先程の戦場とは別の場所だった。
「ここは、どこだ・・」
「やはり、ディスペルが使えるのは偶然ではなかったか。楽に殺してあげようと思ったのに、残念だね」
そこは、何もない空間だった。地面すらも見えない。空中に立っているのとは少し違う。感触はあるから、見えない地面がそこにあると言う事。
少し離れた先に、あいつが不敵な笑みを浮かべたまま空中にたたずんでいた。
「ここは、ボクが作り出した現実の世界さ。だから、元の世界に戻るならボクを倒さないとダメだよ」
「なら、あんたを倒して脱出するまでだね」
「威勢がいいね、キミみたいに強い奴は今までもたくさん出会ってきたよ。ま、その全員が最後はボクに命乞いしてきたんだけどね、キミはどうかな?」
こいつを今、この場で倒せば元の世界での危険因子が排除される。
皆に危険が及ばなくなる。
それは、こっちとしてはむしろ好都合だ。
俺が頑張ればいいだけ。
ここなら、周りの仲間たちに気を使わなくて済む。
つまり、誰の目も気にしなくていいから、本気が出せる。
「身体強化、魔力強化、対物理ダメージ軽減、対魔術ダメージ軽減、体力継続回復」
今までも何度か、窮地に陥った事はあった。
しかし、本当の意味でも戦闘において本気になった事はあっただろうか?
つい先日のアンデット軍団殲滅の際に、俺のレベルが100になっていた。
レベルが上がった瞬間から身体が一気に軽くなり、総魔力量も跳ね上がった。
だからと言って、決して邁進している訳ではない。
だけど、相手が仮に魔王であったとしても、負ける気がしないのは、何故だろうか。
流石にそれは言い過ぎな気はするけど。
ギールさんに聞いたけど、確か不死の王はスイと名乗ったのだとか。
いつまでもコイツとかアイツとかでは、今一しっくりこない。
せめて、本気で戦う今からは名前で呼びあいたい。
「俺の名前は、ユウ。異世界から来た人間だ!全身全霊を持ってスイに勝負を挑む!!」
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