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第九話:廃神殿の精霊
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「とりあえず、ユイの服でも買いに行くか。」
というのも、ユイはボロボロの布きれを着ているのだ。
取り敢えず浄化でキレイにする。
ユイは、やったあ!と喜んでいた。
どうやら服を買ってもらえるのが嬉しいらしい。
部屋を出ようとした時、ある考えが脳裏に浮かんだ。
この街は、獣人族自体が少ない。見かけたとしても奴隷なのだ。
ユイが出歩いて大丈夫だろうか?
もしかしたら害をなしてくる輩もいるかもしれない。
いきなり攻撃してくるなんて事はないとは思うが・・。
用心にこしたことはないので、昨日買ったブリックリングをユイに装備させる。
「これは俺からユイへの初めてのプレゼントだ。肌身離さず持っているんだぞ」
ユイは喜んでいた。
取り敢えずは、すぐ横にいれば大丈夫だろう。それに周りから変な目で見られたとしても、いつまでもこの街に滞在する理由もない。その時は別の街に行けばいいだけだ。
俺はユイと手を繋ぎ宿屋を出た。
予想通りというか、やはり周りの通行人達の視線が痛い。
俺としては、俺にはこんなに可愛い妹がいるんだぞ!と自慢したいくらいなんだけどね。
それは心の中で叫ぶだけに留めておこう。
俺達は周りの目を気にせず、雑貨屋に入った。この店には2度訪れており、店主とは世間話をするくらいには仲良くなったつもりだ。
「いらっしゃい。お、兄ーちゃんまた来てくれたのか」
「はい、この子に似合う服を探してるんですけど、いくつか見繕ってくれませんか」
店主がユイを見て驚いていた。
ユイは俺の後ろに隠れてしまった。
「こいつは驚いた。まさか狐人か。めずらしいな。驚かせちまって悪かった。ちょっくら待ってな、その子に合う可愛らしいのを見繕ってやるよ」
やはり、ここの店主は話の分かるいい奴だな。
数分後店主が戻ってくる。手には何着か服を持っている。
俺はユイに欲しいのを選んで貰った。
確かに欲しいのを選んでいいとは言った。
まさか全部欲しいと言うとは思わなかった。
妹に物を買ってあげる兄の気分は、きっとこんな感じなんだろうなと思った。
ユイは試着室で早速購入した服を着て、都度俺に見せ付けてくる。
どお?お兄ちゃん似合う?なんてセリフ付きだ。
店主が微笑ましい笑顔をこちらに向けてくる。
勘違いされていなければいいけどね。
ああ、似合うぞ。と返答して店主に礼を言った後、逃げるようにユイと一緒に店から出る。
何というか、その場にいるのが恥ずかしかったのだ。
お金?もちろん払っている。5着で銀貨10枚だった。
結構高いなと思いつつも、まぁ、ユイが喜んでるし良しとする。
店を出て少し早めの昼食にする。朝も食べてなかったのでお腹はすいていた。
ユイも連れ去られてからほぼ何も食べていないという。
人気のない食堂を選んだ。
そう、昨日も行った所だ。味は微妙だったが、客がいないのだ。それに昨日食べたおすすめメニューがダメだっただけに違いない。と思いたい。
ユイと一緒に食堂に入る。中を見渡すが想定通り客はいなかった。
中へ入ろうとするなりカウンターのおじさんが何か喋っているのが聞こえた。
「その嬢ちゃんは、あんたの奴隷かい?奴隷の証である首輪が見えないようだが」
ユイが下を向いてションボリしてしまった。
獣人を見るなり、すぐ奴隷呼ばわりするはやめて欲しい。
俺は、少し憤りを覚えたが、無視するわけにもいかないし喧嘩する気も少なくとも今はないので穏便に答える事にする。
「奴隷じゃなくて、俺の妹です。謝って下さい」
ユイが俺に抱き付いている。
兄らしいとこを見せないとね。
おじさんは、申し訳なさそうな顔をしていた。
「そいつは悪かったな嬢ちゃん。お詫びと言っちゃあなんだが、1食分サービスさせて貰うぜ」
ユイが俺の顔を見上げている。
「良かったなユイ」
俺はユイの頭を撫でてやる。
「うん、おじさん、ありがと」
前回はおすすめで一度失敗したからな。ユイにはおすすめ以外で好きなものを選ぶように促した。
さて、俺は何にしようか。
無難にキノコのシチューとハーブサラダと白飯にしよう。
隣のユイは、美味しそうに何かを食べている。
どれどれ・・ガーゴイルの手羽先に、サイクロプスの目玉焼き、オーガのサイコロステーキ・・・。
ユイさんはゲテモノ好きなんですかね。
「美味しかった!こんな美味しいご馳走初めてかも~」
満足してくれて良かった。俺はおじさんに礼を言い、食堂を後にする。
またユイと一緒に街をブラブラ散歩する。
俺には1つの策略がある。
獣人=奴隷と決めつけているこの世界の思想を壊してやる事だ。たがら見せ付けてやる。
俺とユイすなわち、人族と獣人族とがほんとの兄弟みたいに過ごしているこの姿を!
街行く人の俺達を見て驚く様が最初は気になっていたが、段々と気にならなくなっていった。
歩きながら狐人について色々とユイに聞いていた。
基本的に獣人族は人族よりも身体能力に優れている。策略云々は考えない事として同じレベルの者同士が相対した場合、人族では勝てないのだ。更に言うと獣人族の中でも狐人というのは、視覚、嗅覚が優れており、聴覚に至っては1、2を争うほど優れている。すなわち、狐人は危機察知能力にとても優れていた。
最初にユイを見た時から気になっていたのだが、ユイのレベルが高すぎる。
今ユイのレベルは17だ。
17というのは冒険者の中級レベルだ。ユイは10歳だと言っていた。
獣人の特性とユイの年を考慮しても今のユイでも冒険者の上級者とだって互角に戦えるかもしれない。
それだけユイは強い。何が言いたいのかと言うと、俺と一緒にユイにも戦ってもらうのだ。
もちろん本人の意思を尊重するけどね。
ユイに尋ねてみる。
「この先、街から街への移動も必要になってくるけどユイも俺と一緒に戦えるか?」
ユイは驚いている。
おっと、怖がらせてしまったか。
しかし、帰ってきた答えは予想とは違うものだった。
「お兄ちゃんは戦わなくていいよ?ユイがお兄ちゃんを守るからね。ユイね、とっても強いんだよー」
さすがにこういう返答が返ってくるとは予想してなかったな。
取り敢えず、何が起こるか分からないから俺の実力は今はまだ伏せておくとして、当たり障りのない返答をしておく。
「兄が戦わないわけにはいかないだろう?でもユイも頼りにしてるからな」
ユイがえへへーとくっついてきたので、いつものように頭をなでなでしてやる。
俺はユイにどこかのギルドに入って貰おうと思っていた。
もちろん必ず入る必要はないのだが、ギルドに入ることでその職種に合った恩恵をいくつか受けることが出来る。
例えば魔術師ギルドに入ると魔術、魔力系統の恩恵を受ける事が出来る。ここでいう恩恵というのは、魔術スキルの早熟であったり、魔力の回復量や魔術威力も微量ながらUPする。
ユイに扱いの得意な武器がないか聞いてみた。
元々短剣を使っていたそうだ。ユイのいた村ではモンスターとの戦闘は日常茶飯事でユイ自身も先頭で戦っていたそうだ。もしかしたら、もしかしなくても俺よりも実践経験豊富かもしれないな・・。
ならば短剣が活かせるのは、剣士か盗賊だろうか。迷っていても仕方がないからそれぞれのギルドに行って話を聴いてみる事にする。
ここから近いのは、盗賊ギルドかな。
俺達は盗賊ギルドへと足を運ぶ。
ギルドの中へ入ると魔術師ギルド同様に中は薄暗かった。
入ってすぐに受付のカウンターが見える。
盗賊ギルドというから受付は、むさい男だと思っていたが、色っぽいお姉さんだった。
偏見は良くないなと反省する。
受付のお姉さんに盗賊ギルドか剣士ギルドのどちらに入ろうか迷っている事を告げた。
すると、盗賊ギルドに入るとこんなに素晴らしい恩恵があるだとか、剣士スキルなんかよりも良いスキルがあるなど詳しく説明してくれた。
簡単にまとめると、
まず盗賊ギルドに入った場合の恩恵だが、戦闘には欠かせない敏捷性が上がるそうだ。他には、敵察知能力の向上と敵モンスターを倒した時の収集品獲得率の向上があるらしい。まるでゲームの世界のようだ。
本当に盗賊なんだなと納得する。
次に盗賊が覚えられるスキルは、攻撃スキルはもちろんの事、罠やトラップの類の察知と自身の敏捷性UPやモンスター相手から物を盗む盗作なんてスキルを取得出来るらしい。
罠が察知出来るのは旅をする上でかなり有効だ。
そんな事を考えていると、説明を聞いているユイが俺の袖を引っ張ってきた。
「私盗賊がいい!」
まだ剣士ギルドの説明を受けてないんだけどね。いいのだろうか。
ユイがこれでいい!盗賊でいい!と連呼してくるのでユイの自由にさせてやる。
元々そのつもりだったし。
お姉さんが驚いていた。どうやらギルドに入りたいのは俺の方だと勘違いしていたらしい。
また、ギルドは1度入っても抜ける事が出来る事を事前に確認しておいた。
ギルドに正式に入る際にギルドカードを作ってもらえる。
それが身分証にもなるので一石二鳥だ。作成時にユイのレベルは正直に17と答えている。
その数値を聞いてお姉さんはまたしても驚いている。やはり見た目に反して高いのだろう。
こうしてユイは晴れて盗賊となった。基本的にギルドに入らないとその職種になる事は出来ない。しかし、ユウはギルドに入る前から魔術師になっていた。
どういうことか疑問に思い、魔術師ギルドに入る際に聞いた事があったのだが、ギルドに変わるもの例えばその職種を最高位までマスターした師範代の弟子になる事でギルドに入らずとも、その職種に就く事が出来るのだそうだ。俺の場合は言うまでもないか。
俺たちは盗賊ギルドを後にした。
ユイのステータスを確認する。
名前:ユイ・ハートロック
レベル:17
種族:獣人族 狐人
職種:盗賊
スキル:盗作Lv1、殴打Lv1
ちゃんと反映されている。しかもスキルを2個取得している。普通は鍛錬を積んで会得出来るはずなのだが、やはりユイは優秀なのだろう。
さて、次の目的地はユイの装備だな。
俺達は武具屋へと向かう。
店の中に入るとユイの目がキラキラ輝いていた。
店主がつぶやいた。
「獣人族のお客さんとは珍しいな」
俺は聞こえなかったフリをする。
「盗賊用の装備をいくつか見せて欲しいんだけど」
店主が重そうな腰を上げて短剣が置いてある所へ案内してくれた。
もちろん選ぶのはユイだ。
ユイがまたしても目をキラキラさせながら短剣を眺めている。
この店には短剣だけで10数本近くあったのだが、ユイが1本の短剣の前で止まっている。
俺はその短剣を鑑定してみた
名前:クリスタルダガー
説明:第5硬度のクリスタルで作られた短剣。殺傷力と耐久性に優れている。重量も軽い。
特殊効果:敏捷性向上(中)、殺傷力向上(中)
相場:金貨25枚
希少度:★★★☆☆☆
この世界では硬さの単位を硬度で表している。第1から始まり第12まであるそうだ。
周りを見渡したが、どうやらこの短剣が一番高価なようだ。
ユイには目利きのスキルがあるのだろうか。
ユイがこっちを見てくる。
分かった分かった買ってあげるから。
俺はクリスタルダガーを購入した。しかも2本だ。
どうやらユイのスタイルは2刀流らしい。
ついでに防具も購入した。盗賊は素早さが命なので、なるべく身軽そうな防具を選んだつもりだ。
次に向かうのは魔術師ギルドだ。
昨日の任務の報告に行くのだ。
魔術師ギルドに向かう道中でレーダーが反応した。黄色の点だった。黄色は警戒すべき対象だ。
程なくして遠くの方で声が聞こえてきた。
「泥棒ー泥棒だよー!誰か捕まえとくれー」
泥棒と思われる人物がこちらに向かって走って来ているのが視界に入った。
まっすぐこちらに向かってくる。そこをどけ!と言いながら通行人を突き飛ばして進んでいた。
中々に素早い奴のようだ。
俺がストレージから小石を出そうとした時だった。
ユイがおもむろに俺の前に立ちふさがった。そして泥棒に向かって突進していく。
ユイは早かった。素早い動きだと思っていた泥棒なんて目じゃないくらいに。
ユイはサッとその泥棒の足元に潜り込み後ろへとすり抜け、飛び上がり背後から首に一撃をお見舞いしていた。まさに電光石火のごとくとはこの事だ。
ヤバいな、カッコイイ。
俺にあんな動きが出来るだろうか。無理だな。
泥棒はその場に倒れ伏してしまった。
って、この泥棒さんレベルが23もあるじゃないか。
それをいとも簡単に倒してしまうのだからやはりユイは強いのだ。
先ほどの声の主がこちらに向かって走ってくる。
息を切らして、こちらに目を向ける。
「はぁ・・・はぁ・・・、あんたたちかい?こいつをやつけてくれたのは?」
「犯人を止めたのは、この子ですよ」
「まぁ、お嬢ちゃんだったのかい。ありがとよー助かったよ」
ユイが恥ずかしそうにしていたので、俺はユイの頭をなでてやる。
やがて、街の警備の人だろうか?気を失っている泥棒の手を縛り、どこかへ連行して行った。
俺達もその場を後にし、魔術師ギルドの前までやってきた。
中へ入り、受付嬢の前まで行く。ちなみに名前を教えてもらっていた。呼び方に困るしね。
受付嬢の名前は、ラクシャータと言うらしい。
「ラクシャータさん、任務の報告に来ました」
「ラクスでいいわよ。皆そう呼んでるからね」
薬草採取は20枚の所を78枚も採取していた。
「ずいぶんとたくさん集めたわね」
ラクスさんは驚いていた。
報酬は銀貨3枚だったが、溢れた分は1枚10銅貨で買取してくれた。
この世界では薬草1枚で宿屋に2泊泊まれる計算になる。それだけ外の世界というのは危険な所で、外でしか採取できない素材の価値は高いのだそうだ。
続いて、モンスター討伐の方も報告した。報告は簡単だ。ギルドカードを見せるだけなのだ。
受付嬢はカードに記載してある討伐数を確認する。俺はどうやら20体倒していたようだ。
任務の達成条件は20体だったため、ジャストだ。
達成報酬の銀貨10枚を受け取り、魔術師ギルドを後にする。
さて、ちょっと狩りでもしてくるかな。
街を歩いている時に妙な噂を聞いたのだ。
街の東門を出てまっすぐ行った先に廃神殿があるという。なんでも30年ほど前に内部で反乱が起こり、大量の死者が出たという。
以降誰も近寄らなくなり、廃墟となっているらしい。人々の間ではいわゆる肝試し的なスポットとなっているのだが、最近妙なものを見たという噂が広がっていた。
なんでも光り輝く絶世の美女がいるのだと言う。しかしその姿を見たものは皆魂を抜かれたような状態となり、帰ってきても心ここに在らずの状態なんだとか。
絶世の美女と聞いては、男としてはその姿を是非見に行く・・ではなく、そのような状態となった原因の追求と出来る事ならば解決しないといけないという使命感に苛まれたのだ。
断じて私利私欲のためではない。
しかし夜しか出てこないということなので、それまでは近くで狩りしつつ頃合いを見て廃神殿に向かうことにする。
ユイにこの事を告げると怯えていた。どうやらお化けの類は苦手なようだ。でも私がお兄ちゃんを守るからねと強がっている所がなんとも微笑ましい。
よし行こうか。
目的の場所までは歩いて30分ほどだ。そう遠くない。俺たちは近場でモンスターを相手に戦っていた。
モンスターは街の近くという事もあり、どれもレベル10以下だ。俺はもちろんユイの敵ではない。
それにしても、ユイの動きは身軽でなんというか忍者を彷彿とさせるようだ。
結局何匹に取り囲まれようが俺の出番は訪れなかった。そして辺りが段々と暗くなってきたので、俺達は目的地の場所へと向かう事にする。
しばらく進むと情報通り廃神殿が見えてきた。外壁は破壊されており、もはやどこが入り口か分からない。その名の通り、そこらじゅうが朽ちている。
という事もあり、雰囲気は出ている。お化けの1匹や2匹いてもおかしくない。
隣のユイを見ると僅かながら震えていた。
レーダーに反応はない。俺達2人は中へ入っていく。かなり入り組んで迷路のようになっている。
帰り道が分からなくならないよう所々に壁に印を残しておく。
するとレーダーに白い反応が2つ現れた。
人か?はたまた絶世の美女か?
レーダーの反応がある方へと足を進めた。
ほどなくして白い点の正体が分かった。どうやら街の住人のようだ。
倒れていたので焦ったが、どうやら気絶しているだけのようだ。外傷はなかった。
ユイが何やら反応している。
「何かが近くにいるよ!」
俺は辺りを確認した。レーダーに反応はない。
念のため杖を構える。ユイも短剣を構えている。
すると何処からともなく声が聞こえてきた。
「人族と獣人族が一緒にいるなんて珍しいわね」
男とも女とも取れるどこか幻想的な声色の正体が俺達の前に現れた。
その姿は黄金に輝いている。そして、噂通りの美女だった。
いかんいかん、見とれている場合じゃないな。
俺はユイに武器を降ろすように伝えた。
「俺はユウは、コイツは妹のユイだ。あんたは何者だ?」
すると美女は急に笑い出してしまった。どうして笑っているのか2人には分からない。
そして美女が話し出した。
「人族と獣人族の兄弟ですって?そんなの聞いた事もないですね」
そう言い、また笑い出す。
なぜだが、無性に腹が立ってきた。美女じゃなければ頭にゲンコツを落としていたかもしれない。
「ユウは私のお兄ちゃんです!」
ユイが声を荒げている。
その声に驚いたのか、笑いを止め、謝ってきた。
以外と素直だ。
「いやいや、すまなかったな。怒らすつもりはないのです。それに自己紹介がまだでしたね」
俺は考えていた。また変な流れになりそうだなと。
この美女ことセリアはお化けではなく、なんと精霊だった。
この世界における精霊というのは、人々に崇められるような存在では無く、むしろその存在すらあまり知られていない。
簡単に言うと神様の劣化版のような存在らしい。
力の面も含めて。精霊は宿主がいないと存在していられない。
ここでいう宿主とは生き物でも良いし、建造物でも形ある物ならでも良いらしい。
セリアはこの神殿を宿主としていた。セリアは浄化を得意とする精霊で何十年もかけてこの神殿を浄化してきたのだという。
そしてつい最近までかかって、浄化のほとんどが終わったらしい。
しかし残った最後の怨霊に完全浄化を阻まれていた。
セリアの力を持ってしても浄化出来ないらしい。
それでセリアはその怨霊を倒してくれる人を探していたのだそうだ。人々の前に姿を晒してまで。
「で、俺たちにその怨霊を倒して欲しいと?」
「ええ、見た所あなたも、この子もかなり実力がありそうですね。それに私自身貴方たちに少し興味がわいたの」
まぁ、悪い奴ではなさそうだし手助けすることにした。ユイもやる気だしね。
俺は承諾し、セリアと一緒に更に奥へと進んでいく。街の住人はグッスリと眠っていたのでそのままにしておいた。モンスターの気配もないし大丈夫だろう。
なぜ眠ってしまったのかをセリアに聞くと、どうもセリアと会話した人は皆眠ってしまうそうだ。
ん?なんで俺達は眠らないんだろうと疑問に思ったが、今は置いておく。
取り敢えず悪霊退治が先決だ。
それに、さっきからレーダーに反応がある。赤い点だ。しかも3つもある。
ん、ちょっと待てよ。
怨霊ってことは幽霊の類だから物理攻撃は当たらないんじゃないかという疑問をセリアに投げかけた。
するとセリアは不思議そうな顔をしている。
貴方は魔術師なのではないのですか?
ならば武器に魔術付与すればよいのでは?
と言っている。
何それ?
なんでも武器に触れて魔術を流すだけでその刀身が魔力を帯び、その魔力の属性に合わせて武器の属性が変化するのだそうだ。
よく分からないが物は試しだやってみよう。
ユイの短剣に触れ、魔力注入をイメージして刀身に魔力を流す。
”魔術付与を取得しました”
すると刀身が赤くぼんやりと光り始めた。どうやら成功したようだ。
事前準備も終わったし、行こうか。
そして俺達は怨霊と相対した。
名前「サキュラ」
レベル31
種族:ゴースト
弱点属性:火
スキル:対魔術軽減結界、怪音波、金縛りLv2
名前「サベリナ」
レベル20
種族:ゴースト
弱点属性:火
スキル:竜巻Lv2
一番レベルの高い真ん中にいる奴が本体のようだ。両サイドにサベリナというゴーストがいる。
こいつらの情報をユイに話しておく。
「俺が真ん中の奴をやるから、ユイは周りの2匹を頼む」
「了解!でも危なくなったら、すぐに下がってね!」
おっと、俺が先に言おうと思ったんだが、言われてしまったようだ。
サクッと全部一掃してもいいのだが、ものには順序っていうものがあるしね。
俺はサキュラに魔力を帯びた投石を行う。最小限に威力を抑えて。
小石はすり抜けることなく、命中したようだ。
ダメージを追ったのか、サキュラは苦しんでいる。
ユイも戦闘を開始したようだ。2刀短剣を振り回して2匹のゴーストを翻弄している。
その姿を横目で確認しながら、大丈夫そうだなと安心する。
さて、こっちもさっさとケリをつけるかな。
俺は杖をサキュアに向けて、火撃Lv1を撃つ。
サッカーボール台の火の玉の連打がサキュアに命中した。黒い煙が辺りを立ち込めた。
しかしサキュアは、ケロッとしている。
おかしいな?手加減し過ぎだろうか?
サキュアは虹色の光に包まれていた。
さっき確認した時にあったスキルか。
恐らく魔術ダメージの減だろうか。無効なんて効果だったら、どうしようもないが。
俺はそれを確かめるべく、今度は、火撃Lv3を放った。
すると今度はサキュアが燃え盛る炎で苦しんでいる。
どうやら無効ではなかったようだ。
雷撃Lv3で止めを刺す。
サキュアは跡形もなく消滅した。
ちょうどユイも2匹を相手に勝利した所だった。
苦戦もしていなかったようだ。さすが俺の妹だな。
ユイが俺に近づいてくる。
「お兄ちゃん強ーい!あの魔術カッコよかった!」
ユイもすごかったぞと頭をなでなでしてやる。
「すごいですね。私はあえてあの怨霊に魔術耐性がある事を黙っていました。それをも貫通する魔力。さぞや名の知れた方なのでしょう。それにユイちゃんの実力も相当なものですね。この若さであの身のこなし、凄いです」
「ユイはともかく、俺は平凡な魔術師さ」
ユイがサキュアを倒したドロップ品を持ってきた。
ペンダントだろうか?
名前:ホーリー・サンクチュアリ
説明:装備者を中心に半径2mの範囲にゴースト、アンデット系モンスターに対して絶対たる結界を展開する事が出来る。
殊殊効果:スキル聖域使用可能
相場:金貨500枚
希少度:★★★★★☆
とんでもない逸品じゃないかこれは。
セリアが言うには、昔ここは神を奉る神殿だったのだが、自分が神になろうなどと言う1人の反逆者がいた。それがさっき倒したサキュアなんだが、なんでも悪魔と契約して神なろうとしたのだとか。
セリア自身も詳しいことは知らないらしく、単純にこの神殿が怨念の巣窟となっていたので、何十年もかけて浄化を試みていたという。なんとも心優しき素晴らしい精霊のようだ。
このペンダントもこの神殿に保管してあった宝具ではないかと言う。
今更落とし主が名乗り出るわけもないので、とりあえずストレージに大事にしまっておく事にする。
「お二方とも、本当にありがとうございました。これで私も安心してここを離れられます」
お、成仏するのかななどと安易な考えをしていると、
「今、成仏するって思ったのでは?」
ばれてたか。と笑ってごまかす。
「あいにく私は、幽霊でも生き霊でもありませんので、ご心配なさりませんように」
「俺達も人助けが出来たようでよかったよ。セリアも達者でね」
ユイがぺこっとお辞儀をする。
するとセリアが急に光りだした。元々光ってはいたのだが、より一層目が開けられない程度にだ。そして光が収まった時、目の前には何もいなかった。
ほんとに成仏したみたいだな。なんて思っていると、下の方から声が聞こえてきた。
「どこ見てるんですか?私はここです」
えっ?と俺とユイは下を見る。
確かに何かいる。身の丈20cm程度だろうか。背中に羽が生えている。
元の世界でいう、妖精とかピクシーの類だろうか?
「これが私の精霊の本来の姿です」
「小さいんだな」
俺は率直な感想を述べる。
ユイがしゃがんで、マジマジとセリアを観察している。
「私、精霊って初めてー」
「精霊と言ってもその姿形は様々です。私のような小さなサイズであったり、人族の倍はある精霊もいますよ」
ふむ。倍もあるとか恐ろしすぎるだろ。精霊というより、巨人族だ。
「それでは、お二方ともこれからどうぞ宜しくお願いしますね」
セリアは、頭を下げたてお辞儀をしている。
はい?
俺には彼女の言っている意味が分からなかった。
「ですから、私の役目は終わりましたので、新たな宿主を探す必要があります」
それで?
「私の新しい宿主をユウさんに決めました」
「意味が良く分からないんですけど?」
「最初にも申し上げましたが、貴方たち2人に興味がわきました。お邪魔にはなりませんので私も貴方たちに同行させて下さい」
「断る!」
セリアは、何ででしょうか?という顔をしている。
「第一に俺はなるべく平穏な暮らしがしたいんだ。セリアが珍しい存在なら目立って仕方がない」
「第二に俺達は、モンスターと戦う危ない旅をしている。セリアを危険な目に合わせてしまう」
それを言い終えた直後にセリアが反論する。
「では今挙げた条件がクリアされれば同行の許可を頂きます」
ぐ・・喰い下がらなかったか。
しつこい精霊だな。正直面倒ごとはゴメンなんだけどね。
でも言ってしまったからには断れない。
「あ、ああ」
「私は別にいいよ。ユウの妹は私だけだけどね~」
そういう問題ではないのだけどね。
セリアが背中の羽で俺の目線の高さまで飛んでいた。
そして次の瞬間、消えてしまった。
元々レーダーにも精霊は反応していなかったので、俺もセリアがどこに行ってしまったのか分からない。
すると声が聞こえてきた。
「私は消える前の所にそのままいますよ」
2人はその場所に目をやる。しかし何も見えない。
姿を消せるようだ。というより普段精霊は目に見えないようだ。
「私は精霊の加護が使えます。宿主であればその効果は絶大です」
後で聞いたのだが、この加護というのが、すごいのだ。
1.自然治癒力向上
2.任意ステータス上昇(1種)
3.他の精霊を見る事ができ、会話が可能
「それと、私は実体化していない限りはモンスターの類に攻撃されることはありませんので危険はないです」
う・・。
再び姿を見せたセリアが、俺にドヤ顔をしてくる。
はぁ・・
まぁ、メリットはあるし、約束してしまったからね。
精霊の加護は俺の意思で俺の周りにいる者になら分け与えられるようなので、ユイにも使える。
「負けたよ。これから宜しく頼む」
ユイもよろしく~と言っている。
「ありがとうございます。早速ですが、精霊の契約を結んで頂きます」
セリアはそう言い、おれの顔の前まで飛んできた。
何かを唱えている。そして、セリアは俺に口づけをしてきた。
「え、ちょっ・・いきなり何をするんだ・・」
セリアはニコッとしている。
ユイが口を開けて呆然としている・・。
私だってまだお兄ちゃんとしたことないのに・・とか言ったのが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。ていうか兄弟でそんなことしないし・・。
「これで精霊契約の儀は終わりです。感じますか?精霊の加護を」
身体をポンポンと触ってみるが、特に変わった感じはしない。自分のステータスを確認した。
名前:ユウ
レベル:80
種族:人族
職種:魔術師
スキル:鑑定、魔力注入、範囲探索、投石Lv2、火撃Lv5、火嵐Lv5、水撃Lv5、吹雪Lv5、雷撃Lv5、雷嵐Lv5、風撃Lv5、衝撃波Lv5、重力Lv3、治癒Lv3、浮遊術Lv3、石壁Lv3、氷壁Lv3、範囲結界Lv3、速度強化速度強化Lv3、状態回復Lv3、念話、魔術付与
称号:異世界人、竜王を討伐せし者
特殊効果:精霊の加護
たしかに加護の文字が見えるな。ん、いつの間にか魔術付与__エンチャント__#を覚えていたようだ。
まぁ、とりあえずいつまでもこんな所にいる理由もない、当初の目的も果たしたしね。
俺は寝ていた街の住人を担ぎ上げ、街まで戻った。もちろんセリアも一緒だ。
というのも、ユイはボロボロの布きれを着ているのだ。
取り敢えず浄化でキレイにする。
ユイは、やったあ!と喜んでいた。
どうやら服を買ってもらえるのが嬉しいらしい。
部屋を出ようとした時、ある考えが脳裏に浮かんだ。
この街は、獣人族自体が少ない。見かけたとしても奴隷なのだ。
ユイが出歩いて大丈夫だろうか?
もしかしたら害をなしてくる輩もいるかもしれない。
いきなり攻撃してくるなんて事はないとは思うが・・。
用心にこしたことはないので、昨日買ったブリックリングをユイに装備させる。
「これは俺からユイへの初めてのプレゼントだ。肌身離さず持っているんだぞ」
ユイは喜んでいた。
取り敢えずは、すぐ横にいれば大丈夫だろう。それに周りから変な目で見られたとしても、いつまでもこの街に滞在する理由もない。その時は別の街に行けばいいだけだ。
俺はユイと手を繋ぎ宿屋を出た。
予想通りというか、やはり周りの通行人達の視線が痛い。
俺としては、俺にはこんなに可愛い妹がいるんだぞ!と自慢したいくらいなんだけどね。
それは心の中で叫ぶだけに留めておこう。
俺達は周りの目を気にせず、雑貨屋に入った。この店には2度訪れており、店主とは世間話をするくらいには仲良くなったつもりだ。
「いらっしゃい。お、兄ーちゃんまた来てくれたのか」
「はい、この子に似合う服を探してるんですけど、いくつか見繕ってくれませんか」
店主がユイを見て驚いていた。
ユイは俺の後ろに隠れてしまった。
「こいつは驚いた。まさか狐人か。めずらしいな。驚かせちまって悪かった。ちょっくら待ってな、その子に合う可愛らしいのを見繕ってやるよ」
やはり、ここの店主は話の分かるいい奴だな。
数分後店主が戻ってくる。手には何着か服を持っている。
俺はユイに欲しいのを選んで貰った。
確かに欲しいのを選んでいいとは言った。
まさか全部欲しいと言うとは思わなかった。
妹に物を買ってあげる兄の気分は、きっとこんな感じなんだろうなと思った。
ユイは試着室で早速購入した服を着て、都度俺に見せ付けてくる。
どお?お兄ちゃん似合う?なんてセリフ付きだ。
店主が微笑ましい笑顔をこちらに向けてくる。
勘違いされていなければいいけどね。
ああ、似合うぞ。と返答して店主に礼を言った後、逃げるようにユイと一緒に店から出る。
何というか、その場にいるのが恥ずかしかったのだ。
お金?もちろん払っている。5着で銀貨10枚だった。
結構高いなと思いつつも、まぁ、ユイが喜んでるし良しとする。
店を出て少し早めの昼食にする。朝も食べてなかったのでお腹はすいていた。
ユイも連れ去られてからほぼ何も食べていないという。
人気のない食堂を選んだ。
そう、昨日も行った所だ。味は微妙だったが、客がいないのだ。それに昨日食べたおすすめメニューがダメだっただけに違いない。と思いたい。
ユイと一緒に食堂に入る。中を見渡すが想定通り客はいなかった。
中へ入ろうとするなりカウンターのおじさんが何か喋っているのが聞こえた。
「その嬢ちゃんは、あんたの奴隷かい?奴隷の証である首輪が見えないようだが」
ユイが下を向いてションボリしてしまった。
獣人を見るなり、すぐ奴隷呼ばわりするはやめて欲しい。
俺は、少し憤りを覚えたが、無視するわけにもいかないし喧嘩する気も少なくとも今はないので穏便に答える事にする。
「奴隷じゃなくて、俺の妹です。謝って下さい」
ユイが俺に抱き付いている。
兄らしいとこを見せないとね。
おじさんは、申し訳なさそうな顔をしていた。
「そいつは悪かったな嬢ちゃん。お詫びと言っちゃあなんだが、1食分サービスさせて貰うぜ」
ユイが俺の顔を見上げている。
「良かったなユイ」
俺はユイの頭を撫でてやる。
「うん、おじさん、ありがと」
前回はおすすめで一度失敗したからな。ユイにはおすすめ以外で好きなものを選ぶように促した。
さて、俺は何にしようか。
無難にキノコのシチューとハーブサラダと白飯にしよう。
隣のユイは、美味しそうに何かを食べている。
どれどれ・・ガーゴイルの手羽先に、サイクロプスの目玉焼き、オーガのサイコロステーキ・・・。
ユイさんはゲテモノ好きなんですかね。
「美味しかった!こんな美味しいご馳走初めてかも~」
満足してくれて良かった。俺はおじさんに礼を言い、食堂を後にする。
またユイと一緒に街をブラブラ散歩する。
俺には1つの策略がある。
獣人=奴隷と決めつけているこの世界の思想を壊してやる事だ。たがら見せ付けてやる。
俺とユイすなわち、人族と獣人族とがほんとの兄弟みたいに過ごしているこの姿を!
街行く人の俺達を見て驚く様が最初は気になっていたが、段々と気にならなくなっていった。
歩きながら狐人について色々とユイに聞いていた。
基本的に獣人族は人族よりも身体能力に優れている。策略云々は考えない事として同じレベルの者同士が相対した場合、人族では勝てないのだ。更に言うと獣人族の中でも狐人というのは、視覚、嗅覚が優れており、聴覚に至っては1、2を争うほど優れている。すなわち、狐人は危機察知能力にとても優れていた。
最初にユイを見た時から気になっていたのだが、ユイのレベルが高すぎる。
今ユイのレベルは17だ。
17というのは冒険者の中級レベルだ。ユイは10歳だと言っていた。
獣人の特性とユイの年を考慮しても今のユイでも冒険者の上級者とだって互角に戦えるかもしれない。
それだけユイは強い。何が言いたいのかと言うと、俺と一緒にユイにも戦ってもらうのだ。
もちろん本人の意思を尊重するけどね。
ユイに尋ねてみる。
「この先、街から街への移動も必要になってくるけどユイも俺と一緒に戦えるか?」
ユイは驚いている。
おっと、怖がらせてしまったか。
しかし、帰ってきた答えは予想とは違うものだった。
「お兄ちゃんは戦わなくていいよ?ユイがお兄ちゃんを守るからね。ユイね、とっても強いんだよー」
さすがにこういう返答が返ってくるとは予想してなかったな。
取り敢えず、何が起こるか分からないから俺の実力は今はまだ伏せておくとして、当たり障りのない返答をしておく。
「兄が戦わないわけにはいかないだろう?でもユイも頼りにしてるからな」
ユイがえへへーとくっついてきたので、いつものように頭をなでなでしてやる。
俺はユイにどこかのギルドに入って貰おうと思っていた。
もちろん必ず入る必要はないのだが、ギルドに入ることでその職種に合った恩恵をいくつか受けることが出来る。
例えば魔術師ギルドに入ると魔術、魔力系統の恩恵を受ける事が出来る。ここでいう恩恵というのは、魔術スキルの早熟であったり、魔力の回復量や魔術威力も微量ながらUPする。
ユイに扱いの得意な武器がないか聞いてみた。
元々短剣を使っていたそうだ。ユイのいた村ではモンスターとの戦闘は日常茶飯事でユイ自身も先頭で戦っていたそうだ。もしかしたら、もしかしなくても俺よりも実践経験豊富かもしれないな・・。
ならば短剣が活かせるのは、剣士か盗賊だろうか。迷っていても仕方がないからそれぞれのギルドに行って話を聴いてみる事にする。
ここから近いのは、盗賊ギルドかな。
俺達は盗賊ギルドへと足を運ぶ。
ギルドの中へ入ると魔術師ギルド同様に中は薄暗かった。
入ってすぐに受付のカウンターが見える。
盗賊ギルドというから受付は、むさい男だと思っていたが、色っぽいお姉さんだった。
偏見は良くないなと反省する。
受付のお姉さんに盗賊ギルドか剣士ギルドのどちらに入ろうか迷っている事を告げた。
すると、盗賊ギルドに入るとこんなに素晴らしい恩恵があるだとか、剣士スキルなんかよりも良いスキルがあるなど詳しく説明してくれた。
簡単にまとめると、
まず盗賊ギルドに入った場合の恩恵だが、戦闘には欠かせない敏捷性が上がるそうだ。他には、敵察知能力の向上と敵モンスターを倒した時の収集品獲得率の向上があるらしい。まるでゲームの世界のようだ。
本当に盗賊なんだなと納得する。
次に盗賊が覚えられるスキルは、攻撃スキルはもちろんの事、罠やトラップの類の察知と自身の敏捷性UPやモンスター相手から物を盗む盗作なんてスキルを取得出来るらしい。
罠が察知出来るのは旅をする上でかなり有効だ。
そんな事を考えていると、説明を聞いているユイが俺の袖を引っ張ってきた。
「私盗賊がいい!」
まだ剣士ギルドの説明を受けてないんだけどね。いいのだろうか。
ユイがこれでいい!盗賊でいい!と連呼してくるのでユイの自由にさせてやる。
元々そのつもりだったし。
お姉さんが驚いていた。どうやらギルドに入りたいのは俺の方だと勘違いしていたらしい。
また、ギルドは1度入っても抜ける事が出来る事を事前に確認しておいた。
ギルドに正式に入る際にギルドカードを作ってもらえる。
それが身分証にもなるので一石二鳥だ。作成時にユイのレベルは正直に17と答えている。
その数値を聞いてお姉さんはまたしても驚いている。やはり見た目に反して高いのだろう。
こうしてユイは晴れて盗賊となった。基本的にギルドに入らないとその職種になる事は出来ない。しかし、ユウはギルドに入る前から魔術師になっていた。
どういうことか疑問に思い、魔術師ギルドに入る際に聞いた事があったのだが、ギルドに変わるもの例えばその職種を最高位までマスターした師範代の弟子になる事でギルドに入らずとも、その職種に就く事が出来るのだそうだ。俺の場合は言うまでもないか。
俺たちは盗賊ギルドを後にした。
ユイのステータスを確認する。
名前:ユイ・ハートロック
レベル:17
種族:獣人族 狐人
職種:盗賊
スキル:盗作Lv1、殴打Lv1
ちゃんと反映されている。しかもスキルを2個取得している。普通は鍛錬を積んで会得出来るはずなのだが、やはりユイは優秀なのだろう。
さて、次の目的地はユイの装備だな。
俺達は武具屋へと向かう。
店の中に入るとユイの目がキラキラ輝いていた。
店主がつぶやいた。
「獣人族のお客さんとは珍しいな」
俺は聞こえなかったフリをする。
「盗賊用の装備をいくつか見せて欲しいんだけど」
店主が重そうな腰を上げて短剣が置いてある所へ案内してくれた。
もちろん選ぶのはユイだ。
ユイがまたしても目をキラキラさせながら短剣を眺めている。
この店には短剣だけで10数本近くあったのだが、ユイが1本の短剣の前で止まっている。
俺はその短剣を鑑定してみた
名前:クリスタルダガー
説明:第5硬度のクリスタルで作られた短剣。殺傷力と耐久性に優れている。重量も軽い。
特殊効果:敏捷性向上(中)、殺傷力向上(中)
相場:金貨25枚
希少度:★★★☆☆☆
この世界では硬さの単位を硬度で表している。第1から始まり第12まであるそうだ。
周りを見渡したが、どうやらこの短剣が一番高価なようだ。
ユイには目利きのスキルがあるのだろうか。
ユイがこっちを見てくる。
分かった分かった買ってあげるから。
俺はクリスタルダガーを購入した。しかも2本だ。
どうやらユイのスタイルは2刀流らしい。
ついでに防具も購入した。盗賊は素早さが命なので、なるべく身軽そうな防具を選んだつもりだ。
次に向かうのは魔術師ギルドだ。
昨日の任務の報告に行くのだ。
魔術師ギルドに向かう道中でレーダーが反応した。黄色の点だった。黄色は警戒すべき対象だ。
程なくして遠くの方で声が聞こえてきた。
「泥棒ー泥棒だよー!誰か捕まえとくれー」
泥棒と思われる人物がこちらに向かって走って来ているのが視界に入った。
まっすぐこちらに向かってくる。そこをどけ!と言いながら通行人を突き飛ばして進んでいた。
中々に素早い奴のようだ。
俺がストレージから小石を出そうとした時だった。
ユイがおもむろに俺の前に立ちふさがった。そして泥棒に向かって突進していく。
ユイは早かった。素早い動きだと思っていた泥棒なんて目じゃないくらいに。
ユイはサッとその泥棒の足元に潜り込み後ろへとすり抜け、飛び上がり背後から首に一撃をお見舞いしていた。まさに電光石火のごとくとはこの事だ。
ヤバいな、カッコイイ。
俺にあんな動きが出来るだろうか。無理だな。
泥棒はその場に倒れ伏してしまった。
って、この泥棒さんレベルが23もあるじゃないか。
それをいとも簡単に倒してしまうのだからやはりユイは強いのだ。
先ほどの声の主がこちらに向かって走ってくる。
息を切らして、こちらに目を向ける。
「はぁ・・・はぁ・・・、あんたたちかい?こいつをやつけてくれたのは?」
「犯人を止めたのは、この子ですよ」
「まぁ、お嬢ちゃんだったのかい。ありがとよー助かったよ」
ユイが恥ずかしそうにしていたので、俺はユイの頭をなでてやる。
やがて、街の警備の人だろうか?気を失っている泥棒の手を縛り、どこかへ連行して行った。
俺達もその場を後にし、魔術師ギルドの前までやってきた。
中へ入り、受付嬢の前まで行く。ちなみに名前を教えてもらっていた。呼び方に困るしね。
受付嬢の名前は、ラクシャータと言うらしい。
「ラクシャータさん、任務の報告に来ました」
「ラクスでいいわよ。皆そう呼んでるからね」
薬草採取は20枚の所を78枚も採取していた。
「ずいぶんとたくさん集めたわね」
ラクスさんは驚いていた。
報酬は銀貨3枚だったが、溢れた分は1枚10銅貨で買取してくれた。
この世界では薬草1枚で宿屋に2泊泊まれる計算になる。それだけ外の世界というのは危険な所で、外でしか採取できない素材の価値は高いのだそうだ。
続いて、モンスター討伐の方も報告した。報告は簡単だ。ギルドカードを見せるだけなのだ。
受付嬢はカードに記載してある討伐数を確認する。俺はどうやら20体倒していたようだ。
任務の達成条件は20体だったため、ジャストだ。
達成報酬の銀貨10枚を受け取り、魔術師ギルドを後にする。
さて、ちょっと狩りでもしてくるかな。
街を歩いている時に妙な噂を聞いたのだ。
街の東門を出てまっすぐ行った先に廃神殿があるという。なんでも30年ほど前に内部で反乱が起こり、大量の死者が出たという。
以降誰も近寄らなくなり、廃墟となっているらしい。人々の間ではいわゆる肝試し的なスポットとなっているのだが、最近妙なものを見たという噂が広がっていた。
なんでも光り輝く絶世の美女がいるのだと言う。しかしその姿を見たものは皆魂を抜かれたような状態となり、帰ってきても心ここに在らずの状態なんだとか。
絶世の美女と聞いては、男としてはその姿を是非見に行く・・ではなく、そのような状態となった原因の追求と出来る事ならば解決しないといけないという使命感に苛まれたのだ。
断じて私利私欲のためではない。
しかし夜しか出てこないということなので、それまでは近くで狩りしつつ頃合いを見て廃神殿に向かうことにする。
ユイにこの事を告げると怯えていた。どうやらお化けの類は苦手なようだ。でも私がお兄ちゃんを守るからねと強がっている所がなんとも微笑ましい。
よし行こうか。
目的の場所までは歩いて30分ほどだ。そう遠くない。俺たちは近場でモンスターを相手に戦っていた。
モンスターは街の近くという事もあり、どれもレベル10以下だ。俺はもちろんユイの敵ではない。
それにしても、ユイの動きは身軽でなんというか忍者を彷彿とさせるようだ。
結局何匹に取り囲まれようが俺の出番は訪れなかった。そして辺りが段々と暗くなってきたので、俺達は目的地の場所へと向かう事にする。
しばらく進むと情報通り廃神殿が見えてきた。外壁は破壊されており、もはやどこが入り口か分からない。その名の通り、そこらじゅうが朽ちている。
という事もあり、雰囲気は出ている。お化けの1匹や2匹いてもおかしくない。
隣のユイを見ると僅かながら震えていた。
レーダーに反応はない。俺達2人は中へ入っていく。かなり入り組んで迷路のようになっている。
帰り道が分からなくならないよう所々に壁に印を残しておく。
するとレーダーに白い反応が2つ現れた。
人か?はたまた絶世の美女か?
レーダーの反応がある方へと足を進めた。
ほどなくして白い点の正体が分かった。どうやら街の住人のようだ。
倒れていたので焦ったが、どうやら気絶しているだけのようだ。外傷はなかった。
ユイが何やら反応している。
「何かが近くにいるよ!」
俺は辺りを確認した。レーダーに反応はない。
念のため杖を構える。ユイも短剣を構えている。
すると何処からともなく声が聞こえてきた。
「人族と獣人族が一緒にいるなんて珍しいわね」
男とも女とも取れるどこか幻想的な声色の正体が俺達の前に現れた。
その姿は黄金に輝いている。そして、噂通りの美女だった。
いかんいかん、見とれている場合じゃないな。
俺はユイに武器を降ろすように伝えた。
「俺はユウは、コイツは妹のユイだ。あんたは何者だ?」
すると美女は急に笑い出してしまった。どうして笑っているのか2人には分からない。
そして美女が話し出した。
「人族と獣人族の兄弟ですって?そんなの聞いた事もないですね」
そう言い、また笑い出す。
なぜだが、無性に腹が立ってきた。美女じゃなければ頭にゲンコツを落としていたかもしれない。
「ユウは私のお兄ちゃんです!」
ユイが声を荒げている。
その声に驚いたのか、笑いを止め、謝ってきた。
以外と素直だ。
「いやいや、すまなかったな。怒らすつもりはないのです。それに自己紹介がまだでしたね」
俺は考えていた。また変な流れになりそうだなと。
この美女ことセリアはお化けではなく、なんと精霊だった。
この世界における精霊というのは、人々に崇められるような存在では無く、むしろその存在すらあまり知られていない。
簡単に言うと神様の劣化版のような存在らしい。
力の面も含めて。精霊は宿主がいないと存在していられない。
ここでいう宿主とは生き物でも良いし、建造物でも形ある物ならでも良いらしい。
セリアはこの神殿を宿主としていた。セリアは浄化を得意とする精霊で何十年もかけてこの神殿を浄化してきたのだという。
そしてつい最近までかかって、浄化のほとんどが終わったらしい。
しかし残った最後の怨霊に完全浄化を阻まれていた。
セリアの力を持ってしても浄化出来ないらしい。
それでセリアはその怨霊を倒してくれる人を探していたのだそうだ。人々の前に姿を晒してまで。
「で、俺たちにその怨霊を倒して欲しいと?」
「ええ、見た所あなたも、この子もかなり実力がありそうですね。それに私自身貴方たちに少し興味がわいたの」
まぁ、悪い奴ではなさそうだし手助けすることにした。ユイもやる気だしね。
俺は承諾し、セリアと一緒に更に奥へと進んでいく。街の住人はグッスリと眠っていたのでそのままにしておいた。モンスターの気配もないし大丈夫だろう。
なぜ眠ってしまったのかをセリアに聞くと、どうもセリアと会話した人は皆眠ってしまうそうだ。
ん?なんで俺達は眠らないんだろうと疑問に思ったが、今は置いておく。
取り敢えず悪霊退治が先決だ。
それに、さっきからレーダーに反応がある。赤い点だ。しかも3つもある。
ん、ちょっと待てよ。
怨霊ってことは幽霊の類だから物理攻撃は当たらないんじゃないかという疑問をセリアに投げかけた。
するとセリアは不思議そうな顔をしている。
貴方は魔術師なのではないのですか?
ならば武器に魔術付与すればよいのでは?
と言っている。
何それ?
なんでも武器に触れて魔術を流すだけでその刀身が魔力を帯び、その魔力の属性に合わせて武器の属性が変化するのだそうだ。
よく分からないが物は試しだやってみよう。
ユイの短剣に触れ、魔力注入をイメージして刀身に魔力を流す。
”魔術付与を取得しました”
すると刀身が赤くぼんやりと光り始めた。どうやら成功したようだ。
事前準備も終わったし、行こうか。
そして俺達は怨霊と相対した。
名前「サキュラ」
レベル31
種族:ゴースト
弱点属性:火
スキル:対魔術軽減結界、怪音波、金縛りLv2
名前「サベリナ」
レベル20
種族:ゴースト
弱点属性:火
スキル:竜巻Lv2
一番レベルの高い真ん中にいる奴が本体のようだ。両サイドにサベリナというゴーストがいる。
こいつらの情報をユイに話しておく。
「俺が真ん中の奴をやるから、ユイは周りの2匹を頼む」
「了解!でも危なくなったら、すぐに下がってね!」
おっと、俺が先に言おうと思ったんだが、言われてしまったようだ。
サクッと全部一掃してもいいのだが、ものには順序っていうものがあるしね。
俺はサキュラに魔力を帯びた投石を行う。最小限に威力を抑えて。
小石はすり抜けることなく、命中したようだ。
ダメージを追ったのか、サキュラは苦しんでいる。
ユイも戦闘を開始したようだ。2刀短剣を振り回して2匹のゴーストを翻弄している。
その姿を横目で確認しながら、大丈夫そうだなと安心する。
さて、こっちもさっさとケリをつけるかな。
俺は杖をサキュアに向けて、火撃Lv1を撃つ。
サッカーボール台の火の玉の連打がサキュアに命中した。黒い煙が辺りを立ち込めた。
しかしサキュアは、ケロッとしている。
おかしいな?手加減し過ぎだろうか?
サキュアは虹色の光に包まれていた。
さっき確認した時にあったスキルか。
恐らく魔術ダメージの減だろうか。無効なんて効果だったら、どうしようもないが。
俺はそれを確かめるべく、今度は、火撃Lv3を放った。
すると今度はサキュアが燃え盛る炎で苦しんでいる。
どうやら無効ではなかったようだ。
雷撃Lv3で止めを刺す。
サキュアは跡形もなく消滅した。
ちょうどユイも2匹を相手に勝利した所だった。
苦戦もしていなかったようだ。さすが俺の妹だな。
ユイが俺に近づいてくる。
「お兄ちゃん強ーい!あの魔術カッコよかった!」
ユイもすごかったぞと頭をなでなでしてやる。
「すごいですね。私はあえてあの怨霊に魔術耐性がある事を黙っていました。それをも貫通する魔力。さぞや名の知れた方なのでしょう。それにユイちゃんの実力も相当なものですね。この若さであの身のこなし、凄いです」
「ユイはともかく、俺は平凡な魔術師さ」
ユイがサキュアを倒したドロップ品を持ってきた。
ペンダントだろうか?
名前:ホーリー・サンクチュアリ
説明:装備者を中心に半径2mの範囲にゴースト、アンデット系モンスターに対して絶対たる結界を展開する事が出来る。
殊殊効果:スキル聖域使用可能
相場:金貨500枚
希少度:★★★★★☆
とんでもない逸品じゃないかこれは。
セリアが言うには、昔ここは神を奉る神殿だったのだが、自分が神になろうなどと言う1人の反逆者がいた。それがさっき倒したサキュアなんだが、なんでも悪魔と契約して神なろうとしたのだとか。
セリア自身も詳しいことは知らないらしく、単純にこの神殿が怨念の巣窟となっていたので、何十年もかけて浄化を試みていたという。なんとも心優しき素晴らしい精霊のようだ。
このペンダントもこの神殿に保管してあった宝具ではないかと言う。
今更落とし主が名乗り出るわけもないので、とりあえずストレージに大事にしまっておく事にする。
「お二方とも、本当にありがとうございました。これで私も安心してここを離れられます」
お、成仏するのかななどと安易な考えをしていると、
「今、成仏するって思ったのでは?」
ばれてたか。と笑ってごまかす。
「あいにく私は、幽霊でも生き霊でもありませんので、ご心配なさりませんように」
「俺達も人助けが出来たようでよかったよ。セリアも達者でね」
ユイがぺこっとお辞儀をする。
するとセリアが急に光りだした。元々光ってはいたのだが、より一層目が開けられない程度にだ。そして光が収まった時、目の前には何もいなかった。
ほんとに成仏したみたいだな。なんて思っていると、下の方から声が聞こえてきた。
「どこ見てるんですか?私はここです」
えっ?と俺とユイは下を見る。
確かに何かいる。身の丈20cm程度だろうか。背中に羽が生えている。
元の世界でいう、妖精とかピクシーの類だろうか?
「これが私の精霊の本来の姿です」
「小さいんだな」
俺は率直な感想を述べる。
ユイがしゃがんで、マジマジとセリアを観察している。
「私、精霊って初めてー」
「精霊と言ってもその姿形は様々です。私のような小さなサイズであったり、人族の倍はある精霊もいますよ」
ふむ。倍もあるとか恐ろしすぎるだろ。精霊というより、巨人族だ。
「それでは、お二方ともこれからどうぞ宜しくお願いしますね」
セリアは、頭を下げたてお辞儀をしている。
はい?
俺には彼女の言っている意味が分からなかった。
「ですから、私の役目は終わりましたので、新たな宿主を探す必要があります」
それで?
「私の新しい宿主をユウさんに決めました」
「意味が良く分からないんですけど?」
「最初にも申し上げましたが、貴方たち2人に興味がわきました。お邪魔にはなりませんので私も貴方たちに同行させて下さい」
「断る!」
セリアは、何ででしょうか?という顔をしている。
「第一に俺はなるべく平穏な暮らしがしたいんだ。セリアが珍しい存在なら目立って仕方がない」
「第二に俺達は、モンスターと戦う危ない旅をしている。セリアを危険な目に合わせてしまう」
それを言い終えた直後にセリアが反論する。
「では今挙げた条件がクリアされれば同行の許可を頂きます」
ぐ・・喰い下がらなかったか。
しつこい精霊だな。正直面倒ごとはゴメンなんだけどね。
でも言ってしまったからには断れない。
「あ、ああ」
「私は別にいいよ。ユウの妹は私だけだけどね~」
そういう問題ではないのだけどね。
セリアが背中の羽で俺の目線の高さまで飛んでいた。
そして次の瞬間、消えてしまった。
元々レーダーにも精霊は反応していなかったので、俺もセリアがどこに行ってしまったのか分からない。
すると声が聞こえてきた。
「私は消える前の所にそのままいますよ」
2人はその場所に目をやる。しかし何も見えない。
姿を消せるようだ。というより普段精霊は目に見えないようだ。
「私は精霊の加護が使えます。宿主であればその効果は絶大です」
後で聞いたのだが、この加護というのが、すごいのだ。
1.自然治癒力向上
2.任意ステータス上昇(1種)
3.他の精霊を見る事ができ、会話が可能
「それと、私は実体化していない限りはモンスターの類に攻撃されることはありませんので危険はないです」
う・・。
再び姿を見せたセリアが、俺にドヤ顔をしてくる。
はぁ・・
まぁ、メリットはあるし、約束してしまったからね。
精霊の加護は俺の意思で俺の周りにいる者になら分け与えられるようなので、ユイにも使える。
「負けたよ。これから宜しく頼む」
ユイもよろしく~と言っている。
「ありがとうございます。早速ですが、精霊の契約を結んで頂きます」
セリアはそう言い、おれの顔の前まで飛んできた。
何かを唱えている。そして、セリアは俺に口づけをしてきた。
「え、ちょっ・・いきなり何をするんだ・・」
セリアはニコッとしている。
ユイが口を開けて呆然としている・・。
私だってまだお兄ちゃんとしたことないのに・・とか言ったのが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。ていうか兄弟でそんなことしないし・・。
「これで精霊契約の儀は終わりです。感じますか?精霊の加護を」
身体をポンポンと触ってみるが、特に変わった感じはしない。自分のステータスを確認した。
名前:ユウ
レベル:80
種族:人族
職種:魔術師
スキル:鑑定、魔力注入、範囲探索、投石Lv2、火撃Lv5、火嵐Lv5、水撃Lv5、吹雪Lv5、雷撃Lv5、雷嵐Lv5、風撃Lv5、衝撃波Lv5、重力Lv3、治癒Lv3、浮遊術Lv3、石壁Lv3、氷壁Lv3、範囲結界Lv3、速度強化速度強化Lv3、状態回復Lv3、念話、魔術付与
称号:異世界人、竜王を討伐せし者
特殊効果:精霊の加護
たしかに加護の文字が見えるな。ん、いつの間にか魔術付与__エンチャント__#を覚えていたようだ。
まぁ、とりあえずいつまでもこんな所にいる理由もない、当初の目的も果たしたしね。
俺は寝ていた街の住人を担ぎ上げ、街まで戻った。もちろんセリアも一緒だ。
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第2幕、連載開始しました!
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以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
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常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
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