幻想世界の統合者

砂鳥 ケイ

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第二百三十四話:魔界侵攻3

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フラン視点

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「素直に降伏する事をお勧めします」


私達は、この魔界を侵略しようとした7大魔王なる人物を包囲していた。

「降伏? 笑わせるな。まさかこんな事で我を追い詰めたつもりか?」

現在この場には、まさに魔界の最高戦力と呼べる猛者達が集結している。
元老院のスザク様、ゲンブ様、クオーツ序列1位のアルザス、3位のシリュウ、6位のゼゼと私を含めた6人だった。

あの死神は死者を操る。
故に生半可なメンバーはかえって邪魔になる。
それを踏まえての少数精鋭だった。

何が起きてもいいように数キロ離れた場所に後続部隊が包囲待機させている。
メルシー様は、安全な場所で待機して頂いている。
彼の方に万が一なんて事があってはいけない。

相手の残りの人数は6人。

当初12人いた死神の精鋭軍団は、此方側の転移による不意打ち紛いな無慈悲なまでの連続攻撃により6人まで減らせれていた。
元老院様達による超級魔術や一定の間動きを封じるシリュウのサーペントマインによる所が大きいだろう。
逆に言えば、それだけの攻撃を持ってしても6人生き残ったと言う事実は侮れない。

偶然か必然か、これで敵味方共に6vs6となる。
言うまでもなく仕組んだ訳ではなく、偶然の一致だ。

「貴様達がどの程度のものか見定めてやるとしよう」

死神が上空へと放り出した鎌が怪しく光る。
血の色を彷彿とさせる鮮血色を身に纏った鎌が宙を舞う。
一方、死神以外の5人には動きは見られない。

それぞれが警戒レベル最大に。死神が動くとほぼ同時に行動を開始していた。

一人は攻撃に備えて防御結界を展開する。
一人は予め召喚しておいた無数の剣を死神達に向け、撃ち放つ。
ある者は死神達を逃さないように結界の中に閉じ込める。
ある者は限定範囲内での魔術使用を無効とする結界を展開する。
更には味方全員に、バフ効果の魔術を施す。
ダメージを受けた際を考慮し、味方陣営に高性能範囲治癒エリアハイヒールを展開する。

予め動きを示し合わせていた訳ではない。
互いの技能、スキルを把握しているからこそ、それぞれが無意識のうちに被り合わず最善の手段を取っていた。

まさに完璧な対応…のはずだった。

しかし…


目の前で黒煙が舞っていた。

私が次に気が付いた時には、瓦礫に埋もれている自身の姿だった。
ダメージもかなり負っている。
一体何が起こったの?

身体が淡く光り輝いている。

この緑色の光は・・・
ああ、、ゼゼの発動していた高性能範囲治癒エリアハイヒールのおかげで徐々にHPが回復しているのね。

ほ、他の皆はどうなったの?

立ち上がった先に見えた光景は何とも悲惨なものだった。

「うそ、でしょ……」


まるで隕石でも落ちたかのように私のいる周りは大穴が開いている。下の方は霞んで底が見えない。
その中に不自然に出来た丘の上に私は倒れていた。
更に前方にはもう一つの丘があり、死神達が佇んでいた。

「フラン…目が覚めたか…」
「スザク様?」

倒れている私達を守るように1人立っている。
後ろ姿しか見えないが、地面に広がる夥しい量の血と今も滴り続けている血から相当の重傷を負っていると見受けられる。

「す、すぐに治療します!」
「バカ野郎が! すぐに全員連れて逃げろ!」

朦朧とする意識が今の一言で次第に鮮明になり、周りを見渡す。

そうか…スザク様が死神の連中の動きを止めているのね。

「誤算だったのはあの鎌だ。あれは、まさに無敵という言葉がピッタリだろう。理不尽までにな。いいかフランよく聞け。あの鎌の攻略法を皆で考えろ。でなければ、魔族は絶滅するぞ。分かったらすぐにここから逃げろ。いつまで奴等を抑えておけるか分からんからな」
「スザク様も一緒に!」
「誰が彼奴らを抑えておくんだ?」

もしもこのまま逃げてもすぐに奴等は追ってくるだろう。
そうなれば、傷を癒している時間すらないだろう。
誰かが時間を稼がないといけない。

そう、誰かが…

スザク様は進んでその役をされようとしている。

なら私が……

いや、私程度の実力で時間を稼ぐなんて出来るはずがない。


私はすぐに範囲転移の術式を構築し、魔王城中枢へと皆を連れて転移した。

「…ありがとう」

転移の際にスザク様が何か言われていたが、聴き取ることが出来なかった。

現在私だけが、魔王城への直に転移する権限が与えられている。
故に、誰も追っては来れない。

スザク様も…

どうかスザク様、無事でいて下さい…
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