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第二百二十話: ダガレス奪還4
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突如として氷河期が訪れたかのように、目の前の世界が凍りついていた。
「首の位置まで凍らせておきました。これで容易に洗脳が解除出来ます」
はははっ、こええ…
一瞬にして凍らされたら、俺だって回避しようがない。
仲間である事にホッとする一面、心強くも思う。
「流石だな。助かったよ」
そして、兜を取り外そうと近付いた矢先だった。
突如として、甲冑騎士が眩い光を帯び始めた。
マズいぞ。
この感じ、以前にも経験がある。
あれは、山のような巨大カタツムリが最期に取った行動と同じだった。
自爆だ。
すぐに障壁を展開するべく、ジラの元へ移動しようと駆け出そうとした…はずだった。
ぐっ! 足が動かない。
超重力か何かで上からの圧力で押さえらているようだ。全く動かす事が出来ない。
チラリとジラの様子を伺うに、どうやらあちらも同じ状態のようだ。
障壁だとジラに届かないと判断し、広範囲の防壁を使用する。
障壁に比べると防御力は劣るが、ないよりはマシだろう。
展開が終わると同時に甲冑騎士が案の定、大爆発を引き起こす。
けたたましい轟音と凄まじい衝撃波が俺達を襲う。
いつの間にやら超重力の効果が消え、防壁内での移動が可能となった。
ジラが寄って来るのを横目で確認する。
轟音とともにパリリと言う音が鳴り響く。
3枚目の防壁が破られた音だった。
衝撃に飛ばされそうになる俺をジラが後ろから支える。
この防壁、かなり燃費が悪く、連続使用、多重で展開する度に消費する魔力が二乗になっていく。
既に5枚までの防壁を張り終え、自身の残魔力を確認すると、既に半分を切っていた。
そうして何とか凌いでいる内に、爆発による閃光と轟音が次第に小さくなっていく。
「終わりだな」
どうやら耐え切ったようだ。
次第に視界も鮮明になり、驚いたのは、謁見の間の外壁が健在だった事だ。
中の装飾品や机などの類は、全て消滅していたが、部屋の機能自体はまだ果たしていた。
相当に強い結界がこの部屋には張り巡らされていたのだろう。
これが、元々の仕様なのか奴等の仕業なのかは定かではない。
「流石ですねユウ様」
隣にいたジラが感嘆の声をもらす。
「今のは少しヤバかったな。おかげで魔力をごっそり持っていかれたぞ」
半身が氷漬けにされていた甲冑騎士の姿はそこにはなかった。
範囲探索にも敵対を示す反応はない。
背後の扉からドンドンッと、衝撃音が聞こえたかと思うと、盛大に謁見の間の大扉がこじ開けられ、片方の扉が数メートル程宙を舞った。
すぐさまクロが飛び込んで来る。
慌てていた表情から一転、俺達の無事な姿を目にすると、いつものクールなクロの表情に戻っていた。
ククルとそのお供と道中に開放した未だ意識を失っているエルフの人達を抱えて、クリスさん達の待つプラメルの里へと転移した。
「ユウ様、お帰りなさい。ジラ様もクロちゃんも無事で良かったです」
真っ先に出迎えてくれたのは、エレナだった。
「ただいまエレナ」
その後、場所を変えてダガレスでの出来事を掻い摘んで説明した。
そして、プラメル同様に一般市民が家の中に監禁状態である事を伝えた。
「すぐに市民の救助が必要ですね。分かりました。そちらは私が段取りします。プラメルの皆さんにも手伝って貰いますね」
「頼むよ。そういえば、クリスさん達は今どこに?」
「クリスティーナ様は、恐らく父と一緒だと思います。他の方達は、離れの御所で休んでおられます」
ダガレスでの最後の出来事をクリスさんには伝えた方がいいだろう。
王城で、すれ違いざまにエルフの人達から会釈され、(わぁ、英雄様よ)だとか、(英雄様万歳!)だとか言われてしまった。
全くもって反応に困る。
王の元に向かう一本道でクリスさんの姿が見えた。
あちらもこっちに気が付いたのか、駆け足で寄って来て、頭を下げる。
仮にも王妃様が頭を下げて良いものだろうか?
「英雄様、此度は我がエルフの里をお救い頂き、本当にありがとうございました。本当に本当にありがとうございました」
クリスさんは、再び深いお辞儀をする。
クリスさんの隣にいるのは、従者かメイドか不明だが、妙齢の女性が隣に付き従っていた。
「頭を上げて下さい。王妃様が俺なんかに頭を下げては、里の人たちに示しがつきませんよ」
言ってチラリと隣の女性へと目を向けるが、終始穏やかな表情を崩す事は無かった。
「私達エルフは、感謝する時に、王も民も関係ありません。誰かに言われて頭を下げるのではなく、頭を下げたいと思った時に下げるのです。そこに身分などは関係ないと私は思います。それに気を使って頂かなくても、となりの者は私の母君ですよ」
ええええ…
って、そうだよな。エルフに見た目は通用しないんだよな。
若干諦めたように呆れ顔をしていると、
「初めまして、まだ名乗って事がありませんでしたね。ダガレスの王クリスティーナの母、サララークテリアです。以後お見知り置きを。英雄様」
「ど、どうも」
少し話が脱線してしまったが、本来の目的であるダガレスの王の最期を見たままに説明した。
「そうですか…」
クリスさんは、目を瞑り手を合わせる。
恐らく亡き王に祈りを捧げているのだろう。
「私達は、こんな事をしでかした連中を決して許しません。先程、確かな情報が入りました。他のエルフの里も同様の被害に遭っていると。まずはこれの解決を急がねばなりません」
やはり、他のエルフの里も奴等の統治下に置かれていたのか。
だけど、俺達が直接出向き、一つ一つ解決して行ったのでは、時間が掛かり過ぎる。
それに、言い方は悪いが他の7大魔王の動向も気になるし、何より、この危険性を早く全世界に伝える必要がある。
「何を考えておられるのかは大体察しがつきます。それを承知で英雄様にお願いがあります」
この、全てを見透かされているような瞳。エレナの母親であるシャロンさんみたいな感じだな。
「何でしょうか?」
「奴等を倒して下さい」
奴等とは、恐らく7大魔王の事なのだろう。
「ロイド王から全て聞きました。此度のエルフの里襲撃の黒幕や、英雄様が其奴らを追っている事。また、危険に晒されているのは私達エルフの民だけではないという事を。ですので、もう一度言います。奴等を倒して下さい」
クリスさんから注がれる真っ直ぐな視線。
自里が被害に遭いながらも他者の事を思いやれる人は少ないと思う。
クリスさんは、王である夫を亡くして辛いだろう。
だけど、悲しんではいられないのもまた事実だ。
王なき今、階級的に次の王はクリスさんだ。
当然それは本人も分かっているはず。
ならば、1人のエルフとしてではなく、民を導く王としての行動を取らなければならない。
「俺に出来る限りの事はやるつもりです」
「ありがとう。これ以上、被害を拡大したくはありませんからね。エルフの里については、こちらに考えがあります」
その話をする為に、ロイド王と会っていたそうだ。
「もうじき、エルフ超会議が始まります」
何そのかっこいい名前!
エルフ超会議とは、エルフの里の代表者5人以上の要請で開催される決まりとなっており、今回の7大魔王によるエルフの里襲撃を重く見た各エルフの里の代表者達の要請により、開催が決定したようだ。
エルフ、ハイエルフからなるエルフの里連合に今回は、エルフ達と一線を置いていたダークエルフ達も参加するようだ。
というのも、ダークエルフ達もまた、7大魔王のターゲットにされているからだ。
エルフの里同士は、緊急の時だけ使用出来る、里間の連絡手段と、都市間トランスゲートがある。
これらを用いて、連絡を取り合い、この度エルフ超会議が開催される。
ちなみに、今までエルフ超会議が開催された事は、1度しかなかったようだ。
参加者は、それぞれの里から2名までとの事だ。
エルフ達の中でも特に戦闘能力に優れた者達で結成されている組織ラグール。
彼等には、占拠されたエルフの里の救出任務が降るだろうという事だ。
現に、彼等の所属していたエルフの里は、洗脳による占拠を撃退しているのだ。
それならば、俺達が出張らなくても問題ないだろう。
エルフ超会議に興味はあるが、今は俺にしか出来ない事をするだけだ。
クリスさんと別れた後、再びエレナの元へと戻る。
「え、エレナが出席するの?」
「はい、お父様と一緒にもうすぐ出発する予定です」
プラメルの代表として、王であるエレナの父と娘のエレナの2名が参加するようだ。
「気をつけるんだぞ。本当なら、一緒について行きたいんだけど」
「大丈夫です。都市間トランスゲートを数回潜るだけですから。私よりもユウ様の方こそ気を付けて下さいよ」
「ユウは私達が守る」
後ろにいたクロが袖をギュッと掴む。
こういう仕草は、年相応で可愛らしいんだけどな。
うん、以前と変わらない。
だけど戦闘時は、以前とは全く別物だけどな。
「そうですね、此の身に変えてもユウ様は守ります」
ジラもクロに続く。
エレナが頷く。
「頼もしいな。頼りにしてるよ」
そうして俺達は、プラメルを後にした。
「首の位置まで凍らせておきました。これで容易に洗脳が解除出来ます」
はははっ、こええ…
一瞬にして凍らされたら、俺だって回避しようがない。
仲間である事にホッとする一面、心強くも思う。
「流石だな。助かったよ」
そして、兜を取り外そうと近付いた矢先だった。
突如として、甲冑騎士が眩い光を帯び始めた。
マズいぞ。
この感じ、以前にも経験がある。
あれは、山のような巨大カタツムリが最期に取った行動と同じだった。
自爆だ。
すぐに障壁を展開するべく、ジラの元へ移動しようと駆け出そうとした…はずだった。
ぐっ! 足が動かない。
超重力か何かで上からの圧力で押さえらているようだ。全く動かす事が出来ない。
チラリとジラの様子を伺うに、どうやらあちらも同じ状態のようだ。
障壁だとジラに届かないと判断し、広範囲の防壁を使用する。
障壁に比べると防御力は劣るが、ないよりはマシだろう。
展開が終わると同時に甲冑騎士が案の定、大爆発を引き起こす。
けたたましい轟音と凄まじい衝撃波が俺達を襲う。
いつの間にやら超重力の効果が消え、防壁内での移動が可能となった。
ジラが寄って来るのを横目で確認する。
轟音とともにパリリと言う音が鳴り響く。
3枚目の防壁が破られた音だった。
衝撃に飛ばされそうになる俺をジラが後ろから支える。
この防壁、かなり燃費が悪く、連続使用、多重で展開する度に消費する魔力が二乗になっていく。
既に5枚までの防壁を張り終え、自身の残魔力を確認すると、既に半分を切っていた。
そうして何とか凌いでいる内に、爆発による閃光と轟音が次第に小さくなっていく。
「終わりだな」
どうやら耐え切ったようだ。
次第に視界も鮮明になり、驚いたのは、謁見の間の外壁が健在だった事だ。
中の装飾品や机などの類は、全て消滅していたが、部屋の機能自体はまだ果たしていた。
相当に強い結界がこの部屋には張り巡らされていたのだろう。
これが、元々の仕様なのか奴等の仕業なのかは定かではない。
「流石ですねユウ様」
隣にいたジラが感嘆の声をもらす。
「今のは少しヤバかったな。おかげで魔力をごっそり持っていかれたぞ」
半身が氷漬けにされていた甲冑騎士の姿はそこにはなかった。
範囲探索にも敵対を示す反応はない。
背後の扉からドンドンッと、衝撃音が聞こえたかと思うと、盛大に謁見の間の大扉がこじ開けられ、片方の扉が数メートル程宙を舞った。
すぐさまクロが飛び込んで来る。
慌てていた表情から一転、俺達の無事な姿を目にすると、いつものクールなクロの表情に戻っていた。
ククルとそのお供と道中に開放した未だ意識を失っているエルフの人達を抱えて、クリスさん達の待つプラメルの里へと転移した。
「ユウ様、お帰りなさい。ジラ様もクロちゃんも無事で良かったです」
真っ先に出迎えてくれたのは、エレナだった。
「ただいまエレナ」
その後、場所を変えてダガレスでの出来事を掻い摘んで説明した。
そして、プラメル同様に一般市民が家の中に監禁状態である事を伝えた。
「すぐに市民の救助が必要ですね。分かりました。そちらは私が段取りします。プラメルの皆さんにも手伝って貰いますね」
「頼むよ。そういえば、クリスさん達は今どこに?」
「クリスティーナ様は、恐らく父と一緒だと思います。他の方達は、離れの御所で休んでおられます」
ダガレスでの最後の出来事をクリスさんには伝えた方がいいだろう。
王城で、すれ違いざまにエルフの人達から会釈され、(わぁ、英雄様よ)だとか、(英雄様万歳!)だとか言われてしまった。
全くもって反応に困る。
王の元に向かう一本道でクリスさんの姿が見えた。
あちらもこっちに気が付いたのか、駆け足で寄って来て、頭を下げる。
仮にも王妃様が頭を下げて良いものだろうか?
「英雄様、此度は我がエルフの里をお救い頂き、本当にありがとうございました。本当に本当にありがとうございました」
クリスさんは、再び深いお辞儀をする。
クリスさんの隣にいるのは、従者かメイドか不明だが、妙齢の女性が隣に付き従っていた。
「頭を上げて下さい。王妃様が俺なんかに頭を下げては、里の人たちに示しがつきませんよ」
言ってチラリと隣の女性へと目を向けるが、終始穏やかな表情を崩す事は無かった。
「私達エルフは、感謝する時に、王も民も関係ありません。誰かに言われて頭を下げるのではなく、頭を下げたいと思った時に下げるのです。そこに身分などは関係ないと私は思います。それに気を使って頂かなくても、となりの者は私の母君ですよ」
ええええ…
って、そうだよな。エルフに見た目は通用しないんだよな。
若干諦めたように呆れ顔をしていると、
「初めまして、まだ名乗って事がありませんでしたね。ダガレスの王クリスティーナの母、サララークテリアです。以後お見知り置きを。英雄様」
「ど、どうも」
少し話が脱線してしまったが、本来の目的であるダガレスの王の最期を見たままに説明した。
「そうですか…」
クリスさんは、目を瞑り手を合わせる。
恐らく亡き王に祈りを捧げているのだろう。
「私達は、こんな事をしでかした連中を決して許しません。先程、確かな情報が入りました。他のエルフの里も同様の被害に遭っていると。まずはこれの解決を急がねばなりません」
やはり、他のエルフの里も奴等の統治下に置かれていたのか。
だけど、俺達が直接出向き、一つ一つ解決して行ったのでは、時間が掛かり過ぎる。
それに、言い方は悪いが他の7大魔王の動向も気になるし、何より、この危険性を早く全世界に伝える必要がある。
「何を考えておられるのかは大体察しがつきます。それを承知で英雄様にお願いがあります」
この、全てを見透かされているような瞳。エレナの母親であるシャロンさんみたいな感じだな。
「何でしょうか?」
「奴等を倒して下さい」
奴等とは、恐らく7大魔王の事なのだろう。
「ロイド王から全て聞きました。此度のエルフの里襲撃の黒幕や、英雄様が其奴らを追っている事。また、危険に晒されているのは私達エルフの民だけではないという事を。ですので、もう一度言います。奴等を倒して下さい」
クリスさんから注がれる真っ直ぐな視線。
自里が被害に遭いながらも他者の事を思いやれる人は少ないと思う。
クリスさんは、王である夫を亡くして辛いだろう。
だけど、悲しんではいられないのもまた事実だ。
王なき今、階級的に次の王はクリスさんだ。
当然それは本人も分かっているはず。
ならば、1人のエルフとしてではなく、民を導く王としての行動を取らなければならない。
「俺に出来る限りの事はやるつもりです」
「ありがとう。これ以上、被害を拡大したくはありませんからね。エルフの里については、こちらに考えがあります」
その話をする為に、ロイド王と会っていたそうだ。
「もうじき、エルフ超会議が始まります」
何そのかっこいい名前!
エルフ超会議とは、エルフの里の代表者5人以上の要請で開催される決まりとなっており、今回の7大魔王によるエルフの里襲撃を重く見た各エルフの里の代表者達の要請により、開催が決定したようだ。
エルフ、ハイエルフからなるエルフの里連合に今回は、エルフ達と一線を置いていたダークエルフ達も参加するようだ。
というのも、ダークエルフ達もまた、7大魔王のターゲットにされているからだ。
エルフの里同士は、緊急の時だけ使用出来る、里間の連絡手段と、都市間トランスゲートがある。
これらを用いて、連絡を取り合い、この度エルフ超会議が開催される。
ちなみに、今までエルフ超会議が開催された事は、1度しかなかったようだ。
参加者は、それぞれの里から2名までとの事だ。
エルフ達の中でも特に戦闘能力に優れた者達で結成されている組織ラグール。
彼等には、占拠されたエルフの里の救出任務が降るだろうという事だ。
現に、彼等の所属していたエルフの里は、洗脳による占拠を撃退しているのだ。
それならば、俺達が出張らなくても問題ないだろう。
エルフ超会議に興味はあるが、今は俺にしか出来ない事をするだけだ。
クリスさんと別れた後、再びエレナの元へと戻る。
「え、エレナが出席するの?」
「はい、お父様と一緒にもうすぐ出発する予定です」
プラメルの代表として、王であるエレナの父と娘のエレナの2名が参加するようだ。
「気をつけるんだぞ。本当なら、一緒について行きたいんだけど」
「大丈夫です。都市間トランスゲートを数回潜るだけですから。私よりもユウ様の方こそ気を付けて下さいよ」
「ユウは私達が守る」
後ろにいたクロが袖をギュッと掴む。
こういう仕草は、年相応で可愛らしいんだけどな。
うん、以前と変わらない。
だけど戦闘時は、以前とは全く別物だけどな。
「そうですね、此の身に変えてもユウ様は守ります」
ジラもクロに続く。
エレナが頷く。
「頼もしいな。頼りにしてるよ」
そうして俺達は、プラメルを後にした。
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