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第二百十九話: ダガレス奪還3
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クロの元に戻った俺達は、すぐに行動を開始する。
先程の怪光と衝撃波については、皆が窓から見ていたそうで、詳しい説明を求められる事はなかった。
それにしても、あのタイミングで俺達の逃げ込んだ場所へと的確に魔術を放ってくるあたり、何らかの形で、俺達の動向が相手側に知られてしまっていると考えた方が良さそうだな。
極力痕跡は残さないように、警戒しながら遠回りして進んで来たつもりだったが、ここからは正面突破あるのみだ。
バレてしまった以上、迅速に行動する必要がある。
クリスさん達も含めて、この拘束塔に隠れていてもらうつもりでいたが、あんなのを見せられた手前、そうも行かないだろう。
事前にエレナに説明し、プラメルにてダガレスの人達を一時的に受け入れて貰うように許可を取り、転移にて彼等を送り届ける。
勿論、近衛隊の人達もだ。
短期決戦に作戦を変更せざるを得ない為、俺、クロ、ジラの3人だけの方がやり易い。
「さてと、ここからは本気で行くぞ。ついてこれなかったら置いて行くからな」
あくまでも意気込みを言っただけで、半分冗談のつもりで言った訳なんだけど・・
クロとジラの周りが薄ぼんやりと淡く光だし、やがて消えた。
「魔王様流、身体強化です」
「うん」
なにそれ怖い。
ていうか、あんまり本気出されると俺が置いて行かれるんじゃない?
ていうか、そもそも広大な地を突っ走る訳じゃないんだからさ!
その後、片っ端から洗脳されている者達を解除して回った俺達は、ある部屋の前で足を止めた。
「何者かの気配を感じますね」
「ああ、だけど敵じゃないみたいだ。鍵も掛かってるし、だけど用心だけはしといてくれ」
ドアノブを叩き壊し、扉を蹴破る。
恐らく、何か自重で開かないようにしていたのだろうが、それ毎破壊し強引に中へと侵入した。
「どうやら、ここは調理場のようですね」
炊事場がズラリと並び、調理に使う器具が壁から吊り下がっていた。
見渡す限りには反応の主は見えない。
恐らく警戒して隠れているのだろう。
「クリスティーナ王妃の要請で助けに来ました」
安心させるつもりで言い放ったのだけど、何事もないように静まり返ったままだった。
うーん、まぁ、確かに怪しいよな。
俺達が敵ではないという証明が出来ない。
「見つけた」
ん?
見ると、クロが少女の腕を掴んで引っ張って来たじゃないか。
見た所、10歳にも満たしていないが、エルフは見た目だけで判断するのは危険なのだ。
少し強引過ぎる気はするけど、まぁ、時間は惜しい。
出てこないのならば、多少は強引に行かざるを得ない。
「離して!」
「大丈夫ですよ。私達は、助けに来たんです」
すかさずジラがフォローに入る。
「嘘!そう言って、私をお部屋に閉じ込める気でしょ!」
いやに疑り深いな。
こんな事なら、エルフの人を連れて来るんだったな。
「ククルを離せ!賊供《…》!」
そうそう、この部屋にはもう一つ反応があったのだ。
それにしても賊供とは酷い言われようだな。
こっちは、40代くらいの甲冑を纏った騎士風の男性だった。
「私達敵じゃない」
「クロ、いいから手を離してあげて」
解放された少女は、騎士の元へと駆け出す。
騎士は、少女を後ろ手に抱えて、こちらを凄い形相で睨みつける。
「さっきも言いましたけど、俺達はダガレスの里を救いに来ました。王妃のクリスティーナさんからの救援依頼です」
「エルフでない者の言葉など信用できるか!」
「信用出来なくても結構ですけど、この部屋からは絶対に出ないで下さい。無事に安全が確保されたら迎えに来ますから」
そう言い、その場を去ろうとすると、
「ま、待ってください」
ククルが震えながら、こちらへと目配せする。
全員が声のする方へと視線を向けた。
「し、信じます」
その言葉が意外だったのか、騎士が待ったをかける。
「何を言っているんだククル。こいつらは、他種族だぞ? 油断させて俺達を捉えるつもりかもしれないんだぞ」
「も、もし、そのつもりがあるなら、き、きっととっくに捕まってます」
ククルの考えは至極もっともだった。
目の前の人物は、自分達よりも遥かに強者なのだと、ククルは感じていたのだろう。
クロがククルの元へと近付く。
「行こう。大丈夫。私が守る」
うん、なんだかクロが成長したなぁと嬉しくなってきてしまった。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、ジラがクスクスと笑う。
「ユウ様が今考えている事が何となく分かります」
コホンと咳払いして、はぐらかしておく。
「クロ、2人を守る事に専念してくれ。敵は俺とジラで何とかするから」
「分かった」
本当はジラに頼みたい所だけど、クロに少しながら懐いているみたいだからな。
それに、この場にいるより俺達といた方が安全だろう。
暫く進み、2人の兵士と交戦する。
難なく意識を刈取り、洗脳を解除した。
それにしても、仲間がいるだけでこうも攻略がスムーズだとはね。
プラメルの時とは大違いだな。
「さて、この扉の先が最後だな」
「こ、ここは玉座の間です」
ククルが、クロの背からヒョコンと顔を出している。
その様を見るに、凄く可愛らしい。
役を奪われた騎士は、嫉妬の眼差しでクロを見ていた。
反応は一つ。
だけど油断はしない。
全員に身体強化を施す。
静かに扉を開け放った。
目配せしてきたジラが、先に入る。
まず目に飛び込んできたのは、床一面に引かれた真紅の絨毯に佇む甲冑の騎士だった。
椅子に座っている。
目を凝らすと、薄赤い蒸気のような物が甲冑の節々から噴出している。いつだかのバーサク状態の時に良く似ている。
玉座は無残にも破壊されており、豪華絢爛なシャンデリアを吊っている2本のワイヤーの内、1本が切れてユラユラとシャンデリアが揺れていた。
ジラが入り、続いて俺が入った途端に扉がバタンと勝手に閉まってしまる。
すぐに扉を確認したが、地下にあった重厚な扉同様に力ではビクともしなかった。
ジラがフレアを撃つ。
しかし、それは甲冑騎士を狙ってものではなく、甲冑騎士を通り越して、背後の壁に着弾する。
凄まじい衝撃音とは裏腹に着弾箇所には傷どころか、焦げ痕一つついていなかった。
「どうやら閉じ込められてしまったみたいですね」
扉同様にこの玉座の間一帯も何かの作用により、破壊不可となっているようだ。
「相手から目を逸らすなよ」
「はい」
甲冑騎士は、俺達の姿を視認しても未だ動く素振りは見せない。
鑑定で見る限り、甲冑騎士の正体は、ダガレスの王だろう。
名前:ラーシア・マール・ダガレス
レベル:38
種族:人族
スキル:
状態:死亡、洗脳、バーサク
死んだ人間を操るなんて、死者への冒涜もいいところだ。
それにしても、死んでいても操れるのかは甚だ疑問だ。
そうしていると、甲冑騎士が音もなくゆっくりと立ち上がる。
!?
《障壁》
キーンという甲高い音が鳴り響く。
甲冑騎士が視界から消えたかと思いきや、いきなり目の前で剣を振るっていた。
咄嗟に障壁を展開していなければ、真っ二つにはされないにしても深傷を負っていただろう。
それにしても、最近速い人多いよな・・・
対処出来ない訳じゃないけど、俺もあんまり奥の手を隠したままにしていると、本当に足元掬われそうだよな。
しかし、あの速さだと鎧を剥いで洗脳を解除する事も出来ない。
死者とはいえ、一国の王だ。他の者同様に無傷で奴等から奪還したい。
「まずは動きを止める必要があるな」
「ユウ様、20秒ほど時間を下さい」
ちらりとジラに目配せすると、目を閉じ口を動かしていた。詠唱が必要な程の魔術を行使するつもりなのだろう。
「分かった。任せろ」
《瞬身》
《魔術完全無効》
ストレージから聖剣アスカロンを取り出し、障壁を解除し、そのまま甲冑騎士へと斬り込む。
剣と剣の乱舞。
互いが高速で斬り合う。
相手のスピードについていく為に、俺の中に余りある魔力を惜しみなく垂れ流し、それを全て速さに転じる魔術、瞬身を使用していた。
先程は目で見えなかった一撃が、今では手に取るように分かる。
速さは俺に部があるが、剣技は相手の方が上だ。
にわか剣術の俺には少々荷が重いようだ。
しかし、相手は適確に急所を突いてくる。
故に動きが読み易い。
「ユウ様、下がってください!」
ジラの一声の元、部屋の後方へと転移する。
俺の転移を確認した後、ジラが魔力を込めるに込めた魔術を発動した。
《氷結世界》
発動から1秒待たずして、部屋の中が凍りついた。
先程の怪光と衝撃波については、皆が窓から見ていたそうで、詳しい説明を求められる事はなかった。
それにしても、あのタイミングで俺達の逃げ込んだ場所へと的確に魔術を放ってくるあたり、何らかの形で、俺達の動向が相手側に知られてしまっていると考えた方が良さそうだな。
極力痕跡は残さないように、警戒しながら遠回りして進んで来たつもりだったが、ここからは正面突破あるのみだ。
バレてしまった以上、迅速に行動する必要がある。
クリスさん達も含めて、この拘束塔に隠れていてもらうつもりでいたが、あんなのを見せられた手前、そうも行かないだろう。
事前にエレナに説明し、プラメルにてダガレスの人達を一時的に受け入れて貰うように許可を取り、転移にて彼等を送り届ける。
勿論、近衛隊の人達もだ。
短期決戦に作戦を変更せざるを得ない為、俺、クロ、ジラの3人だけの方がやり易い。
「さてと、ここからは本気で行くぞ。ついてこれなかったら置いて行くからな」
あくまでも意気込みを言っただけで、半分冗談のつもりで言った訳なんだけど・・
クロとジラの周りが薄ぼんやりと淡く光だし、やがて消えた。
「魔王様流、身体強化です」
「うん」
なにそれ怖い。
ていうか、あんまり本気出されると俺が置いて行かれるんじゃない?
ていうか、そもそも広大な地を突っ走る訳じゃないんだからさ!
その後、片っ端から洗脳されている者達を解除して回った俺達は、ある部屋の前で足を止めた。
「何者かの気配を感じますね」
「ああ、だけど敵じゃないみたいだ。鍵も掛かってるし、だけど用心だけはしといてくれ」
ドアノブを叩き壊し、扉を蹴破る。
恐らく、何か自重で開かないようにしていたのだろうが、それ毎破壊し強引に中へと侵入した。
「どうやら、ここは調理場のようですね」
炊事場がズラリと並び、調理に使う器具が壁から吊り下がっていた。
見渡す限りには反応の主は見えない。
恐らく警戒して隠れているのだろう。
「クリスティーナ王妃の要請で助けに来ました」
安心させるつもりで言い放ったのだけど、何事もないように静まり返ったままだった。
うーん、まぁ、確かに怪しいよな。
俺達が敵ではないという証明が出来ない。
「見つけた」
ん?
見ると、クロが少女の腕を掴んで引っ張って来たじゃないか。
見た所、10歳にも満たしていないが、エルフは見た目だけで判断するのは危険なのだ。
少し強引過ぎる気はするけど、まぁ、時間は惜しい。
出てこないのならば、多少は強引に行かざるを得ない。
「離して!」
「大丈夫ですよ。私達は、助けに来たんです」
すかさずジラがフォローに入る。
「嘘!そう言って、私をお部屋に閉じ込める気でしょ!」
いやに疑り深いな。
こんな事なら、エルフの人を連れて来るんだったな。
「ククルを離せ!賊供《…》!」
そうそう、この部屋にはもう一つ反応があったのだ。
それにしても賊供とは酷い言われようだな。
こっちは、40代くらいの甲冑を纏った騎士風の男性だった。
「私達敵じゃない」
「クロ、いいから手を離してあげて」
解放された少女は、騎士の元へと駆け出す。
騎士は、少女を後ろ手に抱えて、こちらを凄い形相で睨みつける。
「さっきも言いましたけど、俺達はダガレスの里を救いに来ました。王妃のクリスティーナさんからの救援依頼です」
「エルフでない者の言葉など信用できるか!」
「信用出来なくても結構ですけど、この部屋からは絶対に出ないで下さい。無事に安全が確保されたら迎えに来ますから」
そう言い、その場を去ろうとすると、
「ま、待ってください」
ククルが震えながら、こちらへと目配せする。
全員が声のする方へと視線を向けた。
「し、信じます」
その言葉が意外だったのか、騎士が待ったをかける。
「何を言っているんだククル。こいつらは、他種族だぞ? 油断させて俺達を捉えるつもりかもしれないんだぞ」
「も、もし、そのつもりがあるなら、き、きっととっくに捕まってます」
ククルの考えは至極もっともだった。
目の前の人物は、自分達よりも遥かに強者なのだと、ククルは感じていたのだろう。
クロがククルの元へと近付く。
「行こう。大丈夫。私が守る」
うん、なんだかクロが成長したなぁと嬉しくなってきてしまった。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、ジラがクスクスと笑う。
「ユウ様が今考えている事が何となく分かります」
コホンと咳払いして、はぐらかしておく。
「クロ、2人を守る事に専念してくれ。敵は俺とジラで何とかするから」
「分かった」
本当はジラに頼みたい所だけど、クロに少しながら懐いているみたいだからな。
それに、この場にいるより俺達といた方が安全だろう。
暫く進み、2人の兵士と交戦する。
難なく意識を刈取り、洗脳を解除した。
それにしても、仲間がいるだけでこうも攻略がスムーズだとはね。
プラメルの時とは大違いだな。
「さて、この扉の先が最後だな」
「こ、ここは玉座の間です」
ククルが、クロの背からヒョコンと顔を出している。
その様を見るに、凄く可愛らしい。
役を奪われた騎士は、嫉妬の眼差しでクロを見ていた。
反応は一つ。
だけど油断はしない。
全員に身体強化を施す。
静かに扉を開け放った。
目配せしてきたジラが、先に入る。
まず目に飛び込んできたのは、床一面に引かれた真紅の絨毯に佇む甲冑の騎士だった。
椅子に座っている。
目を凝らすと、薄赤い蒸気のような物が甲冑の節々から噴出している。いつだかのバーサク状態の時に良く似ている。
玉座は無残にも破壊されており、豪華絢爛なシャンデリアを吊っている2本のワイヤーの内、1本が切れてユラユラとシャンデリアが揺れていた。
ジラが入り、続いて俺が入った途端に扉がバタンと勝手に閉まってしまる。
すぐに扉を確認したが、地下にあった重厚な扉同様に力ではビクともしなかった。
ジラがフレアを撃つ。
しかし、それは甲冑騎士を狙ってものではなく、甲冑騎士を通り越して、背後の壁に着弾する。
凄まじい衝撃音とは裏腹に着弾箇所には傷どころか、焦げ痕一つついていなかった。
「どうやら閉じ込められてしまったみたいですね」
扉同様にこの玉座の間一帯も何かの作用により、破壊不可となっているようだ。
「相手から目を逸らすなよ」
「はい」
甲冑騎士は、俺達の姿を視認しても未だ動く素振りは見せない。
鑑定で見る限り、甲冑騎士の正体は、ダガレスの王だろう。
名前:ラーシア・マール・ダガレス
レベル:38
種族:人族
スキル:
状態:死亡、洗脳、バーサク
死んだ人間を操るなんて、死者への冒涜もいいところだ。
それにしても、死んでいても操れるのかは甚だ疑問だ。
そうしていると、甲冑騎士が音もなくゆっくりと立ち上がる。
!?
《障壁》
キーンという甲高い音が鳴り響く。
甲冑騎士が視界から消えたかと思いきや、いきなり目の前で剣を振るっていた。
咄嗟に障壁を展開していなければ、真っ二つにはされないにしても深傷を負っていただろう。
それにしても、最近速い人多いよな・・・
対処出来ない訳じゃないけど、俺もあんまり奥の手を隠したままにしていると、本当に足元掬われそうだよな。
しかし、あの速さだと鎧を剥いで洗脳を解除する事も出来ない。
死者とはいえ、一国の王だ。他の者同様に無傷で奴等から奪還したい。
「まずは動きを止める必要があるな」
「ユウ様、20秒ほど時間を下さい」
ちらりとジラに目配せすると、目を閉じ口を動かしていた。詠唱が必要な程の魔術を行使するつもりなのだろう。
「分かった。任せろ」
《瞬身》
《魔術完全無効》
ストレージから聖剣アスカロンを取り出し、障壁を解除し、そのまま甲冑騎士へと斬り込む。
剣と剣の乱舞。
互いが高速で斬り合う。
相手のスピードについていく為に、俺の中に余りある魔力を惜しみなく垂れ流し、それを全て速さに転じる魔術、瞬身を使用していた。
先程は目で見えなかった一撃が、今では手に取るように分かる。
速さは俺に部があるが、剣技は相手の方が上だ。
にわか剣術の俺には少々荷が重いようだ。
しかし、相手は適確に急所を突いてくる。
故に動きが読み易い。
「ユウ様、下がってください!」
ジラの一声の元、部屋の後方へと転移する。
俺の転移を確認した後、ジラが魔力を込めるに込めた魔術を発動した。
《氷結世界》
発動から1秒待たずして、部屋の中が凍りついた。
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