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第百九十一話:合宿2
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俺は、あるお願いをする為に日課もとい週課となっているエレナの元を訪れていた。
「おはよう、エレナ」
「おはようございますユウ様」
朝一番だった事もあり、エレナは白色のネグリジェを身に纏っている。
今となっては、何度も見慣れているので問題はないが、最初の頃は目のやり場にこまったのを覚えている。
エレナもそんな俺の反応を面白がってか、頬を薄ピンクに染めながらも、敢えて近付き反応を伺っていた。
「今日は、エレナに一つお願いがあって来たんだ」
「珍しいですね、ユウ様が私にお願いなんて」
まずは、直近の出来事を説明し、一時的とは言え、新たにハイエルフの二人が仲間になった事を説明した。
「相変わらずユウ様の周りには女性の方ばかり集まってきますね・・・・・少しだけ嫉妬します」
最後の方は小声でボソボソと喋っていた為、よく聞き取れなかった。
「それでお願いというのは、3日間だけこっちに来れないかな?」
「王宮作法の合宿中にユイさんたちと一緒に居て欲しいって事ですよね」
「そうなんだ。あれでいて、まだまだ世間知らずな面があるから、一人にすると危なっかしくて見てられないんだよな。それに悪い虫がついても困るしさ」
「ユイさんたちに限っては、後者は心配ないとは思いますけど、、」
「相手が実力行使でくるなら、まず心配ないんだけどね。言葉巧みに近寄ってこられると、すぐに騙されると思うんだ」
「そうならないように、普段からちゃんと教えてあげないとダメですよ。ユウ様は、ユイさんのお兄さん的な立場なんですから」
確かにエレナの言う通りなので、返す言葉がない。
「どうしましょうかね、私も立場上、色々と忙しい身なんですよね~」
少し意地悪げな顔をするエレナ。
「頼むよエレナ。この通りだ」
両手を合わせて頭を下げる。
「そこまで言うのでしたらしょうがないですね」
「恩にきるよ。こんな事エレナにしか頼めないから」
「それで、私からも一つお願いがあります」
エレナは、少しだけ頬を赤らめモジモジしている。
「そのまま暫く、ユウ様の旅に同行してもいいでしょうか?」
「え?俺は大歓迎だけど、エレナの方こそ大丈夫なの?」
エレナは、エルフの里では姫様という身分を持っている。実は、以前にも一緒に旅をしないかと誘った事がある。しかし、立場上、おいそれと里を離れる事が出来ないと以前に聞いていた。
「実は、見聞を広げる旅という名目で既に両親からの許可を取っているんです。お父様もユウ様ならば安心出来ると太鼓判を押してくださいましたよ」
「ははは、そういえば、エレナの両親にも暫く挨拶してなかったし、そういう事なら、ちゃんと挨拶しておくかな」
「いえ、その必要はありません。両親の気が変わっても困りますので、すぐにでも出発しましょう。私は支度と出発の挨拶だけ済ませて来ますので、ユウ様はここに居て下さい」
そのまま逃げるように自室を出るエレナ。
「一時的とはいえ、流石に大事な一人娘を連れ出すんだから、俺自身も挨拶しておかないとダメだよな・・」
悩んでいると、外行の服に着替え終わったエレナが戻って来た。
白のワンピースと長髪がよく似合っている。
最近は、寝間着姿しか見ていなかったので、新鮮さに一瞬だが、目を奪われてしまった。
「どうでしょうか?似合いますか?」
両手でスカートの裾を摘んでポーズをとっている。
「うん、凄く良く似合ってるよ」
単調な感想だけど、それ以外に何も頭に思いつかなかった。
見惚れていたせいもあるかもしれない。
お世辞ではなく、本当に似合っていたのだから。
やっぱり、俺の中ではエレナが一番だよな・・。
(告白したらいいじゃないですか。両想いなんですし)
「え?」
突然の精霊セリアの問い掛けにビックリして思わず声を出してしまった。
「どうかしました?」
「あ、ううん、なんでもないよ。それより、本当に挨拶しなくてもいいの?」
話題を逸らして誤魔化す。
(セリアめ・・・後で覚えてろよ・・・)
セリアは、クスクスと笑っていた。
「はい、ユウ様はお忙しい身ですからと、言い訳してありますから」
えっと、それだと、俺のせい?じゃないかな・・・まぁ、エレナがそういうなら、良いんだけどね。
というような事もあり、俺はエレナを連れて戻って来た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ユウ。わざわざ妾が迎えに来てやったぞ」
宿を訪ねて来たのは、やはりムー王女だった。
「おはよう。でもなんで、迎え?なんだよ。見た所、護衛も連れていないようだけど」
「前に言ったであろう?其方の仲間たちを紹介してもらうぞと。いつまで経っても妾の元に連れてこないから妾の方から来たまでじゃ」
そういえば、そんなこと言ってたな。
「そうだったな。じゃ、改めて紹介するよ」
俺は順に名前を言って、呼ばれたら会釈する。
自分で名乗ってくれてもいいのだが、この国の王女様を前に、僅かばかり緊張しているようだ。
逆に、一般人である俺がタメ口で堂々と話している方がおかしいのかもしれない。
いや、もう一般人じゃなくなるのか・・。
「改めて、妾は現国王の娘であるムーじゃ。ユウには色々と世話になっている。それと此度の討伐の件、ここに居る皆の力もあってこそ成し遂げる事が出来たと聞いておる。この国を代表して心より感謝させて頂きたい。本当にありがとう。ささやかながら、其方たちに望むものを何か一つ与えたいと思っておる。いつでも良いので、欲しいものが決まれば連絡をくれ」
「いやに羽振りがいいな」
「それだけ、今回の件、我が国にもかなりの利益が産まれたという事らしいな」
各国から莫大な報奨金でも出たのだろうか?
政治絡みは、知識も興味はないので、聞かないでおく。
「本当なら断るとこなんだけど、出たくもない授与式にも参加する訳だから、報酬もキッチリ貰う事にするよ。あげく妹たちが法外なものを要求しても恨むなよ?」
「遠慮は無用じゃ。絶対に望む物が準備出来るかどうかは分からんが、国王がどうとでもするじゃろて」
「まぁ、という訳だ。俺が戻る3日後までにみんな欲しい物をそれぞれ一つ考えといてくれ」
「「はーい!」」
「では、いくかの」
しばしのお別れだ。
「いいかみんな。俺がいない間、ちゃんとエレナお姉ちゃんの言う事を聞くんだぞ」
「「はーい!」」
返事だけはほんと、良いんだよな。
「じゃあ、エレナ悪いけど後は頼むよ」
「分かりました。ユウ様こそ、大変でしょうけど、頑張って下さいね」
俺は皆と別れ、ムー王女と一緒にバーン帝国王城へと向かった。
「良い仲間たちじゃな。良く慕われておるし、羨ましい限りじゃ」
「慕われって言ったら、ムー王女だって、俺なんかとは比べ物にならない程の人々に慕われているだろ?」
「ふん。分かっとらんな・・・。まぁ、この話は終わりじゃ。まずは、ユウがこの3日間寝泊りする場所へ向かうぞ」
一体どんな豪華な部屋があてがわれるのかと思いきや・・・と見せかけて、まさかのボロ部屋の可能性はあるかもしれないとまでは想像していた。
しかし、流石にこれは想像していなかった。
いや、うん、確かに超豪華な部屋ではあるんだけど、何か、この部屋以前来た事があるのは気のせいだろうか?
「ていうか、ここ、ムー王女の寝室だろ」
「そうじゃが、何か問題か?」
「いやいや、問題大有りじゃないか?同じ部屋で男女が寝泊りとか、ましてや王女だろ・・」
「当の妾が問題ないと言っておるんじゃ、男ならグダグダ言わずに覚悟を決めたらどうじゃ?時間はないんじゃ。僅かな時間も無駄には出来んのだぞ?手取り足取り教える為には、同じ部屋の方が良いのじゃ」
「ま、まぁ、そういう事なら・・」
「ん、何か別な事を想像していたのか?」
ムー王女は、妖艶な笑みを浮かべながら俺の反応を楽しんでいるようだ。
彼女絶対Sだよな・・。
「まぁ、冗談はさておき、早速始めるとするかの」
ムー王女は、部屋奥のクローゼットの中を開けて、ゴソゴソと何やら探している。
それにしても、クローゼットの中には夥しい数の服が陳列されている。
クローゼットだけで、この広い空間の3分の1を占拠していた。
色取り取りの鮮やかな服が並ぶ一方、着ぐるみめいた物や明らかな肌面積の少ない俗に言う踊り子衣装のような物まで見えた。
ついついムー王女がそれを着ている姿を想像してしまう。
「何か変な想像してないかの?」
図星な内容に一瞬言葉を詰まらせるが、ポーカーフェイスを何とか保ちきる事に成功した。
「いや、こんなにたくさんの服があったら、毎日どれ着るか悩むよなと思ってさ」
「そうでもないぞ。何事も即断速結が妾のモットーじゃ」
暫く待っていると、奥でブツブツと喋っていたムー王女が戻って来る。
その手には男物の衣服を何着か手にしていた。
「早速これに着替えて貰うかな」
いかにもな貴族が着てそうな服が見えている。
黒字に金色の刺繍。襟元には白いモコモコがあり、下を向くのにいちいち抵抗を感じそうだった。
細身のロングブーツに宝石を飾った剣まで・・。
仮装大会の参加衣装か?
「これ、本当に俺が着るのか?」
「でなければ、わざわざ持って来たりはせぬ」
「そうだよな・・・」
着替えるために、部屋を出ようとしたところ、ムー王女に呼び止められた。
「何処にいくつもりじゃ?まさかもう根をあげて逃げ出すとか言うんじゃあるまいな」
「違うよ!着替えるから一時退室するだけだよ!」
「ここで着替えれば良いじゃろ。別に知らぬ間柄じゃあるまいし」
まじかよ・・。
まぁ、別に下着はそのままだから、何の問題もないんだけど。。
一応ね、だって相手は一応王女だし。
失礼な真似をしたらそれこそ命がないかなってね。
「今、変な事を考えている目をしておるぞ」
「ないよ。ないない」
あぶね。そういえば、ムー王女は、曲がりなりにもエスナ先生と同じ魔女だったな。抜け目がないと言うか、勘が鋭いところは流石だ。
「で、これでいいんだろ」
初めて着る貴族の服に多少は戸惑いながらも、これしかないだろうと着てみたが、、
「全然だめじゃ。なっておらん」
「何処がだよ!」
「まず、上着の上下が逆じゃ」
「な・・・」
「貴族たる者、いつ如何なる時も正装に心掛けねばならんのじゃ。じゃから、表裏一体で、二つの用途に様変わりする物が主流となっておる。今其方が着ている側は、祭り事などで着る軽装じゃ」
そんなの分かる訳がないだろう。
ていうか、そのまま着たら逆だったんだから、知っていて持って来たな・・。
はぁ、、先が思いやられる・・・ユイたちは、元気にしているだろうか・・
「おはよう、エレナ」
「おはようございますユウ様」
朝一番だった事もあり、エレナは白色のネグリジェを身に纏っている。
今となっては、何度も見慣れているので問題はないが、最初の頃は目のやり場にこまったのを覚えている。
エレナもそんな俺の反応を面白がってか、頬を薄ピンクに染めながらも、敢えて近付き反応を伺っていた。
「今日は、エレナに一つお願いがあって来たんだ」
「珍しいですね、ユウ様が私にお願いなんて」
まずは、直近の出来事を説明し、一時的とは言え、新たにハイエルフの二人が仲間になった事を説明した。
「相変わらずユウ様の周りには女性の方ばかり集まってきますね・・・・・少しだけ嫉妬します」
最後の方は小声でボソボソと喋っていた為、よく聞き取れなかった。
「それでお願いというのは、3日間だけこっちに来れないかな?」
「王宮作法の合宿中にユイさんたちと一緒に居て欲しいって事ですよね」
「そうなんだ。あれでいて、まだまだ世間知らずな面があるから、一人にすると危なっかしくて見てられないんだよな。それに悪い虫がついても困るしさ」
「ユイさんたちに限っては、後者は心配ないとは思いますけど、、」
「相手が実力行使でくるなら、まず心配ないんだけどね。言葉巧みに近寄ってこられると、すぐに騙されると思うんだ」
「そうならないように、普段からちゃんと教えてあげないとダメですよ。ユウ様は、ユイさんのお兄さん的な立場なんですから」
確かにエレナの言う通りなので、返す言葉がない。
「どうしましょうかね、私も立場上、色々と忙しい身なんですよね~」
少し意地悪げな顔をするエレナ。
「頼むよエレナ。この通りだ」
両手を合わせて頭を下げる。
「そこまで言うのでしたらしょうがないですね」
「恩にきるよ。こんな事エレナにしか頼めないから」
「それで、私からも一つお願いがあります」
エレナは、少しだけ頬を赤らめモジモジしている。
「そのまま暫く、ユウ様の旅に同行してもいいでしょうか?」
「え?俺は大歓迎だけど、エレナの方こそ大丈夫なの?」
エレナは、エルフの里では姫様という身分を持っている。実は、以前にも一緒に旅をしないかと誘った事がある。しかし、立場上、おいそれと里を離れる事が出来ないと以前に聞いていた。
「実は、見聞を広げる旅という名目で既に両親からの許可を取っているんです。お父様もユウ様ならば安心出来ると太鼓判を押してくださいましたよ」
「ははは、そういえば、エレナの両親にも暫く挨拶してなかったし、そういう事なら、ちゃんと挨拶しておくかな」
「いえ、その必要はありません。両親の気が変わっても困りますので、すぐにでも出発しましょう。私は支度と出発の挨拶だけ済ませて来ますので、ユウ様はここに居て下さい」
そのまま逃げるように自室を出るエレナ。
「一時的とはいえ、流石に大事な一人娘を連れ出すんだから、俺自身も挨拶しておかないとダメだよな・・」
悩んでいると、外行の服に着替え終わったエレナが戻って来た。
白のワンピースと長髪がよく似合っている。
最近は、寝間着姿しか見ていなかったので、新鮮さに一瞬だが、目を奪われてしまった。
「どうでしょうか?似合いますか?」
両手でスカートの裾を摘んでポーズをとっている。
「うん、凄く良く似合ってるよ」
単調な感想だけど、それ以外に何も頭に思いつかなかった。
見惚れていたせいもあるかもしれない。
お世辞ではなく、本当に似合っていたのだから。
やっぱり、俺の中ではエレナが一番だよな・・。
(告白したらいいじゃないですか。両想いなんですし)
「え?」
突然の精霊セリアの問い掛けにビックリして思わず声を出してしまった。
「どうかしました?」
「あ、ううん、なんでもないよ。それより、本当に挨拶しなくてもいいの?」
話題を逸らして誤魔化す。
(セリアめ・・・後で覚えてろよ・・・)
セリアは、クスクスと笑っていた。
「はい、ユウ様はお忙しい身ですからと、言い訳してありますから」
えっと、それだと、俺のせい?じゃないかな・・・まぁ、エレナがそういうなら、良いんだけどね。
というような事もあり、俺はエレナを連れて戻って来た。
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「ユウ。わざわざ妾が迎えに来てやったぞ」
宿を訪ねて来たのは、やはりムー王女だった。
「おはよう。でもなんで、迎え?なんだよ。見た所、護衛も連れていないようだけど」
「前に言ったであろう?其方の仲間たちを紹介してもらうぞと。いつまで経っても妾の元に連れてこないから妾の方から来たまでじゃ」
そういえば、そんなこと言ってたな。
「そうだったな。じゃ、改めて紹介するよ」
俺は順に名前を言って、呼ばれたら会釈する。
自分で名乗ってくれてもいいのだが、この国の王女様を前に、僅かばかり緊張しているようだ。
逆に、一般人である俺がタメ口で堂々と話している方がおかしいのかもしれない。
いや、もう一般人じゃなくなるのか・・。
「改めて、妾は現国王の娘であるムーじゃ。ユウには色々と世話になっている。それと此度の討伐の件、ここに居る皆の力もあってこそ成し遂げる事が出来たと聞いておる。この国を代表して心より感謝させて頂きたい。本当にありがとう。ささやかながら、其方たちに望むものを何か一つ与えたいと思っておる。いつでも良いので、欲しいものが決まれば連絡をくれ」
「いやに羽振りがいいな」
「それだけ、今回の件、我が国にもかなりの利益が産まれたという事らしいな」
各国から莫大な報奨金でも出たのだろうか?
政治絡みは、知識も興味はないので、聞かないでおく。
「本当なら断るとこなんだけど、出たくもない授与式にも参加する訳だから、報酬もキッチリ貰う事にするよ。あげく妹たちが法外なものを要求しても恨むなよ?」
「遠慮は無用じゃ。絶対に望む物が準備出来るかどうかは分からんが、国王がどうとでもするじゃろて」
「まぁ、という訳だ。俺が戻る3日後までにみんな欲しい物をそれぞれ一つ考えといてくれ」
「「はーい!」」
「では、いくかの」
しばしのお別れだ。
「いいかみんな。俺がいない間、ちゃんとエレナお姉ちゃんの言う事を聞くんだぞ」
「「はーい!」」
返事だけはほんと、良いんだよな。
「じゃあ、エレナ悪いけど後は頼むよ」
「分かりました。ユウ様こそ、大変でしょうけど、頑張って下さいね」
俺は皆と別れ、ムー王女と一緒にバーン帝国王城へと向かった。
「良い仲間たちじゃな。良く慕われておるし、羨ましい限りじゃ」
「慕われって言ったら、ムー王女だって、俺なんかとは比べ物にならない程の人々に慕われているだろ?」
「ふん。分かっとらんな・・・。まぁ、この話は終わりじゃ。まずは、ユウがこの3日間寝泊りする場所へ向かうぞ」
一体どんな豪華な部屋があてがわれるのかと思いきや・・・と見せかけて、まさかのボロ部屋の可能性はあるかもしれないとまでは想像していた。
しかし、流石にこれは想像していなかった。
いや、うん、確かに超豪華な部屋ではあるんだけど、何か、この部屋以前来た事があるのは気のせいだろうか?
「ていうか、ここ、ムー王女の寝室だろ」
「そうじゃが、何か問題か?」
「いやいや、問題大有りじゃないか?同じ部屋で男女が寝泊りとか、ましてや王女だろ・・」
「当の妾が問題ないと言っておるんじゃ、男ならグダグダ言わずに覚悟を決めたらどうじゃ?時間はないんじゃ。僅かな時間も無駄には出来んのだぞ?手取り足取り教える為には、同じ部屋の方が良いのじゃ」
「ま、まぁ、そういう事なら・・」
「ん、何か別な事を想像していたのか?」
ムー王女は、妖艶な笑みを浮かべながら俺の反応を楽しんでいるようだ。
彼女絶対Sだよな・・。
「まぁ、冗談はさておき、早速始めるとするかの」
ムー王女は、部屋奥のクローゼットの中を開けて、ゴソゴソと何やら探している。
それにしても、クローゼットの中には夥しい数の服が陳列されている。
クローゼットだけで、この広い空間の3分の1を占拠していた。
色取り取りの鮮やかな服が並ぶ一方、着ぐるみめいた物や明らかな肌面積の少ない俗に言う踊り子衣装のような物まで見えた。
ついついムー王女がそれを着ている姿を想像してしまう。
「何か変な想像してないかの?」
図星な内容に一瞬言葉を詰まらせるが、ポーカーフェイスを何とか保ちきる事に成功した。
「いや、こんなにたくさんの服があったら、毎日どれ着るか悩むよなと思ってさ」
「そうでもないぞ。何事も即断速結が妾のモットーじゃ」
暫く待っていると、奥でブツブツと喋っていたムー王女が戻って来る。
その手には男物の衣服を何着か手にしていた。
「早速これに着替えて貰うかな」
いかにもな貴族が着てそうな服が見えている。
黒字に金色の刺繍。襟元には白いモコモコがあり、下を向くのにいちいち抵抗を感じそうだった。
細身のロングブーツに宝石を飾った剣まで・・。
仮装大会の参加衣装か?
「これ、本当に俺が着るのか?」
「でなければ、わざわざ持って来たりはせぬ」
「そうだよな・・・」
着替えるために、部屋を出ようとしたところ、ムー王女に呼び止められた。
「何処にいくつもりじゃ?まさかもう根をあげて逃げ出すとか言うんじゃあるまいな」
「違うよ!着替えるから一時退室するだけだよ!」
「ここで着替えれば良いじゃろ。別に知らぬ間柄じゃあるまいし」
まじかよ・・。
まぁ、別に下着はそのままだから、何の問題もないんだけど。。
一応ね、だって相手は一応王女だし。
失礼な真似をしたらそれこそ命がないかなってね。
「今、変な事を考えている目をしておるぞ」
「ないよ。ないない」
あぶね。そういえば、ムー王女は、曲がりなりにもエスナ先生と同じ魔女だったな。抜け目がないと言うか、勘が鋭いところは流石だ。
「で、これでいいんだろ」
初めて着る貴族の服に多少は戸惑いながらも、これしかないだろうと着てみたが、、
「全然だめじゃ。なっておらん」
「何処がだよ!」
「まず、上着の上下が逆じゃ」
「な・・・」
「貴族たる者、いつ如何なる時も正装に心掛けねばならんのじゃ。じゃから、表裏一体で、二つの用途に様変わりする物が主流となっておる。今其方が着ている側は、祭り事などで着る軽装じゃ」
そんなの分かる訳がないだろう。
ていうか、そのまま着たら逆だったんだから、知っていて持って来たな・・。
はぁ、、先が思いやられる・・・ユイたちは、元気にしているだろうか・・
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